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<スズケンDIアワー> 平成25年6月6日放送内容より スズケン

直接作用型第]a因子阻害経口抗凝固薬 アピキサバン


心臓血管研究所 所長
山下 武志

icon サブグループ解析から

 ただ、これまでの新規抗凝固薬の歴史を見ても、全体としては良くても個々の患者さん毎にみてみると、使いにくい患者さんがいるのではないかということも考えていかなければなりません。ここからは、様々なアリストテレス試験のサブグループ解析の結果をご紹介したいと思います。

サブグループ解析:CHADS2スコア脳卒中/全身性塞栓症・大出血

 アリストテレス試験では、あらかじめ様々な背景因子に関するサブグループ解析が規定されています。たとえば、CHADS2スコアに関するサブグループは、1点、2点、3点以上に分けて解析されていますが、いずれにおいても有効性および安全性の評価結果に影響を及ぼさないことが示されました。つまり、どのCHADS2スコアであってもワルファリンと比較したアピキサバンの有用性に変わりはないということです。
 私たちは、CHADS2スコアの他にも、腎機能、年齢、体重などから危ない患者さんはどこかにいないかという観点で試験結果をみます。

 サブグループ解析:腎機能脳卒中/全身性塞栓症・大出血

 まず重要なのが、腎機能です。アリストテレス試験においてはクレアチニンクリアランスの80以上、50以上80未満、50未満の3群に分けて解析されています。有効性については、アピキサバン、ワルファリンともに腎機能が低下すればするほど「脳卒中および全身性塞栓症」の発現率は高くなっていくもののいずれの群においてもワルファリンの発症率を上回らない一貫した結果が得られています。では大出血の発現ではどうでしょうか?これまではCCrが50を下回った場合、新規経口抗凝固薬は危険だというのが私たちの常識でした。しかしながら、アピキサバンに関しては、もう一度、頭を切り替えなければならないようです。ワルファリンを含めていずれの抗凝固薬でも、腎機能が低下すれば低下するほど大出血の発現率は高くなります。アピキサバンでも同様です。しかし、アピキサバンは、腎機能が低下すればするほどワルファリンと大出血の発現の差が大きくなり有利に働いています。このような新規抗凝固薬は初めてです。
 では、次に年齢別ではどうでしょうか?有効性については、75歳以上も未満も評価結果に有意な影響を及ぼしませんでした。ワルファリンとの関係は全く変わらず一貫した結果が得られています。では大出血の発現はどうでしょう。これもこれまでの新規抗凝固薬では75歳以上になるとワルファリンと同等あるいは発現率が上回るという結果でした。しかし、今回のアピキサバンはいずれの年齢層においても、たとえ75歳以上であってもワルファリンよりも低い大出血の発現率でした。 この結果は体重においても同様でした。60kgで分けられた解析において、有効性・安全性ともに一貫した結果が得られています。低体重であってもワルファリンに対して大出血の発現率は低く、高い安全性が示されています。

icon まとめ

 このようにアリストテレス試験では非常に良い結果が得られました。この結果が得られた背景の一つとして、出血リスクの高い集団を同定し、思い切って半量投与に設定したことが重要なポイントになっていると思います。アピキサバンの減量基準は、年齢80歳以上、体重60kg以下、血清クレアチニン1.5mg/dL以上の3つ基準のうち2つに該当する症例です。これらの症例は出血リスクが高い症例でもあり、これらの患者さんに対して思い切った半量への減量が全体の結果に影響を及ぼしたといっても過言ではないと考えます。しかしながら、半量である2.5mg1日2回に減量された症例はわずか5%でしかありません。
 結果的にアリストテレス試験では、有効性・安全性、そしてその最終的な終末像である全死亡についても、ワルファリンに比べ優越性を示しました。さらに、これはどのような切り口できったとしてもその傾向は変わらないという結果です。これは従来の新規抗凝固薬とはと全く異なります。
 しかし一方でこのアリストテレス試験は限られた症例に対する臨床試験でしかありません。臨床試験と臨床現場の間にギャップがあることは周知の事実です。減量基準を含めた適正使用を行うとともに我々医師が使用経験を基にアピキサバンを育薬していくべきと考えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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