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<スズケンDIアワー> 平成25年6月20日放送内容より スズケン

機能性ディスペプシア治療薬 アコチアミド塩酸塩水和物


公立黒川病院 管理者
本郷 道夫

 機能性ディスペプシアの治療薬、アコチアミドが発売になりました。そこで本日は、機能性ディスペプシアの考え方と治療についてお話しいたします。

icon 慢性胃炎と機能性胃腸症の違い

 慢性的に胃のもたれや胃の痛みなどの上腹部不快症状を感じる人は少なくありません。症状があっても、潰瘍や癌など、症状の原因となりそうな病変が同定できないとき、私たちはこれまではこのような病態を「慢性胃炎に伴う上腹部愁訴」という呼び方をし、保険診療の上では慢性胃炎として扱ってきました。

慢性胃炎をめぐる二つの概念

 しかし、内視鏡的に、あるいは病理組織学的に慢性炎症が確認できる胃炎は、その多くがピロリ菌に起因する胃炎であることが明らかとなり、症状から診断するいわゆる慢性胃炎とは別のカテゴリーの疾患であることが1990年台には明確になってきました。「慢性胃炎に伴う上腹部愁訴」という言い方自体も、慢性胃炎が必ずしも症状を伴うものではないことを示した呼び方と解釈することができます。
 機能性胃腸症の考え方は、次のように進展してきました。

上腹部症状 (dyspepsia) が続く時の臨床診断名の時代による変遷

 症候学的な胃炎は、1980年代には、non-ulcer dyspepsia; NUD と呼ばれたこともありますが、後にfunctional dyspepsia という呼び方に変わってきました。1980年代後半から、器質的異常を伴わない消化器症状の研究推進のために国際的研究グループが組織され、食道症状から大腸肛門症状まで、そして胆道系、小児の消化器症状など、多岐にわたって系統的分類作業が進められ、これまでに二度にわたる改訂作業が行われました。現在は第3版に相当する分類体型であることからRome III と呼ばれる機能性消化管障害の診断と分類の基準が生まれました。
 その中で、胃あるいは十二指腸に症状の原因があるのではないかと推測される上腹部愁訴がありながら、症状の原因となる器質的病変が同定できないものをfunctional dyspepsiaと呼びます。日本語では「機能性ディスペプシア」あるいは「機能性胃腸症」と呼びます。
 機能性胃腸症の主な症状は胃のもたれと胃の痛みです。Rome II の段階までは、胃のもたれは胃の運動障害、胃の痛みは酸分泌過剰のための症状に似ているとして、前者を消化管運動障害型、後者を潰瘍症状型と呼んだことがあります。しかし実際には、胃もたれがあっても消化管運動障害があるわけではないこと、胃の痛みがあっても潰瘍があったり酸分泌亢進があったりするわけではないので、病態を推測させるような呼び方は適切ではないという考え方に至っています。

B1. 機能性ディスペプシアの診断基準

 そこで、Rome III では胃もたれが主体のものを食後愁訴症候群postprandial distress syndrome; PDS、胃の痛みが主体のものを心窩部痛症候群 epigastric pain syndrome; EPSと呼ぶことにしています。この考え方は世界的に広く受け入れられてきました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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