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<スズケンDIアワー> 平成24年7月5日放送内容より スズケン

高リン血症治療薬 ビキサロマー


昭和大学腎臓内科学教授
秋澤 忠男

icon 臨床試験成績と安全性について

 リン蓄積を抑制するためには、まず食事のリン制限が試みられますが、リン制限は蛋白制限につながり、透析患者の低栄養は代表的な予後悪化要因となるため、過度のリン制限はかえって逆効果となります。透析によるリン除去も大切ですが、通常の4時間透析で除去されるリンは1g程度にとどまり、1日当たりのリン摂取量が約1gであることを考慮すると、週3回透析では週間摂取量の半分以下のリンしか除去できないのが実情です。

構造と推定される作用機序の概念図

 そこで使用されるのが腸管でリンを結合して糞便中に排泄し、リンの腸管での吸収を阻害するリン吸着薬です。リン吸着薬としては高いリン吸着効果から歴史的にアルミニウム製剤が多用されてきましたが、腸管吸収されたアルミニウムが尿中排泄されずに体内に蓄積し、透析脳症(アルミニウム脳症)や骨軟化症(アルミニウム骨症)などの重篤な合併症を引き起こすことが明らかになり、透析患者には1992年から禁忌とされています。それに代わって使用されたのが炭酸カルシウムを代表とするカルシウム製剤で、リンと結合してリン酸カルシウムを形成してリンを排泄することでリン低下作用を発揮します。しかし同時にカルシウムが腸管吸収され、高カルシウム血症を来たしたり、カルシウムが異所性石灰化を促進するリスクを高めることが明らかとなりました。とくに透析患者ではビタミンD欠乏を補う、あるいは副甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制する目的で活性型ビタミンD製剤の使用される機会が多く、そうした例では血清カルシウムが上昇し、結果的に十分量のカルシウム製剤や活性型ビタミンDを使用できない結果となりました。

各薬剤の最大用量を30mLの水と混和し経過した際の変化

 そこでカルシウムを含有しないリン吸着薬として2003年にポリマー製剤のセベラマー塩酸塩が市販され、カルシウム負荷や血清カルシウム上昇の懸念なしにリンの管理が可能となりました。しかし、本剤は便秘や腹満感を代表とする消化器系有害事象が頻繁に発症し、十分な量服用することができずに、効果的なリン低下には他のリン吸着薬との併用を要する、などの問題点が指摘されています。稀土塩類であるランタンが高いリン吸着作用を持つことを利用し、2009年に市販された炭酸ランタンは、高リン血症の強力な治療薬として用いられていますが、消化器症状などの有害事象と伴に、ランタンが体内に吸収され、一部が骨内に蓄積することが示されるなど、現状では問題ないとしても、長期使用に対する懸念が払拭されていない、との指摘もあります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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