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<スズケンDIアワー> 平成24年10月18日放送内容より スズケン

DPP-4阻害糖尿病治療薬 テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物


川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授
加来 浩平

icon 2型糖尿病の病態改善とインクレチンの関与

 経口血糖降下薬は2型糖尿病治療に主要な役割を果たすものです。近年、2型糖尿病の病態改善にインクレチンが深く関与することが明らかになり、インクレチン作用を高める薬剤としてDPP-4阻害薬が、新規の糖尿病治療薬として2009年以降あいついで臨床の場に登場してまいりました。
 そもそもインクレチンとは栄養素の摂取によって消化管から分泌され、膵インスリン分泌促進に働くホルモンの総称であり、主に上部小腸K細胞から分泌されるGIPと下部小腸L細胞から分泌されるGLP-1に代表されます。いわゆるインクレチン関連薬はこれらホルモンの作用を高めるものであり、内服薬のDPP4阻害薬と注射製剤のGLP-1受容体作動薬に大別されます。GLP-1やGIPは分泌後、DPP4によって数分以内に速やかに分解され失活します。DPP-4はインクレチンを始め多くのペプチドの分解酵素であるdipeptidyl-peptidase 4の略称ですが、DPP-4阻害薬はこの酵素活性を阻害し、GLP-1やGIPと言ったインクレチン作用を高めることで、2型糖尿病治療薬としての役割を果たすわけであります。

本邦におけるDPP-4阻害薬

 本邦におけるDPP-4阻害薬の臨床使用は2009年末に上市されたシダグリプチンに始まります。その後ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチンについで本年9月にはテネリグリプチンが登場しました。本日は、このテネリグリプチンについて、紹介したいと思います。

icon テネリグリプチンの概要

 DPP-4阻害薬の抗糖尿病作用で最も重要なものは、インクレチン作用の増強によって、インスリン分泌促進とともにグルカゴン分泌抑制に働き、その効果は血糖依存性である事です。即ち、血糖が正常レベル以上の場合にのみ、インクレチンの効果がみられますが、血糖が正常レベル以下では、インスリン分泌促進もグルカゴン抑制も認められなくなります。従って、既存のインスリン分泌薬であるSU薬と異なり、DPP-4阻害薬は低血糖リスクがない新しいタイプのインスリン分泌薬といえます。加えて動物実験レベルではありますが、膵?細胞量増加作用、さらには動脈硬化抑制作用などが明らかにされており、抗糖尿病薬として多彩な効果が期待されています。
 さてテネリグリプチンですが、2005年から国内臨床試験を開始し、本年(2012年)9月10日に商品名テネリアとして上市されました。血中半減期は20mg1回経口投与で約24時間と長く、ヒト血漿中DPP4阻害作用をみると、そのIC50値は1.45nMと他のDPP4阻害薬シダグリプチンやビルダグリプチンと比べて極めて低い事がわかります。一方、類縁酵素であるDPP-8、DPP-9等に対する阻害活性は極めて低い事からDPP4に高い選択性が示されています。承認用法用量は、一日一回20mg経口投与であり、効果不十分な場合には40mgまで増量が可能です。本製剤は肝臓で主にCYP3A4による代謝を受け、胆汁中に排泄されます。腎排泄は34.4%と、蓄積性は低く腎機能によって用量調節の必要がないと考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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