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<スズケンDIアワー> 平成25年3月7日放送内容より スズケン

アミノグリコシド系抗菌薬 吸入用トブラマイシン


みよし市民病院 院長
成瀬 達

 嚢胞性線維症における緑膿菌の呼吸器感染に伴う症状の改善を目的として、吸入用トブラマイシン(商品名:トービイ吸入液300mg)が、2013年1月より市販開始となりました。嚢胞性線維症は非常に稀な病気です。そこで、今日は、まずこの病気の原因と病態を簡単に説明します。次に、治療における吸入用トブラマイシンの役割と、期待される効能および使い方についてお話します。

icon 嚢胞性線維症とは

 嚢胞性線維症は、3,000人に1人と、白人では最も頻度の高い遺伝性疾患です。しかし、日本人では極めて稀な病気です。厚生労働省の難治性膵疾患に関する調査研究班による第4回全国疫学調査では、2009年の受療患者数は15名、年間の受療頻度は約150万人に1人でした。

嚢胞性線維症の臨床症状と所見

 この病気は、第7染色体上にあるCFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)遺伝子の変異を原因として発症し、劣性遺伝します。CFTR遺伝子には外分泌腺のCFTRと呼ばれるクロライドイオン(Cl-)チャネルの遺伝情報が含まれています。遺伝子変異の結果、細胞膜のCFTRチャネルが消失したり、その機能が低下したりすると、細胞はクロライドイオンと共に水を分泌することができなくなります。このため全身の分泌液が著しく粘稠になり、消化器や呼吸器など様々な臓器が冒されます。消化管では腸液の粘稠性が非常に高くなるため、胎便性イレウスがおきます。膵管は粘液で閉塞するため嚢胞状に拡張し、膵臓が線維化するため膵嚢胞線維症となります。これが病名の由来です。膵臓は膵外分泌不全となり、脂肪便や栄養障害・発育障害がおきます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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