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<スズケンDIアワー> 平成24年9月27日放送内容より スズケン

腎細胞癌分子標的治療薬 アキシチニブ


慶應義塾大学泌尿器科教授
大家 基嗣

 本日は、最近発売になりましたキナーゼ阻害剤のアキシチニブ(商品名:インライタ)について、ご紹介したいと思います。

icon 腎細胞がん分子標的薬の登場

 腎細胞癌の薬物治療については、1980年代にサイトカインが承認されて以降、20年以上も免疫療法が主流でしたが、最近の薬物治療の進歩にはめざましいものがあり、本邦においては、2008年4月にソラフェニブ(商品名:ネクサバール)、6月にはスニチニブ(商品名:スーテント)とチロシンキナーゼ阻害剤(以下TKI)が相次いで発売となり、いわゆる分子標的治療薬の時代が到来しました。
 TKIは、細胞内の受容体チロシンキナーゼにあるATP結合部位に競合的に結合することによりシグナル伝達が阻害されて、血管新生が阻害される、いわゆる癌細胞に対し、兵糧攻めをする薬剤です。また、2010年4月にエベロリムス(商品名:アフィニトール)、9月にテシロリムス(商品名:トーリセル)といったmTOR阻害剤が発売になりましたが、mTORは腫瘍細胞の増殖に関与する細胞内分子であり、腎細胞癌についても非常に重要なpathwayと考えられています。
 日本では、以上の4製品が承認になっていましたが、アメリカでは、それ以外にベバシズマブやパゾパニブも承認になっています。
 また、今までの薬剤はアメリカで承認になってから本邦で承認になるまで年単位の時間がかかりました、例えば、スニチニブはアメリカで2006年承認、本邦では、2008年承認で2年のドラッグラグがありましたが、アキシチニブの場合は2012年1月にアメリカで承認後、5ヵ月後の6月に日本で承認され、世界で3番目というスピードで審査・承認された薬剤としても注目を浴びています。

icon 腎細胞がん治療における課題

腎細胞がん治療における課題

 このような分子標的薬が登場して以来、免疫療法時代と比較し、生存率が延長したことは確かですが、完全奏功率はそれほど向上したとは言えず、長期の生存率は依然として満足のできるほど長くはないのも事実です。また、種々の受容体をブロックすることにより発現する多様な副作用は、治療を継続する上での問題となっています。
 例えば、ソラフェニブでは、手足皮膚症候群(HFS)や、より重症化した皮膚疾患である多形紅班、スニチニブでは、血小板減少や好中球減少などの血液毒性、mTOR阻害剤では、間質性肺疾患が問題となっており、このような副作用により中止することも珍しくありません。効果があるのに中止せざる負えない状況が実臨床でも見受けられます。 そこで、今後、登場する新規薬剤には、既存品よりもより有効性が高く、より副作用の少ない等の特徴を有した薬剤が望まれていました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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