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<スズケンDIアワー> 平成25年2月7日放送内容より スズケン

グリシルサイクリン系抗菌薬 チゲサイクリン


愛知医科大学大学院臨床感染症学教授
三鴨 廣繁

icon チゲサイクリンとは

構造式

 チゲサイクリンは、グリシルサイクリン系に属する抗菌薬であり、グラム陽性菌、緑膿菌を除くグラム陰性菌、非定型菌、嫌気性菌に抗菌活性を示す広域な抗菌スペクトルを有しています。

チゲサイクリンのグラム陽性菌、グラム陰性菌に対する抗菌活性

 チゲサイクリンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などの多剤耐性グラム陽性菌のほか、基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生のグラム陰性菌にも抗菌活性を示し、その抗菌活性は薬剤不活化、リボソームの保護、能動排出ポンプなどの発現による耐性化の影響を受けないのが特徴です。

チゲサイクリンのPseudomonas属,Proteus属,Providencia属に対する抗菌活性

 チゲサイクリンは、現在、欧米のガイドラインで複雑性皮膚軟部組織感染症および複雑性腹腔内感染症に対する治療薬の選択肢の一つとして推奨されており、2011年に欧州で公表された複雑性腹腔内感染症に対するガイドラインでは、MRSA、VRE、ESBL産生腸内細菌科菌群、特に大腸菌およびKlebsiella属、Acinetobacter属、およびカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌などに対して推奨されている抗菌薬の一つです。わが国では、多剤耐性菌感染症患者における治療薬は限られていることから、感染症関連の四学会、日本感染症学会、日本化学療法学会、日本環境感染学会、日本臨床微生物学会が、コリスチンやチゲサイクリンなどの薬剤をわが国でも早期に使用できるよう、2010年に「多剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症に関する四学会からの提言」を公表したことをうけ、ファイザー株式会社がわが国での開発を再開し、2012年9月承認を取得し、11月に発売になりました。しかし、開発にあたって第1相臨床試験は日本人ボランティアで実施されましたが、日本人の感染症患者を対象とした臨床評価は行われておらず、外国で実施された試験成績に基づいてまとめられています。また、多剤耐性菌に関する臨床経験は外国試験においても限られており、海外文献や少数の臨床使用経験などから得られた情報も参考にして認可されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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