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<スズケンDIアワー> 平成24年10月11日放送内容より スズケン

関節リウマチ治療薬 イグラチモド


東京大学アレルギー・リウマチ内科教授
山本 一彦

icon 臨床試験成績から

 次に、実際のリウマチ患者における臨床成績をご紹介します。

第V相比較試験

 イグラチモドの臨床的有用性を検証するため,世界的にその有用性が認知されており、日本で上市されているサラゾスルファピリジンを比較対照薬とした非劣性の比較、併せてプラセボ群との優越性の比較を、二重盲検比較試験で行いました。その結果、優越性の解析集団において、有効性の主評価項目である28週目のACR20改善率は,イグラチモド群で53.8%、プラセボ群で17.2%であり、プラセボ群に対する優越性が検証されました。また,非劣性の解析集団におけるACR20は,イグラチモド群で63.1%、サラゾスルファピリジン群で57.7%であり,サラゾスルファピリジン群に対する非劣性が検証されました。サラゾスルファピリジンは既存のDMARDのなかでは比較的早期の投与開始8週後に効果を発現することが知られていますが、イグラチモドはサラゾスルファピリジンと同様なACR20の推移を示したことから、イグラチモドは比較的早期より有効性が期待できる薬剤であると考えられます。

第V相MTX併用試験

 近年の関節リウマチの薬物治療を考えますと、アンカードラッグであるMTXにイグラチモドを追加併用して使用されることも予想されるため、併用時の有効性と安全性のエビデンスを得るためにMTX併用試験を実施しました。すなわち、MTXで効果不十分なリウマチ患者を対象として、イグラチモド+MTX群の優越性をプラセボ+MTX群対照に24週間の二重盲検並行群間比較試験で検証することとした。なお、MTXの用量は6〜8mgで、全例に葉酸が併用されています。その結果、有効性の主評価項目である24週目のACR20はイグラチモド群で69.5%、プラセボ群で30.7%であり,イグラトモド群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。ACR50、70の比較でも、それぞれイグラトモド群で38.4%、17.1%、プラセボ群で15.9%、5.7%であり、優越性が検証されました。 さらに、長期の有効性と安全性を検討するために、イグラトモド群は52週まで継続投与し、プラセボ群は29週目移行はイグラチモドに切り替えたところ、52週目のACR20をみると、両群ともに70%近い有効率が得られました。

第V相MTX併用試験

 リウマチ患者のQOL改善指標に用いられるHAQの推移をみると、臨床的に意味のある変化とされている0.22の改善をイグラチモド+MTX群は8週で達成し、その効果は52週まで継続しております。このように、MTX効果不十分患者さんにイグラチモドを追加併用することによって、臨床症状の改善のみならず身体機能も改善することが確認されました。

icon 使用上の注意点について

 イグラチモドの頻度の多い副作用としては、胃腸障害と肝機能検査値異常があります。肝機能検査値異常は、一過性で、中止またはそのまま継続によっても改善がみられます。その他、血液障害、間質性肺炎、感染症など、他のDMARDと同様な副作用も確認されていますので、イグラチモドを使用する際には、副作用を防ぐための使用前と使用中の定期的な検査の実施が必要です。
 また、8mgを超えるMTXとの併用、その他DMARDやBio製剤との併用の有効性や安全性は確認されていませんので、併用する際には注意して使用する必要があります。承認条件として、全例調査の実施が義務付けられておりますので、製造販売後に一定数の症例のデータが集まるまでは、リウマチ専門医の在籍する医療機関で使用が可能です。

 イグラチモドは、MTX効果不十分な場合に上乗せ併用での有効性と安全性が確認された国内初の経口DMARDであり、MTX効果不十分時に併用する1stDMARDとなりえます。当然、単剤の使用としても選択肢にもなりえます。今後は、生物学的製剤との併用など実臨床下でのさらなる有効性・安全性データを集積していく必要があると考えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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