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<スズケンDIアワー> 平成24年11月29日放送内容より スズケン

添付文書の中の副作用(33) 尿閉、排尿困難、出血性膀胱炎


帝京大学名誉教授
清水 直容

icon はじめに

 今回は「添付文書の中の副作用」ですが、本日は、医薬品に関連した3つの有害事象、すなわち、尿閉(Urinary)、排尿困難(retention)、出血性膀胱炎(Dysuria)です。これで、8回にわたる腎臓関連を終えたいと思います。
 JAPICの重篤副作用疾患別対応マニュアル第3集に、日本泌尿器学会の5人の会員による「患者の皆様へ」として書かれておりますので、そのご紹介です。
 JAPICのCD−ROM2012年07版より検索しましたが、躁状態治療薬、抗リウマチ薬、抗HIV薬、抗菌薬、抗ウイルス薬の5つの医薬品です。

icon 排尿と膀胱について

 排尿と膀胱について簡単に触れておきます。
 成人の一日尿量は800から1500mLで、膀胱に200mL以上たまると尿意を感じるのが普通です。
 排尿中枢は、脊髄の仙髄のS2からS4にあり、それより上部は抑制系です。骨盤神経が排尿筋へ分布しており、膀胱三角部と頸部へは、自律神経よりの下腹部神経が主であります。
 外尿道の括約筋は、陰部神経支配が主で、随意筋です。膀胱に尿がたまると尿意は生じるのですが、直ちに排尿反射は起こらないのであります。それは抑制系が働いているからです。
 神経因性膀胱としては、排尿に関する大脳、脳幹部、脊髄及び末梢神経障害による排尿異常でして、尿が多い頻尿、尿失禁もあります。排尿障害という用語には多くの内容が含まれていまして、排尿困難ですが、「なかなか出ない」「だらだら出る」「途中で途切れる」「尿が細い」「力まないと出ない」、そういったようなものであります。尿閉は、「尿がたまって苦しい」「尿が出なくて苦しい」の記載です。
 JAPIC記載の「副作用」欄で「尿閉」という言葉で検索しますと、1470の商品名がありますが、一般名では89品目です。
 「排尿困難」のみの記載では、商品名が1337件、一般名では104品目、尿閉と排尿困難の併記は89商品名で、一般名は5品目です。
 今回もお話の順序は、医薬品使用後の患者の症状、徴候、検査、添付文書にその記載のある医薬品、病態、鑑別診断などです。
 症状は、「おしっこがしたいのに出ない」「おしっこの勢いが悪い」「おしっこ最中に何度も途切れる」「おしっこが出るまでに時間がかかる」「出す時おなかに力を入れる必要があり、おしっこの後でもまだ残っているという感じがある」という訴えであります。
 徴候ですが、尿閉は充満し痛みがあり、膀胱充満です。排尿困難は「尿の勢いが弱く、分かれて飛び散る感じ」「開始までに時間がかかる」「おなかに力を入れたくなる」、勢いが弱く滴下などを訴え、それが他人に指摘されることもありましょう。
 検査では、尿量とか血尿の有無や尿の浸透圧の測定が参考になります。
 病態は、膀胱収縮力と尿道の閉まりのバランスが崩れ、尿は膀胱に充満し、排尿したいのに出ないのが尿閉でして、尿が出づらいのが排尿困難です。
 主として膀胱の過活動治療薬では薬理作用によるのですが、胃腸薬、下痢どめの薬では薬理との関連性があり、他に抗精神病薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、総合感冒薬でも見られます。膀胱の筋肉収縮への神経作用の抑制と、尿道収縮神経・筋肉の増強による尿道筋肉の収縮増強バランスが関連するのです。
 鑑別診断としては、前立腺肥大や前立腺がんは除外する必要があります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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