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<スズケンDIアワー> 平成24年12月20日放送内容より スズケン

DPP-4阻害糖尿病治療薬 アナグリプチン


那珂記念クリニック院長
遅野井 健

icon 朝夕2回のDPP-4阻害活性ピーク

 DPP-4阻害薬の薬効は、活性型のGLP-1によってもたらされるため、その分解酵素であるDPP-4の活性を十分に抑制する必要があります。アナグリプチンは1日2回の投与とすることで、用量調整の自由度を高め、24時間にわたっての十分な、DPP-4阻害活性を、維持できるように設計されています。有効性については、日本人2型糖尿病患者を対象とした、第U/第V相臨床試験および長期試験において検証されており、12週間でHbA1cが概ね0.8%低下し、その効果は52週にわたって維持されていました。

単独長期試験:HbA1cの推移

 DPP-4阻害薬には、1日1回投与の製剤と、1日2回投与の製剤があります。現段階では、薬剤間には明確な有効性の差は認められていませんが、それぞれの薬物動態には違いが認められます。
 アナグリプチンを朝に服用した場合には、服用後30分程度で、DPP-4の阻害活性はピークに達し、夕方頃には若干の低下が認められます。 そこで、夕食時に再度服用することになりますが、食生活との関連で言えば、この1日2回の投与が有用となります。このような服薬によって、24時間にわたっての血糖コントロールの改善が連続血糖測定で確認されています。

血糖値の24時間推移(CGM)

 最近では、期待していたDPP-4阻害薬が、あまり効かなかったという症例の報告も、少なくありませんが、そのなかにはヘビーな夕食を、夜遅く摂る習慣を持つ患者さんが含まれています。
 こうした患者さんにおいては、夕方の服用が有用と考えられますが、今後、臨床の現場で確かめていく必要が有ります。
 日本人は、夕食がヘビーになりがちであり、これは多くの糖尿病患者さんにも当てはまることから、日頃の生活指導もこの点には注意しています。
 糖尿病の生活指導では、1回1回の食事に留意させることが大切ですが、薬剤を朝と夕に2回服用することは、血糖管理上大きなポイントとなる、朝、夕の食事に対する意識を高める意味で有用と考えます。 また、アナグリプチンの用量は幅広く調節が可能であり、夕方あるいは遅い時間の食事に偏ってしまう傾向のある患者において、夜間の血糖コントロールが不良な場合には、朝は1錠で夕は2錠といった使い方も効果的と考えられます。
 それでも、まだコントロールが不良な場合には、朝も増量して朝2錠・夕2錠にすることもあるでしょう。

icon 副作用について

 私は、アナグリプチンを含めて、複数のDPP-4阻害薬の開発治験に携わりましたが、いずれにおいても、とくに問題になるような大きな副作用は経験しておりません。しかし、実臨床においては、更に長期にわたる慎重な評価が必要です。
 副作用発現の上で注目すべき点としては、まずDPP-4への選択性が挙げられ、アナグリプチンの選択性は非常に高いことがわかっていますが、臓器障害、とくに腎障害や肝障害における使用については十分に配慮する必要があります。
 通常、腎機能については、3ヶ月〜半年に1回程度評価して、処方を見直しますが、アナグリプチンにおいては、重度以上の腎障害で、投与回数を 100mg 1日1回に減らすことで対応します。一部のDPP-4阻害薬では、定期的な肝機能検査が必要となりますが、アナグリプチンは重度肝障害患者にも、禁忌ではなく投与が可能となっています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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