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<スズケンDIアワー> 平成24年7月19日放送内容より スズケン

夜尿症治療薬 デスモプレシン酢酸塩水和物OD錠


関西医科大学小児科教授
金子 一成

icon 夜尿症の治療

 次に夜尿症の治療ですが、まずは全例に生活指導として3つの基本方針、すなわち、①中途覚醒を強制しないこと、②夕方以降からの飲水を控えること、③機能的膀胱容量の拡大を目的とした排尿抑制をすること、を指導します。また欠席がいじめの契機とならないよう、学校行事には、できるだけ参加させるようにします。

夜尿症治療に用いられる薬剤

 生活指導による治療効果を観察し、改善がなければ薬物療法を検討します。ちなみに改善とは1週間の夜尿回数が半分以下に減少することを指します。薬物療法は病型によって使い分け、多尿型には、デスモプレシンを用いた抗利尿ホルモン療法を、膀胱型には、抗コリン薬、三環系抗うつ薬を、混合型には、これらの薬剤の併用療法を行います。
 生活指導、薬物療法のほかに、夜間睡眠中の排尿開始時にアラームのスイッチが入り、患児を音や振動で覚醒させるアラーム療法を行う場合もあります。

プライマリケアにおける多尿型夜尿症の治療手順

 具体例としてプライマリケアの先生方がデスモプレシンを用いた抗利尿ホルモン療法を行う際の手順を紹介します)。まず初診時の診察で夜尿をきたす基礎疾患を除外し、病型分類を行い、多尿型夜尿症と診断したら、治療の基本として生活指導を行います。生活指導が効果のある場合は治療をそのまま継続しますが、生活指導が効果不十分の場合、1ヵ月間の夜尿回数が半分以下に減少しない時にはデスモプレシンを用いた薬物療法を選択します。そして、薬物療法で効果不十分の場合は専門医へ紹介することになります。

icon デスモプレシン酢酸塩水和物の作用機序

 デスモプレシンを用いた抗利尿ホルモン療法は夜尿症に用いられる薬物で最も高いエビデンスを有していると考えられています。デスモプレシン製剤であるデスモプレシン酢酸塩水和物は、1967年に合成され、スウェーデンのフェリングAB社で開発されたアルギニンバソプレシン(AVP)の誘導体で合成ペプチドです。バソプレシンV1受容体に比べV2受容体に対して高い選択性を有し、昇圧作用をほとんど有さず、用量に依存して抗利尿作用が長時間持続する特徴を有します。本邦では、尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症、いわゆる多尿型夜尿症に対してスプレー製剤が承認されていましたが、今年経口剤が口腔内崩壊錠として開発・承認されました。

ミニリンメルト®OD錠の作用機序

 このデスモプレシン口腔内崩壊錠(商品名;ミニリンメルトOD錠)はすでに70以上の国と地域で承認を得ており、夜尿症に対して広く使用されている薬剤で、海外では、第一選択薬に位置づけられ、国際尿禁制学会の評価ではエビデンスレベル1に位置づけられています。
 従来のデスモプレシンのスプレー製剤に比較したときの口腔内崩壊錠であるこの薬剤の利点としては、以下の点が挙げられます。①経口薬なので、服薬が簡便であること、②水なしで服用できること、③宿泊行事での携帯が容易であること、④アレルギー性鼻炎患者でも影響受けないこと、⑤点鼻製剤に比べて低ナトリウム血症(水中毒)のリスクが少ないという報告があること、などです。
 このデスモプレシン口腔内崩壊錠の効能・効果は、「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」とされ、「用法・用量」は、通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして120μgから経口投与し、効果不十分な場合は、1日1回就寝前にデスモプレシンとして240μgに増量することができる、とされています。

デスモプレシン製剤の剤型による薬物動態の差

 デスモプレシン口腔内崩壊錠2錠はデスモプレシン240μgを含有し、その薬物動態は従来のデスモプレシンのスプレー製剤の2噴霧、すなわち20μgを鼻粘膜に噴霧した時とほぼ同等です。
 本剤の特徴は、口腔内崩壊錠であるため、服用直前にブリスターシートから製剤を取り出し、水なしで服用出来ることです。血液中に吸収された後、腎集合管のⅤ2受容体に結合し、水の再吸収を促進することで、尿を濃縮し、尿量を減少させます。
 本剤の有効性については、起床時尿の平均尿浸透圧800mOsm/L 以下あるいは平均尿比重1.022 以下の夜尿症患児を対象にした二重盲検試験で統計学的に有意な効果が確認されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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