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<スズケンDIアワー> 平成25年1月24日放送内容より スズケン

加齢黄斑変性治療薬 アフリベルセプト(遺伝子組換え)


東京女子医科大学眼科学教授
飯田 知弘

icon はじめに

 加齢黄斑変性は欧米では中途失明の主要原因ですが、わが国でも近年急速に増加しており、眼科領域での最重要疾患のひとつです。疫学研究である久山町研究によると、加齢黄斑変性の有病率は、1998年には50歳以上の0.9%でしたが、2007年には1.3%に増加しています。患者さんは、人の顔が区別できなくなる、あるいは、本や新聞などを読むときに、読みたいところが見えないなど、日常生活に大きな支障を来し、その治療法の確立が急務です。ここ数年の間に、加齢黄斑変性の治療はめざましい進歩を遂げており、症例によっては視力の改善が得られるようになってきました。本日は昨年(2012年)11月27日に発売された新規の加齢黄斑変性治療薬アフリベルセプト(商品名:アイリーア)について、その奏功機序、臨床試験の結果、投与法、使用上の注意点などについて述べさせていただきます。

icon 滲出型加齢黄斑変性の治療

 加加齢黄斑変性は滲出型と萎縮型の二つのタイプがありますが、現在、臨床的に治療の対象になるのは滲出型です。滲出型加齢黄斑変性は、黄斑部に脈絡膜新生血管が生じて、そこからの出血や滲出のために、視力が急激に低下する疾患で、失明に至ることもあります。日本人には滲出型が多くみられます。
 脈絡膜新生血管が中心窩の下に生じた場合、光線力学的療法や血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤の硝子体内注射が行われます。VEGF阻害剤として、2008年10月にペガプタニブ(商品名:マクジェン)が、2009年3月にはラニビズマブ(商品名:ルセンティス)が発売されて、加齢黄斑変性治療の第一選択はこれらによる抗VEGF療法となってきました。特にラニビズマブは臨床試験で平均視力の改善効果が確認され、従来は視力維持を目的としていた加齢黄斑変性治療に新たな時代をもたらしました。
 しかし、抗VEGF療法にもいくつかの問題点があることがわかってきました。まず第1に、頻回の診察と治療が必要なことです。抗VEGF療法では継続的な治療が必要で、ラニビズマブの臨床試験では4週毎の硝子体内投与が行われました。これは視力の面からは理想的ですが、実際の診療では困難です。そこで、最初に、4週毎に計3回の投与を行い視力の改善を得て、その後は改善された視力を維持するために、1カ月毎に経過観察を行って必要に応じて投与する方法が一般的に行われています。この方法でも患者側、医療者側双方の負担は大きいものです。
 第2に、効果不十分な症例が存在することです。ラニビズマブを投与しても初めから視力改善効果が得られない症例は全体の約25%にみられ、また、最初は効果が出ても途中から視力の維持ができなくなる症例は約20%というデータもあります。後者は免疫学的耐性が関係していると考えられています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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