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<スズケンDIアワー> 平成25年3月21日放送内容より スズケン

持効型インスリンアナログ製剤 インスリン デグルデク(遺伝子組換え)


川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科教授
加来 浩平

icon はじめに

 1921年のインスリン発見以降、糖尿病治療におけるインスリンの貢献は、はかり知れないものがあります。初期の動物由来インスリンによる生命維持を目的とした治療から、現在では製剤の開発・改良の目覚ましい進歩を背景に、強化インスリン療法による生理的なインスリン分泌プロファイルの再現も可能な時代になりました。現在、インスリン基礎補充のための持効型ヒトインスリンアナログとして、インスリングラルギンとインスリンデテミルが広く使用されています。これらは、従来の中間型NPHインスリンに比べると、持続時間が長く安定した吸収を示しますが、作用持続時間は十分ではなく、内因性インスリン分泌能が枯渇した1型患者などでは、しばしば1日2回注射を余儀なくされます。また作用が一定ではなく多少ともピークがみられることから、夜間低血糖リスクや用量調節が困難といった基礎補充インスリンとしては満足できるものではない点が指摘されていました。
 本日紹介する持効型ヒトインスリンアナログ製剤 インスリンデグルデクは、これらの問題点を克服し、夜間低血糖発現リスクがより少ない、理想的な基礎補充型インスリン製剤として大きな話題を集めています。
 インスリンデグルデク(商品名トレシーバ)は、日本を含む世界各国で臨床開発が進められ、我が国では世界に先駆けて承認され本年3月7日から臨床使用が可能となりました。

icon インスリン デグルデクの構造

インスリン デグルデクの構造

 インスリンデグルデクはヒトインスリンに遺伝子工学的修飾を加える事で製剤化されたヒトインスリンアナログですが、その製剤上の特徴として、まず構造ですが、ヒトインスリン分子のB鎖30位アミノ酸を取り除き、26位にL?γ?グルタミン酸をスペーサーとして脂肪酸のであるヘキサデカンニ酸を側鎖として有しています。

インスリン デグルデクの半減期

 長時間作用するメカニズムですが、注射後、まず側鎖を介して皮下で速やかに結合し、可溶性の長いマルチヘキサマーを形成します。その後、体液により希釈をされ、ゆっくりと亜鉛が放出され、個々のヘキサマーが分解され、徐々にモノマーを放出します。

24時間平均血中濃度推移プロファイル

 そのため、1日1回の皮下注射で24時間以上にわたって平坦で安定した薬物動態プロファイルを示すことが可能になりました。血中半減期はほぼ25時間程度であることから、投与3日目以降は、投与インスリンの血中濃度はほぼ定常状態を示す事になります。

血糖降下作用の個体内変動

 本製剤の特徴をまとめますと、作用持続時間が長く、かつ作用のピークが無い安定したインスリン効果を発揮する事から、夜間低血糖のリスク増加を伴わずに空腹時の血糖コントロールを可能にするものと期待されます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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