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<スズケンDIアワー> 平成24年11月8日放送内容より スズケン

先端巨大症治療薬 ランレオチド酢酸塩徐放製剤


東京労災病院 院長
寺本 明

icon ランレオチド酢酸塩徐放製剤の特徴

 さて、手術後、成長ホルモンが正常化しない患者に対する薬物療法の主体がソマトスタチン誘導体であると申しましたが、本邦では2004年4月以来、オクトレオチド酢酸塩が用いられて参りました。この薬は、使用当初、皮下注射用の製剤を用いて、一日100-300?、2週間以上の連続投与によって、その効果や安全性を確認することが義務付けられております。その後は1カ月に一回、筋注の徐放性製剤を、一回当たり10-40mg用います。通常、左右の臀部に交互に筋肉内注射を致します。その有効性は、成長ホルモン分泌の有意な低下が約8割、正常化が約5割、腫瘍の明確な縮小効果が約3割とされております。
 一方、今回薬事承認された、ランレオチド酢酸塩徐放製剤は、分類としてはやはりソマトスタチン誘導体に属します。用法・用量としましては、成人には、ランレオチドとして、まず90mgを4週間ごとに3カ月間投与し、その後は患者の病態に応じて、60mg、90mgまたは120mgを選択し、4週ごとに投与いたします。先端巨大症患者に対する本薬の効果は、成長ホルモンやIGF-1の正常化の比率、あるいは腫瘍の縮小効果といった点に関しては、オクトレオチド酢酸塩のそれと大きな相違は無いと思われます。 しかし、本薬には、いくつかの利点があります。まず、オクトレオチド酢酸塩では、その徐放性製剤を用いる前に、皮下用注射剤で2週間以上治療し、その効果や副作用を確認する必要があります。これはオクトレオチド酢酸塩ではアナフィラキシー様の症状が報告されていること、またその徐放性製剤では、投与後約2週間は薬物濃度が十分な血中濃度に達しないことによるとされています。一方、本薬は、投与後速やかに最高血中濃度に達し、その後緩徐に減量し消失していくという薬物動態の特性があり、事前2週間の皮下投与は不要とされております。これは実地臨床上、便利な特性であります。
 第2に、オクトレオチド酢酸塩の徐放性製剤では、その注射容量が約2mLであるのに対し、本薬では最大投与量の120mg製剤でも注射量は0.44mLと明らかに少量であり、注射に対する患者の負担感が大きく減少するものと思われます。なお、ランレオチド酢酸塩・徐放製剤では、筋肉注射が必須ではなく、深部皮下への投与で良いことになっております。
 第3に、本薬は注射針付プレフィルドシリンジ製剤であることから、医療現場で凍結乾燥製剤の溶解、注射筒への充填、及び注射針の取り付け、といった煩雑な作業が不要でありまして、針刺し防止機構をも装着しているため、医療従事者の利便性や安全性の面でも優れております。
 第4に、オクトレオチド酢酸塩が副作用で使用できない例や、効果不十分な例に対して、もう一つのソマトスタチンアナログ製剤としての選択肢となりうることも挙げられます。
 一方、これら両製剤の副作用はほぼ同じであり、徐脈、下痢や悪心などの胃腸障害、無症候性胆石、脱毛、注射部硬結・疼痛などが、比較的頻度の多いものとして挙げられております。

先端巨大症

 先端巨大症や下垂体性巨人症において、手術療法で治癒が得られない患者に対する有用な薬物療法としてのソマトスタチン誘導体に、新たな薬剤が加わったことをご紹介いたしました。ランレオチド酢酸塩徐放製剤(商品名:ソマチュリン皮下注)は、患者や医療従事者にとって利便性や安全性が高く、より使いやすいソマトスタチン製剤の登場したというのが実感であります。 

 

提供 : 株式会社スズケン



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