<スズケンDIアワー> 平成24年12月6日放送内容より |
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川崎医科大学小児科学教授
中野 貴司
このように、脱水やその他の合併症を併発し、子どもや家族にとって大きな負担となるロタウイルスですが、予防のためのワクチンが近年登場しました。ロタウイルスワクチンは、弱毒化された生のウイルスを経口的に投与することにより、自然感染に類似した免疫を誘導し、疾患に対する防御効果を期待するものです。ロタウイルス感染症は、年少児に起こる生後初めての感染において、症状が最も重症とされています。複数回反復して感染することも多い病原体ですが、2回目は初回より、3回目は2回目よりも軽症化するのがロタウイルス感染症の特徴です。ロタウイルスのワクチンは、この理論に基づいて開発された予防のための手段です。 世界で、そして日本で、2種類のロタウイルスワクチンが使われています。ひとつはヒト弱毒化株の単価ワクチン(商品名:ロタリックス内用液)です。日本では昨年(2011年)11月から使われています。もうひとつはヒトロタウイルスとウシロタウイルスの弱毒化再集合体ウイルスを5種類含む5価ワクチン(商品名:ロタテック内用液)です。こちらは、本年(2012年)7月から使われるようになりました。本日は、この5価経口弱毒生ロタウイルスワクチンについて解説します。 下痢や嘔吐などの症状をスコア化して、重症のロタウイルス胃腸炎に対する予防効果を検討すると、5価ワクチン群からは発症が無かったのに対して、プラセボ群では10例に見られ、5価ワクチンの有効率は100%でした。海外における多数例に対するプラセボ対照試験でも、重症度を問わないロタウイルス胃腸炎を74.0%、重症ロタウイルス胃腸炎を98.0%予防したという結果が得られています。 また、5つの血清型ごとに解析しても、すべてのタイプに対して高い有効率が得られました。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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