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<スズケンDIアワー> 平成25年2月7日放送内容より スズケン

グリシルサイクリン系抗菌薬 チゲサイクリン


愛知医科大学大学院臨床感染症学教授
三鴨 廣繁

icon チゲサイクリンの安全性

坦懐静脈内投与後の組織移行率

 チゲサイクリンの主な副作用は、悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状です。海外の第3相および第4相試験の統合解析の結果、チゲサイクリン群で治験薬との因果関係を問わない死亡率が高い傾向が認められています。チゲサイクリンと死亡の関連性は明らかではありません。しかしながら、チゲサイクリン投与の際はリスク・ベネフィットを考慮することが必要です。さらに、院内肺炎に対する効果と安全性は確立していません。テトラサイクリン系抗菌薬と構造が類似しているため、光線過敏症、頭蓋内圧上昇などの類似の有害事象が認められています。また、歯牙着色の可能性があり、8歳以下の小児に使用すべきではありません。妊娠中の女性に使用すると骨形成遅延に伴う重量減少など胎児に有害であることが判明しており、妊婦および授乳婦に安全性は確立されていません。さらに、18歳以下の小児などに対する有効性および安全性は確立していません。国内における本剤の使用経験が限られていることから、今後の安全性情報の集積が必要です。

icon チゲサイクリンが適応となる感染症と治療時の留意点

チゲサイクリン投与で発現した主な副作用

 チゲサイクリンは、
 適応菌種:本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、アシネトバクター属、ただし、他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る
 適応症:深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎
 効能・効果に関連する使用上の注意: 1.本剤の使用は、β-ラクタム系、フルオロキノロン系及びアミノ配糖体系のうち2系統以上に耐性を示した菌株であり、抗菌活性を示す他剤が使用できない場合にのみ使用すること。
2.本剤は緑膿菌に対して抗菌活性を示さないため、緑膿菌との重複感染が明らかである場合、抗緑膿菌作用を有する抗菌薬と併用すること。 となっています。
 日本化学療法学会では、チゲサイクリン適正使用のための手引きを作成し、その中でチゲサイクリン使用にあたっての留意点を11項目あげています。
1. 他の抗菌薬不応例(特にESBL産生株など)でかつ、β-ラクタム系薬(β-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬、第3-4世代セフェム系薬、カルバペネム系薬)、フルオロキノロン系薬、アミノ配糖体系薬のうち2系統以上に耐性を示す場合に治療対象とする。
2. 他の抗菌薬が無効か使用できない患者が対象となるため、エンピリックな使用は慎むこと。
3. 感染症専門医など感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師の指導の下で使用すること。
4. 使用にあたっては、保菌か感染症かの鑑別およびソースコントロールが重要である。
5. 原因微生物に対するチゲサイクリン、および他の抗菌薬に対する薬剤感受性試験を実施すること。
6. 第3相および第4相臨床試験の計13比較対照試験を集積して解析した結果、対照薬群と比較しチゲサイクリン投与群では死亡が高率に認められたため、チゲサイクリン投与の際はリスク・ベネフィットを考慮すること。
7. 複数菌感染症には十分注意すること。特に、緑膿菌は感受性を示さないので、緑膿菌との混合感染には、抗緑膿菌作用を持つ抗菌薬による併用療法を実施すること。 8. チゲサイクリンの基本的な投与期間は5〜14日以内とし、安全性、耐性化の観点から安易な長期使用は慎むこと。
9. 米国で承認されている市中肺炎に関しては、国内での使用経験がないので現時点では推奨できない。
10. 外国で承認されているMRSA、VRE、嫌気性菌など、あるいはESBL産生菌に関しては、既に国内で承認されている選択肢を優先すること。
11. 外国で多剤耐性グラム陰性菌感染症に対する緊急避難的にチゲサイクリンを使用した経験が報告されているが、一般的使用として推奨するものではない。参考までに、菌血症を伴うような重症例では、抗緑膿菌作用を持つ抗菌薬などとの併用が多く報告されている。

 チゲサイクリンが発売されたことは日本国民にとって朗報ではありますが、適正使用が強く望まれることを認識する必要があります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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