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<スズケンDIアワー> 平成24年8月23日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(39)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

icon ポテリジオ点滴静注

 有効成分は、遺伝子組換えのモガムリズマブで、協和発酵キリンの開発です。遺伝子組換えのモガムリズマブは、遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体で、抗体依存性細胞障害作用を有し、「再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果とします。本剤と同一の効能・効果を有する既収載品はなく、本剤の対象疾患に適応を有する既収載品とは薬理作用、化学構造等が異なることから、総合的にみて、類似の効能・効果、薬理作用等を有する類似薬はないと判断され、薬価算定は原価計算方式により行われました。本剤の対象疾患である成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、極めて予後が不良な疾患であり、初発ATL患者を対象に最も優れた成績を示した既存の多剤併用化学療法でも全生存期間中央値は12.7ヵ月に過ぎないところ、本剤は日本人の再発・再燃ATL患者を対象とした臨床試験において、13.7ヵ月の全生存期間中央値が確認されていること、既存の治療方法と直接的に比較した試験成績はないものの、標準的な治療法が確立されていない状況下で、疾病の重篤性からも、比較臨床試験の実施は実質的に不可能と考えられる状況の中で、日本人を対象とした国内臨床試験で有用性を確認したことは、一定程度の評価が可能と判断され、平均的な営業利益率プラス10%の営業利益率、すなわち21.0%の営業利益率が適用されました。なお、本製剤の使用上の注意において「CCR4抗原は、フローサイトメトリー又は免疫組織化学染色法により検査を行い、陽性であることが確認されている患者のみに投与すること。」とされており、CCR4たんぱくの検出のための臨床検査が、新たに診療報酬で認められています。


icon プルモザイム吸入液

 有効成分は、遺伝子組換えのドルナーゼ アルファで中外製薬の開発です。遺伝子組換えのドルナーゼ アルファは、DNA 選択的加水分解作用を有し、「嚢胞性線維症における肺機能の改善」を効能・効果とします。類似の効能・効果、薬理作用、組成及び化学構造又は投与形態等を有する既収載品がなく、類似薬はないと判断され、薬価算定は、原価計算方式により行われました。営業利益率については、平均的な営業利益率19.1%が適用されました。なお、算定価格が、外国平均価格の1.5倍を上回ったことから、外国価格調整により引下げが行われました。


icon エジュラント錠

 有効成分は、リルピビリン塩酸塩で、ヤンセンファーマの開発です。リルピビリン塩酸塩は、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害作用を有し、「HIV−1感染症」を効能・効果とします。薬価算定は、効能・効果、薬理作用等が類似する、エファビレンツの製剤であるMSDのストックリン錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(T)で行われました。本剤は希少疾病用医薬品であり、比較薬は市場性加算を受けていないことから、市場性加算の対象とされましたが、同じ適応の医薬品が既に多数あることなどから限定的な評価とされ、加算率は10%が適用されました。

 以上の8成分10品目は、平成24年5月23日の中医協総会で審議され、5月29日に薬価基準に収載されました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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