→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成24年11月15日放送内容より スズケン

COPD治療薬 ホルモテロールフマル酸塩水和物


東北大学大学院呼吸器内科学教授
一ノ瀬 正和

icon ホルモテロールの特徴

 この薬剤の有効性、安全性に関しては、まず12週間の有効性が日本とヨーロッパの患者を対象に行われております。

オーキシスによるCOPD患者の短時間作用性β2刺激薬使用の減少効果。

 COPD患者の症状というのは息切れが主なわけですが、動いた後の息切れが改善する、その背景には気管支が有効に拡張して呼吸機能がよくなるということがあるわけですが、そういった有効性、さらにCOPDの患者は苦しい場合に、短時間作用性のβ2刺激薬を頓用、1日数回吸入するわけですが、その頓用の回数が減るといった有効性が認められていますし、52週間における日本人を対象とした安全性の検査では、β2刺激薬の場合には動悸、あるいは手の震えといった事象が副作用で問題になりますが、そういった事象もほとんど起こらないということで、有効性と安全性が確立している薬ということになります。
 次に、具体的にどういうふうに使うかということに関してお話をいたします。
 COPD患者の息切れ、動いた後の苦しさというのは、息が吐けないことによって肺が過膨張することが問題であります。息をかなり吸い切ったところでの換気運動になりますので、横隔膜の運動も制限されますし、さらに呼吸に負荷、非常にその力を要しますので、少しの運動で苦しくなってしまうといった事象が起こるわけです。こういった事象は、労作、もちろんこれは歩いたり、あるいは運動したりということを示すわけでありますが、重症化すれば、日常動作、衣服を着たり、食事、入浴といったときにあらわれやすいことがわかっています。ホルモテロールは長時間作用性でありますが、作用の発現が速いという特性も有していますので、朝の着衣、あるいは食事の前に吸入をして、晩には入浴前に吸入することで、労作に対する息切れが軽減されることが十分に考えられるわけです。こういった用い方をすることで、多くのCOPD患者で症状、労作時の息切れの軽減、さらには運動耐容能、歩く距離がふえますので、活動性が上昇すると期待されるわけであります。

icon 高齢者の他疾患への影響

 活動性というお話を申しましたが、COPDは、もちろん肺の病気ではありますが、高齢者で喫煙者の病気でありますので、他の慢性疾患、例えば高血圧とか糖尿病、骨粗鬆症といった疾患を併存することが多いことが疫学的にわかっております。これはヨーロッパでもアメリカ、日本でも同様の報告がございます。COPDを放置しますと、労作時の息切れから余り動かなくなってしまいます。1日に少ししか散歩をしない、あるいは家庭の中でも余り動かないといった非活動性の状態になってしまいます。そうしますと、動脈硬化に起因する虚血性心疾患が悪化したり、耐糖能の悪化から糖尿病が悪くなる、さらには骨に対する刺激が低下することから、骨粗鬆症が進むといったことがわかっていますので、COPDを未治療でそのまま放置すると、併存している糖尿病あるいは骨粗鬆症、高血圧、虚血性心疾患といった他の高齢者に多い病気が悪化して、それにより死亡に至ることも多いことがわかっております。COPDを適切に治療する、特に今回提示しておりますホルモテロールのような長時間作用性の気管支拡張薬を定期的に使用することで、症状の改善のみならず、活動性の向上から他疾患の進行を防ぐ、さらには改善をもたらすことが重要視されているわけであります。

icon ホルモテロールの今後

 ホルモテロールは本年(2012年)9月3日に上梓されたばかりですので、長期的な検討というのはこれからですが、有効性試験で認められた症状の改善、肺機能の改善、さらにはその安全性の確認に加えて、今後どういったことがこの薬剤に期待されるかですが、COPD自体は進行性の疾患です。閉塞性障害は年齢とともに進行することがわかっていますが、これまで先行で上梓された長時間作用性の気管支拡張薬は、β2刺激薬あるいは抗コリン薬とも疾患の進行を抑制することがわかっておりますし、さらに死亡率も低下させる可能性が示唆されています。これは、気管支拡張薬という薬剤が、単にその気管支を広げるという対症療法的な効果に加えて、気管支が常に開いた状態にあるということで、気管支の機械的なストレスが減って、そこに起こる炎症を妨げるといった二次的な効果があるからだと推測されています。
 今後、こういった疾患の進行抑制あるいは死亡率低下といった効果までこのホルモテロールが示すかどうかということは、これからの臨床治験の集積によるわけでありますが、ホルモテロールの第V相試験で示された薬効からは十分そういったことも期待できると考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3