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<スズケンDIアワー> 平成25年2月14日放送内容より スズケン

COPD治療薬 吸入用グリコピロニウム臭化物


市立岸和田市民病院呼吸器内科
加藤 元一

 現在、COPDの治療薬として世界で最も使用されています既存の長時間作用性抗コリン薬であるチオトロピウムとの比較検討を行ったGlow2 studyにおきましては、投与52週間までの早朝1秒量の値はグリコピロニウム群で1日後、12週間後、26週間後、52週間後でプラセボと比べ、それぞれ91mL、97mL、134mL、108mLの改善を認めました。一方、チオトロピウム群では、それぞれ83mL、83mL、84mL、89mLの改善を認め、それぞれの薬剤でプラセボとの優位性が、またグリコピロニウムとチオトロピウムとの間での同等性が証明されました。
   ここまでの解説では、グリコピロニウムは単にチオトロピウムの二番手と言った感じをお受けになるかもしれませんが、グリコピロニウムには、極めて重要な特徴があります。すなわち、この薬剤は速効性を示すということです。

 GLOW2における各薬剤吸入後5分、15分、30分、1時間、2時間における1秒量の値は、グリコピロニウム群では、チオトロピウム群に比べ有意の上昇を認めています。言い換えますと、グリコピロニウムは、短時間作用性交感神経β2刺激薬(SABA)と同等の速効性を持つ気管支拡張効果を示します。
 このことは、グリコピロニウムがCOPD患者の吸入コンプライアンスの改善をもたらす可能性があることを示します。
   一般的にCOPD患者は、病態がかなり進行してから治療介入されることが多く、1秒量などの肺機能検査値も悪く、治療後速やかに改善を実感することが乏しい傾向があり、特に手間の掛かる吸入治療は気管支喘息と並んで脱落してしまう頻度が多いと考えられます。このようなCOPD患者の治療コンプライアンスを改善するには、治療効果を速やかに実感していただく必要があります。グリコピロニウムの1秒量改善効果、言い換えますと気管支拡張効果はSABAや、長時間作用性交感神経β2刺激薬である、インダカテロールやフォルモテロールと遜色のないものであり、使用した患者はそれを実感することができます。
 吸入デバイスは、ブリーズへラーと呼ばれインダカテロールと同じ形式のものが使用されています。カプセルをデバイスに挿入し、吸入を行いますが、吸入は簡便で、高齢者の多いCOPD患者でも比較的容易に使用することが可能です。ただし、指の巧緻性が減少する高齢者では、カプセルの取り扱いがうまくいかないことも考えられ、また適切な吸入指導なしでは、薬剤の有効性が自ずと減弱してしまうこともあり得ることを常に考えながら処方を行うことが必要です。

icon COPD治療の留意点

 COPD治療は、基本薬剤としての長時間作用性抗コリン薬および長時間作用性交感神経β2刺激薬のどちらかをまず使用し、十分な改善が得られなかった場合に他方を加えることが基本です。したがいまして、チオトロピウムあるいは、グリコピロニウムをまず使用し十分な改善が得られなかった時にはインダカテロールなどの長時間作用性交感神経β2刺激薬を併用するとされています。しかしながら、吸入薬の効果は薬効が同等であったとしてもデバイスにより差を認めることは気管支喘息でも報告されています。
 チオトロピウムで十分な効果が認められなかった場合は,薬剤を同系統ではありますが、グリコピロニウムに変更したり、または、別系統のインダカテロールなどに変更して単剤で様子を見ることも選択肢の一つと考えられます。
    薬剤を増やして上乗せ効果を見る前に、どの薬が患者に最もフィットするかを見ることも大切であり、吸入指導を繰り返して、個々の薬剤の有効性をより引き出す努力も必要です。 特に患者コンプライアンスを増加させる一つの特徴である、速効性を持つ抗コリン薬であるグリコピロニウムは、薬剤変更により効果が引き出せる可能性のある薬剤として臨床応用していただきたいと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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