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<スズケンDIアワー> 平成25年4月25日放送内容より スズケン

過活動膀胱治療薬 フェソテロジンフマル酸塩


東京女子医科大学東医療センター骨盤底機能再建診療部教授
巴 ひかる

icon OABの治療

過活動膀胱(OAB)の治療

 OABの治療は、過剰な飲水を控えるような生活指導や、少しずつ排尿間隔を延長する膀胱訓練などの行動療法とともに、膀胱の不随意収縮の抑制を目的とした薬物療法が行われています。
 過活動膀胱の診断・治療ガイドラインではムスカリン受容体の拮抗阻害薬である抗コリン薬が薬物治療の第一選択薬とされています。ムスカリン受容体は膀胱以外の器官にも広く分布しており、その拮抗作用により口内乾燥や便秘といった副作用が発現することが知られています。
 抗コリン薬の作用点であるムスカリン受容体は全身に存在し、M1〜M5の5つのサブタイプの存在が知られています。膀胱の排尿筋にはM2とM3受容体が存在し、特にM3受容体は、排尿筋収縮に直接的に関与することから注目されてきました。 また、最近の研究で、M2受容体もβ3受容体を介する排尿筋の弛緩を抑制することによって、間接的に排尿筋収縮に関与していることが解明されました。特に脳血管障害などの神経因性によるOABでは、M2受容体の発現が増加し、排尿筋収縮反応の亢進に関与することが報告されています。このため、M3・M2受容体の両方を標的に治療することがOAB治療には有用であると考えられます。
 薬物治療の安全性においてM3受容体は、膀胱以外にも涙腺・唾液腺や大腸などにも存在するため、口内乾燥や便秘などの副作用が問題となります。また、排尿筋の収縮が過度に抑制された場合には、排尿困難や残尿量増加をきたすことがあり、前立腺肥大症などの下部尿路閉塞を有する患者や排尿筋収縮力が低下した患者には注意が必要です。 OAB症状を効果的にコントロールするには、継続的な服薬が必要ですが、効果が不十分であったり、副作用の発現によって、本邦における抗コリン薬の 6ヶ月以内の中止率は、70%に達すると報告されています。また、患者の服薬継続に関する別の調査では、患者は抗コリン薬の治療効果を副作用よりも重視していることが報告されています。

icon フェソテロジンフマル酸塩の特徴

トビエースの薬物動態

 フェソテロジンフマル酸塩(以下フェソテロジン:商品名トビエース)は、抗コリン作用を持つOAB治療薬として、世界40カ国以上で承認されている薬剤であり、本邦では4mgと8mgが昨年(2012年)12月25日に承認、本年(2013年)3月15日に発売されました。フェソテロジンは、OAB治療薬として汎用されているデトルシトール,トルテロジンの活性代謝物、 5-HMT(5-ヒドロキシメチルトルテロジン)のプロドラッグとして開発されました。デトルシトールは、肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6により、5HMTに代謝されますが、CYP2D6の活性には個体差があることから、有効成分の血中濃度にバラつきが生じることがありました。一方、フェソテロジンでは、経口投与後、消化管から吸収され、速やかに非特異的エステラーゼにより、有効成分である5-HMTへ代謝されることで、個体差による有効成分の血中濃度のバラつきが少なくなります。フェソテロジンの薬理作用は、先ほど述べたムスカリン受容体のサブタイプのM2とM3の両方に作用することで、膀胱収縮に直接的に関与するM3受容体と膀胱の弛緩を間接的に抑制するM2受容体の両方に作用してOAB症状を改善すると考えられています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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