→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成25年1月31日放送内容より スズケン

DI実例集(177)CRRT(持続的腎代替療法)施行下での薬物療法


名古屋大学附属病院薬剤部薬剤主任
宮川 泰宏

 本日は、ICU領域で主に用いられる持続的腎臓代替療法と、それに伴う薬剤調節について、ご説明申しあげます。

icon 持続的腎代替療法とは

持続的腎代替療法

 持続的腎臓代替療法は持続的血液ろ過透析や持続的血液ろ過などの総称として扱われます。血液ろ過は血液透析よりも大きな分子が除去できますが、時間当たりの除去効率は血液透析よりも悪いという欠点があります。この欠点を補うために24時間持続で行う方法が考案され、主にICUで持続的血液ろ過透析などとして用いられています。持続的腎臓代替療法は、敗血症、多臓器不全などの通常の透析ではバイタルサインが乱れやすい患者に対して行われ、電解質・酸塩基・過剰な水分のバランスを取ることが目的とされます。血液ろ過では高分子でも除去できるため、割合を増やすことで、よりサイトカインが除去できると考えられております。この領域は、まだ研究が十分にはされていませんのでサイトカインを有意に除去できるか真偽は不明ですが、白血球数、CRPや発熱などの炎症反応は施行の前後で明らかに低下します。また、状況によってはエンドトキシン吸着膜などを併用することもあります。

薬剤除去に影響を与える因子

 教科書や論文などに投与量の目安が記載されていることもありますが、本来は機械の設定と患者の残腎機能の両方から、個々の患者ごとに考える必要があります。除去率に影響を与える因子として、まずは膜の種類があります。ポリスルホン、ポリアクリル二トリル、ポリメチルメタクリレイトなどが主に用いられており、これらの材質により除去効率に違いが発生します。また、浄化効率として透析液流量とろ過流量により影響を受けます。除水量設定も参考とすることがあります。ICUでは腎臓の代替目的以外でも持続的腎臓代替療法を行いますので、患者自身の腎機能は様々です。薬剤によっては膜による除去率だけではなく残された腎機能も大きく影響することもあります。残腎機能を推測するためには時間当たりの自尿なども参考にしなければなりません。そして、透析の種類ごとに薬剤の除去率が変化します。血液透析は分子量5千以上では効率が悪くなりますが、血液ろ過は分子量にかかわらずクリアランスはあまり変化しないと考えられています。持続的血液ろ過では中分子・高分子が除去され、持続的血液透析では主に低分子化合物の除去、持続的血液ろ過透析は低分子から高分子を広く除去することができます。薬剤の分子量と蛋白結合率、排泄経路として腎臓が占める割合により、透析の種類ごとで除去効率は異なるため文献によってはそれぞれの投与量が異なることもあります。持続的腎臓代替療法と一言でいいましても内容は様々です。これらを踏まえた上で投与量は増減させなければなりません。

icon 電解質管理について

K,Ca,Mg,P

 持続的腎臓代替療法を行っている際の電解質管理では、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどが通常の透析よりも除去されやすいことに注意します。そのため、ICUでは毎日の採血検査や血液ガスにより適正値を保ちます。ICUにおける補正方法としましては、カリウムは心房細動などが発生しているときは4.0 mEq/L以上とし、心室細動などの重篤疾患では4.5 mEq/L付近を保ちます。投与は中心静脈より1時間で20 mEq/h以内の補正とし、1〜2 時間後に血液ガスで再確認して必要であれば再投与します。中心静脈がとれなければ末梢から40mEq/L以内の濃度で投与しますが、濃度が薄いため末梢から頻回に投与を行うと水分負荷が多すぎることもあります。そのため、緊急性の高い患者では中心静脈ルートを積極的に確保します。カルシウムやマグネシウムは心機能が低下している時は、カルシウムは正常値の上限あたりを、Mgは2.5〜3mg/dL付近を目標とします。リンも低下しやすいため、適宜正常値を保つように補正を行います。透析で除去される分を見越して、あらかじめサブラッドなどの透析液に電解質を混注することもあります。

 

提供 : 株式会社スズケン



1 2 3 次項へ