<スズケンDIアワー> 平成25年4月4日放送内容より |
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国立国際医療研究センター総長特任補佐
中村 利孝
骨代謝マーカーは、治療開始より1か月ごとに測定されました。 破骨細胞数のマーカーである血清TRAP-5bは、1か月で両群ともに約30%低下し、6か月からは約40%低下しました。骨形成マーカーで骨芽細胞から分泌される血清骨型アルカリホスファターゼも、両群で同じ変化を示し、3か月から約25%低下し維持されました。破骨細胞の数と骨芽細胞の機能への効果は、1日2.5r製剤と月1回75r製剤とでは同じであることが分かりました。
骨吸収により骨から溶け出してくる物質である尿中NTXの変化は、1日1回2.5r群と月1回75r群でやや異なっていました。1日2.5r連日服用群では1か月よりNTXは約40%低下しましたが、月1回75r服用群では、ほぼ30%の低下で、その差は有意でした。この尿中NTXの差は、月1回製剤の骨吸収抑制が1日1回製剤に比べ弱いと思われるかもしれません。
リセドロネート月1回製剤では、5%程度の患者さんで、服用後、一過性に発熱、背部痛、倦怠感、関節痛などが見られます。これは、急性期反応と呼ばれるもので、ビスホスホネートの月1回製剤に共通に見られる症状です。多くは服用後3日以内に発生し7日以内に回復します。ビスホスホネートは破骨細胞内でメバロン酸代謝経路のイソペンテニル酸からファルネシルピロリン酸への合成経路を阻害して骨吸収を抑制します。このため、ファルネシルピロリン酸の前駆物質であるイソペンテニルピロリン酸が増加し、これが急性期反応を引き起こすと考えられています。したがって、急性期反応はビスホスホネートの骨吸収抑制作用が良好に発揮されていることを示す症状とも考えられます。急性期反応はインフルエンザ様症状と類似し、ほとんどは軽度で、使用を継続しても消失していきます。急性期反応はリセドロネートだけでなく月1回製剤ビスホスホネートに共通に見られるもので、処方にあたっては、患者の皆様にしっかりとご説明いただくことが大事だと思われます。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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