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<スズケンDIアワー> 平成25年1月17日放送内容より スズケン

がん性疼痛治療薬 メサドン塩酸塩


獨協医科大学麻酔科学教授
山口 重樹

icon 厚労省医薬食品局からの勧告について

 本邦では,今年,メサドンがいよいよ臨床使用が開始されます。
 しかし,これまでに述べてきたことを理由に,その使用は相当の制限を受けています。
 臨床使用が開始されていないにもかかわらず,昨年9月には,「厚生労働省医薬食品局」から「メサドン塩酸塩製剤の使用にあたっての留意事項について」という勧告がだされています。
その骨子を述べますと,
@「メサドンの効能効果は他のオピオイド鎮痛剤で治療困難ながん疼痛」である
A「本剤の処方・使用にあたっては,医師は製造販売業者の提供する講習を受講するとともに,薬剤師は,処方医が講習を終了した医師であることを確認した上で調剤すること」
B「本剤はQT延長やTorsades de pointesを含む心室頻拍,呼吸抑制等があらわれ,死亡に至る症例が報告されているため,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」
などです。
 そして,国内での治験症例が限られた数であったため,臨床使用開始から当面は全例調査が義務付けられていて,調査終了後に再評価されることになっています。
 是非,今のうちに,メサドンに関する勧告に目を通しておいていただきたいと思います。
 このような勧告が臨床使用開始前に出されたということを考えると,メサドンは他のオピオイドとは異なり,安易な処方があってはならないということです。
 一部では,メサドンをモルヒネ,フェンタニル,オキシコドンに続く第四のオピオイドと考えてしまっている人がいるようですが,そのような考え方は非常に危険です。
 メサドンは,世界保健機構の三段階徐痛ラダーの第三段階目のオピオイド鎮痛薬でなく,その上の特別な鎮痛薬と考えることが正しい理解かと思います。
 メサドンが本邦において認可されたからといって,多くの患者さんに処方されるというよりは,世界保健機構の三段階徐痛ラダーによる治療に抵抗する一部の患者さんにのみ処方されるということだと思います。
 また,本邦ではメサドンの臨床経験が皆無に近い状態であるため,当面はがん疼痛のオピオイド処方に精通した医師に限ってメサドンが処方されることが望ましいと思われます。
 本邦においてメサドンがやっと承認に至ったのにもかかわらず,深刻な問題が続出して承認取り消しといったことにならないように,社会全体で考えていかなければならないと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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