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<スズケンDIアワー> 平成24年9月20日放送内容より スズケン

慢性便秘症治療薬 ルビプロストン


東北大学病院心療内科教授
福土 審

icon 慢性便秘を起こす障害

 便秘はありふれた現象です。本日は、下部消化管機能が軽度に障害されることにより生じる、最もありふれた便秘に対する新しい治療薬について解説します。尚、重度の便秘の場合には、また別の専門的な配慮が必要です。機能性消化管障害の国際的な診断基準をRomeV基準と言います。この基準では、慢性の便秘を起こす3つの障害が取り上げられています。機能性便秘、便秘型過敏性器症候群、それに、機能性排便障害です。これらのわが国における有病率は正確には報告されていません。しかし、約13%程度と概算されます。但し、過敏性腸症候群の研究が最も進んでおり、有病率は人口の14.2%、1年間の罹患率はト2%、内科外来患者の31%と高頻度です。わが国では、過敏性腸症候群に関しては、厚生労働省研究委託費による診断・治療ガイドラインが公表され、普及しています。
 医療の現場では、患者さんが便秘を訴える場合に、「排便頻度が少なくなること」が最も良く便われている指標でしょう。ところが、国際的には、便秘をもっと多面的に捉えています。機能性便秘のRomeV診断基準は次の通りです。すなわち、以下の2項目以上の特徴を示すことです。a.排便困難による力みが排便の25%以上にある。b.硬便あるいは兎糞状便が排便の25%以上にある。c.残便感が排便の25%以上にある。d.直腸肛門の閉塞感が排便の25%以上にある。e.排便時の用手努力が排便の25%以上にある。f.排便回数が週に3回未満である。これらの2項目以上があり、少なくとも診断の6ケ月以上前に症状が出現し、最近3ケ月間は基準を満たすものです。その上で、下剤を使わない限り軟便は稀である、過敏性腸症候群の診断基準を満たさない、というものが機能性便秘です。
 一方、過敏性腸症候群の場合、腹痛、腹部不快感、腹部膨満感という内臓感覚の症状があることが重要です。RomeV基準においては、過敏性器症候群は「腹痛あるいは腹部不快感が、最近3ケ月の中の1ケ月につき少なくとも3日以上は生じ、その腹痛あるいは腹部不快感が、@排便によって軽快するA排便頻度の変化で始まるB便形状(外観)の変化で始まる−の3つの便通異常の2つ以上の症状を伴うもの」と定義されています。また、糞便の形状(外観)を重視し、その割合で亜型を分類します。便秘型は硬便・兎糞状便が25%以上かつ軟便・水様便が25%未満のものです、下痢型は軟便・水様便が25%以上かつ硬便・兎糞状便が25%未満のもの、混合型は硬便・兎糞状便が25%以上かつ軟便・水様便が25%以上のもの、分類不能型は便秘型、下痢型、混合型のいずれでもないものです。
 機能性排便障害では、排便時の直腸肛門の閉塞感、排便時の用手努力がその存在を示唆する症状であり、直腸肛門機能検査の異常によって診断されます。  これらの便秘をきたす機能性消化管障害と紛らわしいのは、大腸癌などの悪性腫瘍、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患です。このため、大腸内視鏡検査や血液検査などが必要です。パーキンソン病などの神経疾患、うつ病などの精神疾患でも便秘になることがあります。便秘の患者さんにしばしば見られるのは、大腸内視鏡検査を行うと、大腸粘膜が黒く見える大腸黒皮症です。これは、植物のセンナの成分を常用したことによる病変です。X線不透過マーカー法では消化管通過時間がしばしば遅延しますが、正常ということもあります。また、過敏性腸症候群では、バロスタットという薄いポリエチレンバッグをコンピュータ制御下に伸展刺激に用いる内臓感覚検査を行うことにより、内臓知覚過敏が実証されています。過敏性腸症候群では、コリンエステラーゼ阻害薬・ネオスチグミン負荷刺激と伸展刺激の両刺激に対する顕著な大腸内圧での分節運動亢進が見られています。過敏性腸症候群の大腸運動は刺激反応性の九進で特徴づけられますが、便秘型過敏性腸症候群では、排便を促す推進運動が低下しています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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