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<スズケンDIアワー> 平成24年10月25日放送内容より スズケン

前立腺がん治療薬 デガレリクス酢酸塩徐放製剤


群馬大学大学院 泌尿器科学教授
鈴木 和浩

icon 前立腺がん治療におけるデガレリクスの役割

 前立腺がんにおけるADTの選択肢の一つとして従来のGnRHアゴニストと同様に初期治療からの役割があることは言うまでもありませんが、デガレリクスの最大の特徴である一過性のテストステロン上昇を認めないというプロフィールから前立腺がん治療における役割を考察してみたいと思います。

投与28日目までの血清テストステロン値

 海外第III相比較試験での投与28日目までの血清テストステロン値の推移をデガレリクスとリュープロレリンで比較したデータがあります。リュープロレリン群では投与3日目まで上昇がみられその後漸減し、1週後に投与前値に戻り、その後低下します。デガレリクス群では投与翌日には去勢レベルに達していました。

投与56日目までのPSA値の変化率

 腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)の推移もこれに呼応してデガレリクス群では早期から低下し、リュープロレリン群と比較して14日目・28日目で有意な低下率を示しました。これはPSAがアンドロゲン依存性蛋白であるため、急速なテストステロン減少を反映した結果と考えられます。
 前立腺がん治療ではテストステロンの上昇は避けるべき事象です。特に、広範な骨転移を持っている症例、脊髄圧迫をきたす椎骨転移をもつ症例、リンパ節転移などで水腎症を来している症例、DIC傾向を示す症例など、高度進行症例では一過性のテストステロン上昇がフレアーアップとよぶ病状悪化を惹起し直接病状を悪化させてしまう場合があります。そのような症例に対しては、従来、両側精巣摘出術、女性ホルモン製剤や抗男性ホルモン剤の投与などで対応せざるを得ませんでしたが、デガレリクスのようにテストステロン上昇をきたす事がなく、直後から去勢効果の高い薬剤の登場によって、実臨床での治療がスムースに行くことが予想されます。その他には、ホルモン療法を間欠的に行う間欠的ホルモン療法への応用が考えられます。この治療では治療期間では速やかなテストステロンの低下が好ましく、治療をしていない期間ではQOLの向上が大きなメリットの一つとなっているため、中止後のテストステロン低下が遷延しないことも大切な要素となります。その点で、GnRH受容体のダウンレギュレーションが起こらないとされているデガレリクスではGnRHアゴニストに比べ、早期の回復が期待できるかもしれません。

icon デガレリクスの有害事象

主な副作用

 テストステロンを去勢レベルにする点では、デガレリクスとGnRHアゴニストの有害事象には大きな差は認められません。海外第III相比較試験のデータで示されているように、ほてり、体重増加、発熱、ALT/AST増加などはほぼ同等です。一番異なる点は注射部位反応で、デガレリクス群では注射部位疼痛、紅斑などが、リュープロレリン群と比較して有意に多い結果でした。自施設で行った治験での経験でも同様であり、この点は、患者さんへ事前の説明を十分に行っておく必要があると考えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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