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<スズケンDIアワー> 平成25年5月23日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(42)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

icon ディレグラ配合錠

 有効成分は、フェキソフェナジン塩酸塩と塩酸プソイドエフェドリンの配合剤で、「アレルギー性鼻炎」を効能・効果とします。フェキソフェナジン塩酸塩は抗ヒスタミン薬で既にアレルギー性鼻炎等の効能・効果で承認された経口剤が薬価基準に収載されており、塩酸プソイドエフェドリンは、α交感神経刺激薬で、医療用医薬品としては既存製品がないものの、一般用医薬品では、抗ヒスタミン薬との配合剤が発売されています。薬価算定については、フェキソフェナジン塩酸塩の製剤であるアレグラ錠を比較対照薬に、類似薬効比較方式Tにより行われました。既存の抗ヒスタミン薬で効果が不十分とされている鼻閉症状に関して、フェキソフェナジン塩酸塩に対する統計学的な優越性が検証されており、治療方法の改善が客観的に示されていると判断され有用性加算Uが適用されました。なお、加算率は、5%が適用されています。


icon アメパロモカプセル

 有効成分は、パロモマイシン硫酸塩で、「腸管アメーバ症」を効能・効果とします。パロモマイシンは、原虫細胞内のリボソームの30Sサブユニットと結合し、タンパク質合成を阻害することにより作用を発揮するアミノグリコシド系抗生物質で、かつて「細菌性赤痢」を効能・効果とする製剤などが薬価基準に収載されていましたが、現在ではすべて削除されています。したがって、類似の組成及び化学構造、投与形態等を有する既収載品がなく、類似薬はないと判断され、薬価算定については、原価計算方式により行われました。なお、営業利益率については、平均的な営業利益率19.1%が適用されています。


icon マラロン配合錠

 有効成分は、アトバコンとプログアニル塩酸塩の配合剤で、「マラリア」を効能・効果とします。アトバコンは、ミトコンドリア内のチトクロームbc1における電子伝達系を阻害することにより抗マラリア作用を示し、プログアニル塩酸塩は、マラリア原虫のジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害することにより、マラリア原虫のDNA合成に必要なテトラヒドロ葉酸補因子を欠乏させることで、マラリア原虫の増殖を抑制するとされています。総合的にみて、類似の効能・効果、薬理作用等を持つ薬剤はないと判断され、薬価算定については原価計算方式により行われました。営業利益率については、平均的な営業利益率19.1%が適用されました。

icon ナーブロック筋注

 有効成分は、B型ボツリヌス毒素で、「痙性斜頸」を効能・効果とします。B型ボツリヌス毒素は、B型ボツリヌス菌から産生され、末梢のコリン作動性神経終末からのアセチルコリンの放出を阻害することにより、神経伝達を阻害し筋麻痺作用を示します。ボツリヌス毒素製剤として、既にA 型ボツリヌス毒素製剤が同じ効能・効果で承認されていますが、薬価収載後15年を経過しており、薬価算定上の新薬には原則として該当せず、また、痙性斜頸以外にも多数の効能・効果を有すること、標的タンパクが異なり別の作用機序を示すと考えられること、組成及び化学構造式が異なることから、総合的に類似薬はないと判断され、薬価算定については、原価計算方式により行われました。なお、営業利益率については、平均的な営業利益率19.1%が適用されています。

icon トレシーバ注ペンフィルとフレックスタッチ

 有効成分は、遺伝子組換えのインスリン デグルデクで、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とします。インスリン デグルデクは、ヒトインスリンのB 鎖30 位のスレオニン残基が欠失し、B 鎖29 位のリジン残基にγ-グルタミン酸を介してヘキサデカン二酸を結合させた構造を有しています。既存の遺伝子組換えのインスリン デテミルの構造の一部を変更したもので、投与後に皮下組織で可溶性で安定な6 量体が多数連なった構造として存在し、単量体が徐々に解離するため、持続的に血中に移行するとされています。したがって、薬価算定については、遺伝子組換えのインスリン デテミルの製剤であるレベミル注を比較対照薬に、類似薬効比較方式Tで行われました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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