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<スズケンDIアワー> 平成25年4月25日放送内容より スズケン

過活動膀胱治療薬 フェソテロジンフマル酸塩


東京女子医科大学東医療センター骨盤底機能再建診療部教授
巴 ひかる

icon フェソテロジンフマル酸塩の臨床試験成績

 国内外の臨床試験においてフェソテロジンが用量依存的にOAB症状を改善することが確認されています。これらの試験では、投与量を4mgまたは8mgで固定したデザインや、4mgで開始後、8mgへの増量を可能とした、より実臨床に近い可変用量のデザインで実施されています。
 固定用量の試験では、OAB患者にフェソテロジン4 mgまたは8 mgを12週間投与した後、切迫性尿失禁回数・排尿回数・尿意切迫感回数の変化を検討したところ、フェソテロジンはプラセボに対して、用量依存的に症状を改善することが示されました。

 切迫性尿失禁に対する欧州第3相試験の成績

 ヨーロッパで行われた第V相試験の主要評価項目である切迫性尿失禁回数は、8 mgで88%改善していました。さらに、フェソテロジン8 mgでは、デトルシトール4mgよりも有意に改善していました。このことは、米国で実施された試験、日本が参加した試験でも確認されています。
 フェソテロジン投与時に認められたおもな有害事象は、国内外の試験で共通しており、口内乾燥・便秘などの抗コリン作用に起因する有害事象が中心であり、これら有害事象の重症度は多くが軽度でした。副作用による投与中止率は、日本人を含むアジア4カ国で行われたアジア試験において、フェソテロジン4mgで2.8%とプラセボの2.5%とほぼ同程度で、8 mgも4.2%と高い忍容性が認められました。特に、抗コリン薬では、口内乾燥に次いで多くみられ中止要因になる副作用である便秘は、4 mgで5.0%と、プラセボの4.4%とほぼ同様の発現率であり、8mgでは10.5%でした。便秘の有訴者率とOAB罹病率は加齢とともに上昇するため、OAB患者では、便秘の発現率が低い抗コリン薬を選択することは、治療上のメリットが大きいと考えられます。
 可変用量試験として、前投薬の治療に不満足なOAB患者を対象とした非盲検試験が実施されています。この試験は、フェソテロジン4mgから治療を開始し、投与4週後に安全性に問題はなく、効果不十分で増量を希望した患者にはフェソテロジン8mgへ増量できるデザインとなっていました。その結果、8割の患者がフェソテロジンによる治療に満足と回答しました。フェソテロジンは、従来の治療では効果がない、もしくは効果不十分で他の薬剤に変更せざるを得なかった患者に対して、OAB症状をコントロールできる可能性があり、フェソテロジンの登場により、治療法の選択肢が増えることになると思われます。

icon 使用上の留意点

 フェソテロジンの用法、用量は『通常、成人にはフェソテロジンフマル酸塩として4mgを1日1回経口投与する。尚、症状に応じて1日1回8mgまで増量できる。』となっています。重度の腎機能障害(クレアチニンクレアランス30ml/min未満)のある患者、または、強力なCYP3A4阻害薬を投与中の患者では、フェソテロジンの血漿中濃度が上昇する可能性があるので、1日投与量は4mgとして、8mgへの増量はできません。中等度の肝障害のある患者(Child-Pugh分類B)も同様の理由で1日投与量は4mgまでとなり,重度の肝障害がある患者は禁忌となっています。このほかフェソテロジンが禁忌となる患者は、尿閉を有する患者・眼圧が調節できない閉塞隅角緑内障の患者・幽門・十二指腸又は腸管が閉塞している患者及び麻痺性イレウスのある患者・胃アトニー又は腸アトニーのある患者・重症筋無力症の患者・重篤な心疾患の患者であり、これらはフェソテロジンの主作用である抗コリン作用によるもので、他の抗コリン薬と同様です。

icon まとめ

 フェソテロジンは、過活動膀胱症状に対し、 1日1回4mgから開始し、効果不十分例に対しては8mgへの増量が可能であり、今までの薬物治療で症状の改善が見られなかった患者に対しても効果の改善が期待されます。また、有効性と安全性のバランスを考慮して柔軟な用量の調節が可能であることが特徴であり、患者の治療満足度が向上することで、生活の質(QOL)を改善すること、既存の抗コリン薬で問題となる高い服薬中止率を改善することが期待されます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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