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<スズケンDIアワー> 平成24年12月13日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全性情報最近の話題(30)-平成23年シーズンのインフルエンザ予防接種後副反応報告のまとめについて-


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

インフルエンザワクチンの副反応報告状況の比較

 報告された副反応の内容について、平成23年シーズンのインフルエンザワクチンの器官別大分類別副反応報告の内容は、平成22年シーズンの報告内容と比較して大きな変化はありませんでした。
 また、接種後の死亡報告は平成24年5月21日までに9例報告されましたが、専門家の評価によるといずれの症例も基礎疾患の悪化や再発による死亡の可能性が高いと考えられ、ワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係が認められた症例はないとされました。

ギラン・バレー症候群,急性散在性脳脊髄炎の可能性があるものとして報告された副反応症例注

 ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎の可能性があるものとして報告された副反応症例注1)は60例ありましたが、このうち専門家の評価もふまえギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎である可能性が否定できないとされた症例は、ギラン・バレー症候群が1例、急性散在性脳脊髄炎が8例でした。
 アナフィラキシーの可能性があるものとして報告された副反応症例注2)は51例ありました。しかし、このうち,ブライトン分類評価2)がレベル3以上でアナフィラキシーと評価された報告数は35例、うち重篤23例でした。ブライトン分類レベル3以上の報告頻度は10万接種当たり0.3でした。
 なお、アナフィラキシーの可能性があるものとして報告された51例のうち43例は、一般財団法人化学及血清療法研究所(以下 化血研)が製造したワクチンを接種した症例であり、ブライトン分類レベル3以上の症例のロット毎の報告頻度は最高10万接種当たり1.4と他社の報告頻度(最高10万接種当たり0.4)と比べて高かったことから、その原因について調査が行われました。
 その結果、化血研の製品において国家検定並びに製造販売業者が行う自家試験成績において問題は確認されず、製造工場での製造管理・品質管理についても特段の問題は確認されませんでした。
  一方で、化血研のインフルエンザワクチンにのみ保存剤としてフェノキシエタノールが含有されていることから、フェノキシエタノールがアナフィラキシー発生に及ぼす影響について行われた調査の結果、 特にアナフィラキシーを起こした患者の血液を用いた好塩基球活性化試験において、フェノキシエタノール単独刺激によるCD203cの発現量の増加はなかったものの、フェノキシエタノール入りインフルエンザワクチンで刺激するとCD203cの発現量が増加する症例が認められました。一方フェノキシエタノールを含まない化血研のインフルエンザワクチンとチメロサールを含む他社のインフルエンザワクチンで刺激したところCD203cの発現に差は認められませんでした。以上のことから、 念のための対応として平成24年シーズンについては、化血研のインフルエンザワクチンは保存剤をフェノキシエタノールからチメロサールに変更することになりました。

インフルエンザワクチン接種後のアナフィラキシーの発現について:すべての製剤についての留意事項

 また、インフルエンザワクチン接種後のアナフィラキシーの発現についてはすべての製剤について、平成24年シーズンも引き続き次の3点に留意が必要とされています。
 @ 接種後30分程度は、被接種者の状態を十分に観察すること
   A アナフィラキシーと思われる症状が認められた場合には、適切な処置を行うこと
 B 接種後に異常が認められた場合には、速やかに医師に連絡し診察を受けるよう被接種者・保護者の方に伝えること としています。
 安全対策に関する検討結果についてですが、平成21年4月1日以降平成24年3月31日までにPMDAに報告されたインフルエンザHAワクチンの副反応の報告状況についてはPMDAにおいて、整理、調査が行われ使用上の注意の改訂の必要性について検討が行われました。

インフルエンザHAワクチンの副反応の報告集積状況及び因果関係評価の結果より

 副反応報告集積状況及び因果関係評価の結果より、注意喚起の検討が必要と考えられた事象は、ネフローゼ症候群及び間質性腎炎でした。
 ネフローゼ症候群については、因果関係が否定できない国内症例が直近3年間で3例集積していることから、専門家の意見もふまえ使用上の注意に記載することが適切であると判断され、平成24年7月10日に使用上の注意の改訂が指示されました。間質性腎炎については、根拠となる症例が少なく因果関係が明確に判断できないことから、現時点では改訂しないと判断され3)今後の集積状況等に引き続き注意深く視ていくこととなりました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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