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<スズケンDIアワー> 平成25年3月7日放送内容より スズケン

アミノグリコシド系抗菌薬 吸入用トブラマイシン


みよし市民病院 院長
成瀬 達

icon トブラマイシンの吸入療法

 吸入トブラマイシン(商品名:トービイ)はアミノグリコシド系抗生剤であるトブラマイシンの吸入用製剤です。トブラマイシンを吸入すると、全身の副作用を避けながら、血液の20-50倍の高い濃度の薬剤を気道にもたらすことができます。
トブラマイシンの吸入療法は、
  1)呼吸機能(FEV1)の改善、
  2)入院日数の減少、
  3)抗菌薬の静注投与を要する日数の減少
などの効果がありました。これらの報告に基づき、米国のガイドライン3)では6歳以上の中等症もしくは重症患者では、持続性の緑膿菌感染があれば、トブラマイシンの吸入療法を強く推奨しています。無症状もしくは軽症の患者では、トブラマイシンの吸入療法は、急性増悪の頻度を減らします。6歳未満の患者での有効性と安全性は確立していません。
 トブラマイシンの吸入療法の副作用は主に、咽頭症状、咳、嗄声など薬剤の吸入に関連するものです。重篤な副作用は少ないですが、耳鳴りの頻度は、治療群ではコントロール群より多いと報告されています。第8神経に障害がある人や、腎障害のある人では、慎重に投与する必要があります。

 トービイR吸入液300mg

 使用方法はトブラマイシン300rを、1日2回、28日間噴霧吸入します。その後28日間休薬し、これを1サイクルとして繰り返します。1日の投与間隔は12時間とし、少なくとも投与間隔を6時間以上あける必要があります。噴霧吸入には指定のネブライザー(パリ・LCプラス)とコンプレッサー(プロモエイド)を使用します。自宅で使うので、患者と家族に使用目的と適切な使用法を十分指導する必要があります。
 トブラマイシン吸入療法は単独で行うことはなく、前に述べた気道のクリアランスを維持するための理学療法や吸入療法と併用します。どの順番で行うと良いかは決まっていません。気道の末端まで薬剤を有効に行き渡らせるためには、
  1)気管支拡張薬の吸入により気管を拡張させ、
  2)高張食塩水の吸入により分泌液の水分含量を増やし、
  3)ドルナーゼアルファの吸入によりDNAを分解して分泌液の粘稠性を下げ、
  4)理学療法により分泌液を喀出した後に、トブラマイシンの吸入を行う
と良いと思われます。

icon おわりに

 わが国では患者数が少ないため、トブラマイシンの吸入液の国内臨床試験は実施されていません。今回は海外でのデータに基づき、製造販売が承認されました。今後、この治療法がわが国の患者さんに行き渡ることにより、より良い日々の生活と予後の改善がもたらされることを祈念して、私の話を終わります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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