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<スズケンDIアワー> 平成25年3月21日放送内容より スズケン

持効型インスリンアナログ製剤 インスリン デグルデク(遺伝子組換え)


川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科教授
加来 浩平

icon 臨床試験成績から

インスリンデグルデクとインスリングラルギンの夜間低血糖リスクの比較

 それでは、インスリンデグルデクの臨床試験の代表的なものを紹介し、本製剤の臨床的有用性について考察したいと思います。1型、2型糖尿病患者を対象に、数多く実施されたと臨床試験の中から、まず1型糖尿病患者を対象とした第3相試験、Basal-Bolus Type1 LONG試験を紹介致します。
 本試験は6カ国79施設から参加した成人1型糖尿病患者629人を対象として、Basal-Bolus療法における基礎インスリンとしてインスリンデグルデクを1日1回投与し、その有効性および安全性を、インスリングラルギンと比較する無作為化オープンラベル並行群間試験として実施されました。対象は18歳以上、HbA1c 10%未満、BMI 35kg/u未満で、少なくとも1年以上Basal-Bolus療法を継続している1型糖尿病患者で、インスリンデグルデク投与群、インスリングラルギン投与群を3:1に無作為割付け、52週間観察しました。両群ともに食前投与のBolusインスリンとしてはインスリンアスパルトが使用されています。

 試験の主要評価項目は、treat to target法、即ち自己測定血糖値に基づく一定のインスリン投与アルゴリズムに則り、ベースラインから52週間後のHbA1c低下度の両群間での非劣性を確認する事であり、副次評価項目として、Health related quality of life (HRQoL)スコア、安全性に関して夜間および1日の低血糖発現回数などを評価し、トータルでの有用性評価を行いました。

 投与開始52週後のHbA1c低下度は、インスリンデグルデク群で?0.4%、インスリングラルギン群で?0.39%であり、両群に有意差はなく、デグルデクのグラルギンに対する非劣性が確認されました。52週後の、基礎インスリン投与量、ボーラスインスリン投与量、1日インスリン総投与量は、いずれも、インスリンデグルデク群においてインスリングラルギン群よりそれぞれ-14%、-10%、-11%と低値を示しました。52週時点での1日自己測定血糖値は、両群とも全ポイントで試験開始時に比べて低下し、朝食前血糖値はインスリンデグルデク群で対照群より有意な低下がみられました。空腹時血糖値が90 mg/dL未満になるまでの平均到達日数は、デグルデク群 で5週、グラルギン群10週であり、デグルデク群で有意に早く、HRQoLスコアについては、両群間に有意差を認めませんでした。
 低血糖発現率はデグルデク群で1人当たり年間42.5件、グラルギン群40.2件と有意差はなかったのですが、夜間低血糖の発現率はデグルデク群4.4件、グラルギン群5.9件とデグルデク群で有意に低率でした。体重増加量は両群間で差がなく、その他の身体所見、眼底所見などについては、両群間で有意差を認めませんでした。
 その他の有害事象発現率は両群間に差はなく、問題となる副作用はないと判断されました。注射部位の皮膚反応は両群とも低頻度であり、重篤なものはありませんでした。また、インスリンデグルデクの特異的抗体は検出されず、デグルデクおよびヒトインスリンの交叉抗体価も試験期間中を通じて低値でした。
 インスリンデテミルを対照薬とした、日本人1型患者を含む試験でも、ほぼ同様の結果が得られました。即ち、HbA1c低下度で両群間に非劣性が確認された条件下でインスリンデグルデク群は、インスリンデテミル群に比し、夜間低血糖発現リスクの有意な減少が認められました。
 一方、成人2型糖尿病における有用性についても、インスリングラルギンを対照薬として、Basal-Bolus療法、更には経口血糖降下薬と併用したいわゆるBOT療法におけるインスリンデグルデクの評価がなされています。主要評価項目は1型の場合と同様に、52週間後のHbA1c値の変化であり、副次評価項目として空腹時血糖値、食後の血糖上昇度、HRQoLスコアなどに加え、有害事象発現率、低血糖発現頻度、インスリン投与量、体重、眼底所見、心電図などを評価しました。

 投与52週後のHbA1c低下度は、デグルデク群で?1.10%、グラルギン群で?1.18%と、両群に有意差はなく、非劣性が確認されました。インスリン使用量は、試験期間中を通じ両群で増加がみられ、デグルデク群では基礎インスリン投与量の増加率が高く、グラルギン群ではボーラスインスリン投与量の増加率が高いという傾向がみられましたHRQoLアンケート調査では、身体的苦痛に関するスコアについて、デグルデク群においてグラルギン群よりも良好である(苦痛が少ない)という結果が得られました。
 一方、低血糖の発現は、24時間、夜間、日中の全てのカテゴリーにおいて、インスリンデグルデク群の方が有意に低率を示しました。2型では全体に低血糖発現率が低いため、統計学的有意差がみられないものもありましたが、いずれの試験においてもインスリンデグルデク群で少ない傾向が明らかでした。
 体重の増加量は両群においてほとんど差がなく、その他身体所見、血液検査所見、心電図、眼底所見などに2群間で有意差は認めていません。

インスリンデグルデクとインスリングラルギンの夜間低血糖リスクの比較

 インスリングラルギンを対照とした全ての試験から、事前に計画された低血糖リスクに関するメタアナリシスを行った結果、2型患者ではインスリングラルギンに比べ、インスリンデグルデク群において、全ての低血糖発現リスク、夜間低血糖発現リスクともに、有意に少ないことが明らかになりました。また、低血糖はインスリン量の変更時期に多くみられるため、インスリン投与量が維持量に達した後の、維持期での低血糖リスク評価を行ったところ、インスリンデグルデク群での低血糖発現率は有意に低く、本剤の安全性は更に高まることが明らかになりました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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