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<スズケンDIアワー> 平成24年7月12日放送内容より スズケン

非小細胞肺癌治療分子標的薬 クリゾチニブ


近畿大学内科学腫瘍内科部門教授
中川 和彦

 本日は、最近発売されましたALK阻害剤クリゾニチブ(商品名;ザーコリ)についてご紹介したいと思います。

icon 肺がん発症と遺伝子異常

 肺がんを起こす遺伝子異常として、まず最初に発見されたのはEGFRの遺伝子異常です。EGFR肺がんは、肺腺がんの40%に認められ、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、ゲフェニチブやエルロチニブが大変有効であることはご存じのことと思います。 肺がんを発症する第二の遺伝子異常として発見されたのが、このALK遺伝子の異常です。自治医科大学の間野先生、曽田先生によって、2007年にNatureに発表されました。2番染色体上に独立して存在するEML4遺伝子とALK遺伝子が転座により融合遺伝子をつくる。それによって、ALK遺伝子が恒常的に活性化されるため肺がんを発症すると言われています。肺腺がんの約5%がこのような遺伝子異常によって起こると言われています。

icon 肺がんの治療薬への転換

 クリゾチニブは2011年、昨年の8月にアメリカで承認されました。わずか4年の臨床研究で承認されたことになります。日本ではことし(2012年)3月30日に承認され、5月29日に薬価収載、同日発売となりました。

Timeline of Crizotinib’s development

 どうしてこんなに早く臨床試験が進んだのかと言いますと、実はこの薬剤はもともとc−Met遺伝子の阻害剤として、胃がんを中心に臨床開発が進められていました。ただし、マルチカイネスインヒビターでして、ALK阻害活性も持っていることは事前の研究でわかっておりました。
 そこで前述の2007年のNatureに、EML4−ALKの融合遺伝子が肺がんを発症し、またALK阻害剤が著効をする可能性があるという報告が日本からなされたわけです。そこでにわかに、クリゾチニブはc−Met阻害剤からALK阻害剤に変貌を遂げ、また主たる対象疾患が胃がんから、肺がんに見事に変身して今日に至っているわけです。

 

提供 : 株式会社スズケン



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