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<スズケンDIアワー> 平成24年8月30日放送内容より スズケン

添付文書の中の副作用(32) 腎性尿崩症


帝京大学名誉教授
清水 直容

icon はじめに

 この番組は「添付文書の中に記載の副作用」についてですが、本日は医薬品に関連した腎性尿崩症(Nephrogenic Diabetes Insipidus;NDI)であります。diabetesには、ご存じのように「甘い」、英語でmellitus、すなわち糖尿病(DM)もありますが、今回のDiabetesはinsipidus(味のない)でありまして、英語の内容を見ますと、inは「否定」で、sapidusは「味のある」に由来しています。なお、mellitusは「ハチミツ」由来です。 JAPICの重篤副作用疾患別対応マニュアル第5集にNDIは記載されております。

SIADHの病態

 ご存じのように、脳の下垂体にはホルモン分泌の前葉と今回関連のバゾプレシン(VP)分泌の後葉があり、OXYTOCINもありますが、これは乳頭の吸引刺激と子宮頸部の拡張によって増加するホルモンです。VP産生部位は視束上殻で、下垂体後葉に運ばれ貯留されています。視床下部には浸透圧受容体があり、血漿浸透圧が上昇すると抗利尿ホルモン(antidiuretic hormon;ADH)放出がふえ、腎臓で水再吸収が増加します。このADHの腎における作用に拮抗する医薬品が本日のNDIの病態と理解できましょう。
 NDIはバゾプレシン受容体の性による劣性遺伝によっても起こり、cyclic AMP酸性低下を解することが知られておりますが、本日は医薬品使用後のみであります。 平成24年の第85回日本内分泌学会会長講演の大磯ユタカ先生の図が参考になります。血漿浸透圧を横軸に、AVPを縦軸として疾患が示されていますが、中枢性尿放症に比べNDIではAVPは正常分泌域にあります。なお、AVP分泌低下症である尿崩症には診断手引きがあります。
 この番組で、ADH関連では不適切分泌症候群(SIADH;syndrome of inappropriate secretion of ADH)について既にお話ししたことがございます。今回もお話の順序は、医薬品使用後の、患者の症状、徴候、検査、添付文書にその記載のある医薬品、病態、鑑別診断などであります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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