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<スズケンDIアワー> 平成24年10月18日放送内容より スズケン

DPP-4阻害糖尿病治療薬 テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物


川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授
加来 浩平

icon 安全性について

 国内で実施された臨床試験の総症例数1183例中118例(10.0%)に、臨床検査値の異常も含む何らかの副作用を認めました。主な副作用は低血糖症35例(3.0%)、便秘11例(0.9%)でした。低血糖症例の殆どが、SU薬グリメピリドとの併用時にみられたものです。SU薬とDPP-4阻害薬併用時の低血糖リスクについては、既に、先行する他のDPP-4阻害薬において検証されています。その機序として、インスリン分泌経路としてSU薬が膵?細胞のKATPチャンネルを閉鎖し、惹起経路を刺激する一方、インクレチンはcAMP-PKAシグナル増強による増幅経路を刺激することで、両者は相乗的にインスリン分泌刺激効果を発揮する可能性が考えられています。従って、両者を併用する際には、SU薬の減量を考慮せねばなりません。特に高齢者(65歳以上),腎機能低下者(Cr1.0mg/dL以上),あるいは両者が並存する場合は、特に注意が必要と考えられます。その他の副作用では、腹部不快感などの消化器症状が主なものであり、概ね問題となるものは認めておりません。

icon おわりに

臨床試験成績からみたテネリグリプチンの有用性

 一般に、DPP-4阻害薬は2型糖尿病に対して血糖改善効果のみならず低血糖や体重増加などの治療上のデメリットも少なく、認容性の高い薬剤です。本日紹介したテネリグリプチンは、他のDPP-4阻害薬と同様の特徴を備えた薬剤ですが、強いて特徴を挙げれば1日1回の内服で主に食後高血糖是正による1日血糖プロファイルの改善が期待される薬剤といえます。さらに、透析時での使用について添付文書に記載はありませんが、薬物の代謝排泄の特性から、腎機能が高度に低下した場合においても、用量調節の必要なく使用できるものと思われます。この点については今後、実臨床での検証が必要かと思われます。
 現時点で、我が国のDPP-4阻害薬服用患者数は200万人に上ると想定されます。まさに2型糖尿病治療薬の第一選択薬としての地位を確立しつつあります。その背景には、単なる血糖降下薬ではなく、病態改善から、血管合併症の発症・進展阻止にまで効果を発揮する、まさに抗糖尿病薬としての期待があると考えられます。テネリグリプチンは臨床試験成績をみるかぎり、DPP4阻害薬としての優れた特性を全て兼ね備えた薬剤と言えるかもしれません。しかし、真の評価は、今後、実臨床の場で広範に使用されてはじめて得られるものである事を申し上げて、私のはなしを終わりたいと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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