→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成24年7月5日放送内容より スズケン

高リン血症治療薬 ビキサロマー


昭和大学腎臓内科学教授
秋澤 忠男

icon ビキサロマーの臨床試験成績

第III相比較試験時の血清リン濃度に対する効果

 今回市販されたビキサロマーは非吸収性アミン機能性ポリマーで、セベラマー塩酸塩と比して水分と接触した際の膨潤が軽度であること、塩酸塩を持たないことなどの特徴があります。臨床試験では、高リン血症を呈する血液透析患者にまず本剤1日1.5g、3.0g、4.5g、あるいはプラセボを二重盲検下に固定用量で4週間投与したところ、用量依存性の血清リン濃度の低下が認められました。次いで同様の対象に本剤1日4.5gを2週間投与した後、4.5g継続群と、1日6g、7.5gに強制増量し4週間継続する3群間で血清リン低下作用を比較しました。その結果いずれの群でも安全性に差は見られず、4.5g投与群に比べ6.0g、7.5g投与群で血清リン濃度の低下量は大きく、目標血清リン濃度3.5-6.0mg/dL の達成率は7.5g投与群で最も高値でした。そこで第3相比較試験では類似薬のセベラマー塩酸塩を対照薬とし、本剤群は1日1.5gから開始し、血清リン濃度に応じて最高用量7.5gまでの範囲で用量調整を行い、対照薬セベラマー塩酸塩群は承認条件に従い、血清リン濃度8mg/dL以上では1日6g、8mg/dL未満では1日3gを初期用量として開始し、血清リン濃度に応じて最高1日9gの範囲内で投与量を調節しながら各々12週間投与しました。主要評価項目は投与終了時の血清リン濃度についての非劣性とし、投与終了時の調整済平均値は本剤群で5.87mg/dL,対照薬は5.55mg/dLとその差は0.31mg/dLであり、95%信頼区間の上限である0.76mg/dLが本試験で設定した非劣性マージンの1mg/dLを下回ったことから、非劣性が検証されました。

第III相比較試験における副作用

 有害事象は本剤で72.7%、対照薬で89.1%に認められ、主な有害事象は消化器症状でしたが、胃腸障害は本剤群で40.0%、対照群で50.9%、便秘は本剤群で20.0%、対照群で29.1%と、いずれも本剤群で少ない傾向が認められました。また、対照群では投与開始時に比し投与終了時の透析前血清炭酸水素イオン濃度が低下したのに対し、本剤ではそうした低下は認められず、塩酸塩を持たない本剤の構造によりアシドーシスの助長を回避できる可能性が示されました。

第III相長期投与試験時の血清リン濃度の変化

 長期投与試験は高リン血症を呈する血液透析患者を対象に、血清リン濃度3.5-6.0mg/dLを目標に、本剤1日1.5gから開始し、血清リン濃度に応じて最高用量7.5gまでの範囲で調整し、48週間投与しました。その結果投与開始後9週以降に平均リン濃度は目標値内に入り、16週以降65.2%-75.9%の症例で目標の達成が可能でした。有害事象は53.2%に認められ、便秘が最多でしたが、多くは投与初期に発現し、長期投与による発現率の増加はみられませんでした。腹膜透析患者に対しても、同様の投与条件で12週間の投与が行われました。その結果、平均1.37mg/dLの血清リン濃度の低下が認められ、腹膜透析患者に特異的に発症した有害事象は認められませんでした。

 このようにビキサロマーはカルシウムや金属類を含まないポリマー型のリン吸着薬で、カルシウムや金属類の体内吸収に伴う問題点の発症は回避することができます。また、ポリマー型リン吸着薬としては、既存のセベラマー塩酸塩と同等のリン吸着能を有し、さらに消化器系の副作用の発症が軽度で、従来より、大量の服用が可能となり、リン管理の向上が期待されます。また、セベラマー塩酸塩の塩酸塩がアシドーシスを悪化させる懸念があったのに対し、本剤は塩酸塩を含有せず、そうしたリスクを回避することもできます。いずれにしても、透析患者の予後を悪化させる重大な要因である高リン血症に対し、新登場のビキサロマーを含め、リン吸着薬の投与で適切な管理が行われ、透析患者の生命予後とQOLの改善が図られることを期待したいと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3