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<スズケンDIアワー> 平成25年1月31日放送内容より スズケン

DI実例集(177)CRRT(持続的腎代替療法)施行下での薬物療法


名古屋大学附属病院薬剤部薬剤主任
宮川 泰宏

薬剤の設定

 また、腎臓のクリアランスの割合が全身クリアランスの中で極端に大きい薬剤では、残された腎機能が血中濃度を左右することがあります。残腎機能に左右されやすい薬剤は無尿である場合は推奨投与量の中で少ない側で設定を、自尿がある場合は多い側の投与量に設定するとよいこともあります。残腎機能の影響を受ける薬剤の例としては透析の影響を受けにくいトロンボモデュリンや、2012年のinternational scholarly research network pharmacology に論文が掲載されたドリペネムなどが該当します。自尿があればトロンボモデュリンは通常用量でよいと考えられますが、無尿であれば持続的腎臓代替療法といえども透析用量に設定することをお勧めします。持続的血液ろ過透析で残腎機能の影響を大きく受けない薬物の例としては、バンコマイシンやテイコプラニンなどがあり、透析回路の効率が悪くなければTDMシミュレーションソフトにおいてクレアチニン・クリアランスとして30mL/minあたりに設定で良好な結果が得られます。持続的血液ろ過透析での維持量として成人ではバンコマイシンは0.5g/日、テイコプラニンは4 mg/kg/日が目安となります。メロペネムやアンピシリンなどは自尿中への排泄と透析液流量、ろ過流量を厳密には個々に考慮しなければなりませんが、疾患による投与量の幅が大きい薬剤でもあるため続緩的血液ろ過透析であればガイドラインの投与量設定で有効濃度に達するとともに過量投与にはいたらないと考えられます。髄膜炎や心内膜炎など健常人でも高用量が必要である場合や、透析回路が頻繁に閉塞する、透析条件が悪い場合などでは注意が必要です。投与量が不明である薬剤に関しては、文献などに記載されている透析もしくは血液ろ過による除去率と、腎不全時での血中濃度推移、排泄部位と割合からおおよそのクリアランスを予測するしかありません。High flow で行うろ過透析や、血漿交換・血漿吸着などを行う場合にいたっては、血中濃度の予測は非常に困難で、健常人での用量以上が必要となることもありますが至適投与量は不明です。

その他の薬剤

 抗不整脈薬に関しては未だ文献が乏しく、今後の解析が期待されます。わずかなガイドラインなどを参考にしますと、維持量の目安としてはクレアチニン・クリアランスが10〜50mL/minでの投与量として設定されています。緊急性の高い薬剤を投与する際の注意点として、初回用量は減量せず維持量が減量されるということがあげられます。血中濃度が定常状態の場合、腎不全患者での投与量は排泄の低下により減量となりますが、その一方で分布容積は健常人と大きく異なりません。そのため、薬剤が体内に存在しない状態で初回量を減量すると血中濃度は十分に上昇せず、定常状態に達するまで時間がかかります。2回目の投与より、投与間隔を延ばす、1回量を減らすなどの調節を考慮ください。 >  本日、紹介させていただきました持続的腎臓代替療法は、救急領域におきまして今後の臨床研究が強く望まれている分野であり、情報は日々更新されています。そのため、本日の内容は数年後には時代遅れとなる可能性もありますので、常に最新の情報を入手ください。

 

提供 : 株式会社スズケン



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