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<スズケンDIアワー> 平成25年1月10日放送内容より スズケン

悪性軟部腫瘍治療薬 パゾパニブ塩酸塩


国立病院機構大阪医療センター整形外科部長
上田 孝文

PALETTE:外部評価により判定された最良効果の要約

 外部評価により判定された最良総合効果は、部分奏功(PR)がプラセボ群では123例中0例(0%)であったのに対し、パゾパニブ群では246例中14例(6%)、安定(SD)がプラセボ群では47例(38%)、パゾパニブ群では164例(67%)、病勢進行(PD)がプラセボ群では70例(57%)、パゾパニブ群では57例(23%)でした。早期死亡はプラセボ群6例(5%)、パゾパニブ群3例(1%)であり、評価不能であったのはパゾパニブ群の8例(3%)でした。
 また、投与開始後の全生存期間(OAS: overall survival)の中央値は、パゾパニブ群で12.5ヵ月であったのに対し、プラセボ群では10.7ヵ月となり(HR: 0.86, 95%CI: 0.67~1.11, p=0.25)、統計学的には有意差を認めませんでしたが、パゾパニブ投与群でやはりOASが延長する傾向を示しました。治療期間中央値はプラセボ群が8.1週(範囲:1~52週)であったのに対し、パゾパニブ群では16.4週(範囲:0~79週)であり、パゾパニブ投与により疾患の増悪なく治療期間が延長する傾向を示しました。
 パゾパニブ投与群でより多く見られた有害事象(副作用)の主なものとしては、下痢130例(54%)、疲労126例(53%)、悪心116例(48%)、高血圧94例(39%)、毛髪の色素脱失93例(39%)、食欲不振82例(34%)、体重減少73例(30%)、味覚異常65例(27%)、嘔吐61例(25%)、口内炎26例(11%)、皮膚障害26例(11%)などが認められ、重篤な副作用としては、肝不全・肝機能障害(4.6%)、高血圧クリーゼ(頻度不明)、心機能障害(5.4%)、心電図上でのQT間隔延長(0.8%)や心室性不整脈(頻度不明)、動脈血栓性事象(0.8%)、静脈血栓性事象(2.9%)、出血(15%)、甲状腺機能異常(7.1%)、蛋白尿(0.8%)、感染症(9.2%)、創傷治癒遅延(0.4%)、間質性肺炎(0.4%)、可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)などが認められました。また薬剤の用量減量はパゾパニブ群92例(39%)、プラセボ群5例(4%)で行われており、その主な理由としては、高血圧、疲労、下痢、食欲不振、悪心・嘔吐、手足症候群、肝酵素濃度上昇があげられました。なお、抗血管新生チロシンキナーゼ阻害薬に最も関連する臨床検査値異常としては、肝酵素濃度の上昇が認められました。

ヴォトリエント

 以上の解析結果より、化学療法治療歴のある進行性の軟部肉腫患者(PALETTE試験では脂肪肉腫症例は除外)に対し、パゾパニブは新規の治療選択肢となることが結論付けられ、わが国でも欧米に引き続き2012年9月に進行性軟部肉腫に対する新規の治療薬として、一定期間の市販後全症例使用成績調査を実施することを条件とする希少疾病用医薬品(いわゆるオーファンドラッグ)として製造・販売が承認されました。2012年11月22日より、全国の主要施設で市販薬として使用可能となっています。投与量は欧米と同じく、1日1回800r(200r錠を1日4錠)となっていますが、副作用などに応じて適宜減量することができます。

icon おわりに

 以上、軟部肉腫に対する初の新規分子標的治療薬であるパゾパニブについて解説してきましたが、この他にも現在、骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)に対する新規の抗腫瘍剤の開発が進んでいます。しかしながら、骨・軟部肉腫のような稀な疾患においては、わが国単独での新規治療薬の開発・治験は困難であるため、国際的多施設共同臨床試験への参加や、海外での臨床試験と連動しての国内での比較的少数例による臨床試験・治験を効率よく行うことにより、少しでも多くの有効な新薬開発を目指すことがその治療成績の向上に役立つものと考えており、骨・軟部腫瘍専門施設の医師の方々や患者さんの協力をこれからもぜひお願いしたいと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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