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<スズケンDIアワー> 平成24年10月25日放送内容より スズケン

前立腺がん治療薬 デガレリクス酢酸塩徐放製剤


群馬大学大学院 泌尿器科学教授
鈴木 和浩

icon デガレリクス投与の留意点

 本邦では、開発臨床試験で一部の施設で使用経験があるのみですので、現在考えられる投与に際しての3つの留意点を簡単に解説いたします。

ゴナックス投与の留意点

 第1点は、投与用量に関してです。GnRHアゴニストであるリュープロレリンやゴセレリン酢酸塩には1ヶ月製剤・3ヶ月製剤といった効果持続期間の異なる製剤がありますが、初回投与と2回目以後に、どの製剤でも投与可能となっています。これはどの製剤でも同じような有効血液中薬剤濃度がえられることによります。一方、GnRHアンタゴニストであるデガレリクスは、初回投与と2回目以後の投与量が異なることに注意が必要です。初回は240mgの量でボーラスが必要で、2回目以後は80mgで維持します。この点はGnRHアンタゴニストが初期にGnRH受容体と競合的に十分結合するために必要だとイメージしてください。GnRHアンタゴニスト全般的な投与方法となっています。
 さらに、この投与方法は、未治療例ではもちろんですが、リュープロレリンやゴセレリン酢酸塩から切り替えて投与する場合にも適応されますので、注意してください。すなわち、テストステロンがGnRHアゴニストの投与によって去勢レベルに低下していても、デガレリクスに切り替える際には、初回用の120mgの製剤2本から始める必要があることに、注意してください。
 第2は、徐放性に関する点です。デガレリクスの徐放性は薬剤が皮下にデリバリーされゲル化することで得られますが、濃度と投与量に依存することに注意が必要です。初回投与では120mgバイアルに3.0mLの注射用水で溶解し、これを2バイアル準備して合計240mg皮下注射します。しかも、別々の部位に投与する必要があることにも注意してください。仮に、240mg全量を同じ部位に投与した場合にも、十分な効果が得られない可能性があります。2回目以後は80mgバイアルに4.2mLの注射用水で溶解し、1バイアルの4.0mLのみ皮下注射します。従って、初回投与に、80mgバイアルを3バイアル調整し全用量を240mgとして使用することは、有効な治療効果をえることができない可能性がありますので、用法・用量に従って投与してください。
第3は投与間隔の問題です。GnRHアンタゴニストはGnRH受容体のダウンレギュレーションをともなわないと考えられていますので、有効濃度以下になった場合には早期にLHの上昇が起こると考えられます。長期間にわたって投与されている場合には精巣のライディッヒ細胞の反応性が低下していますので、LHの上昇が、即、テストステロン上昇に結びつくことはないと考えられますが、デガレリクス投与期間が短い間には4週間の投与期間を遵守することが特に重要です。

icon おわりに

 GnRHアンタゴニスト製剤であるデガレリクスは前立腺がん治療薬の選択肢を広げることとなりました。本剤の特徴を理解し適切かつ有効に使用していくことが期待されます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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