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<スズケンDIアワー> 平成24年7月5日放送内容より スズケン

高リン血症治療薬 ビキサロマー


昭和大学腎臓内科学教授
秋澤 忠男

icon 我が国の透析患者の現況

 我が国の透析患者数は2011年末で30万人を超え、なお年間6千人以上増加しています。血液透析患者の生命予後を同一時期に、同一プロトコールで比較した国際共同研究Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study (DOPPS)の成績では、日本の患者が年間死亡するリスクを1とすると、欧州では2.5倍、米国では3.8倍と、先進諸国中我が国透析患者が最も高い生命予後を持つことが示されています。一方、世界で最も良好な生命予後を示す我が国の透析患者でも、透析導入時からの平均余命を日本の一般人口と比較すると、男性でも女性でも、いずれの年齢でも余命は50%に満たないことが明らかになっています。つまり、透析患者の生命予後は一般人口に比し大きく低下しています。透析患者が透析から離脱するには腎移植を受けるのが唯一の方法ですが、我が国の腎移植患者数は最近増加傾向にあるとはいえ年間1500例程度に過ぎず、年間38000人が透析に導入される事を考えると、腎移植を受けられる集団は極めて限定されています。移植による透析離脱の道をほぼ断たれた結果、世界で最も良好な生命予後を持つ透析患者は長期間透析療法下に生活することを強いられ、20年以上透析を続けている患者は2万人を、10年以上継続している患者は7万人を超え、最長は42年の長期に及んでいます。これらの長期透析患者には特有の合併症が出現し、これらが透析患者のQOLを大きく阻害しています。

icon 患者QOLの阻害因子

 こうした生命予後を悪化させ、QOLを阻害する合併症の原因として体内へのリンの蓄積が広く知られています。リンは主に食物中の蛋白質に含まれ、腸管で吸収され、大部分は尿中に排泄されます。透析患者では尿中への排泄経路が断たれ、体内にリンが蓄積し、高率に高リン血症を呈します。高リン血症は死亡のリスクと高い関連を持ち、血清リン濃度4−5mg/dLの透析患者の年間死亡リスクを基準とすると、血清リン濃度が9mg/dLを超えるとリスクは2倍に達するとの報告もあります。これは血液中に飽和したリンがカルシウムとともに骨以外の組織に沈着し、とくに血管壁の石灰化が動脈硬化性病変を進行させ、透析患者の最大の死因である心血管系合併症を増悪させることが一因と考えられています。また、リンの蓄積は副甲状腺ホルモンの分泌を促し、骨関節障害の進行などから患者QOLの大きな阻害因子となります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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