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<スズケンDIアワー> 平成25年6月20日放送内容より スズケン

機能性ディスペプシア治療薬 アコチアミド塩酸塩水和物


公立黒川病院 管理者
本郷 道夫

icon 疫学と診断

 機能性胃腸症は女性にやや多い傾向がありますが、若年者から高齢者まで、ひろく分布します。ある統計では一般の人の15%がこれに相当するのではないかといわれています。胃の症状だけでなく、むねやけのような逆流症状を伴ったり、便秘や下痢などの便通異常を伴うことも少なくありません。不規則な生活をしている人、ストレスの多い人、睡眠障害の多い人でこのような症状の頻度が高くなっていることが確認されています。 つぎに診断の進め方を説明します。
 診断は主に症状を良く聴取することから始まります。
 胃のもたれ、食べてもすぐにお腹がいっぱいになって充分に食事ができないという症状は食後愁訴症候群の特徴的症状です。
 胃の痛みや胃のあたりのやけるような感じは心窩部痛症候群の代表的症状です。
 このような症状が半年以上前から慢性的にあって、最近の3ヶ月の期間中にも時々症状があることが最初の条件です。
 次に述べるような警告症状は潰瘍や癌の時に出る症状なので、このような症状がないことを確認しておきます。

器質的疾患を疑わせる警告徴候

 まずは、最近の血便や吐血のエピソード、貧血、原因の説明ができない体重減少、微熱、などの有無に注意します。50歳以上の年齢、消化器の手術歴、消化器癌の家族歴、などは、器質的疾患の可能性が高くなるので、警告症状の一環に組み込みます。また、慢性的症状ではなく、急速に進行する症状は機能性胃腸症ではあまり見られないので注意が必要です。
 警告症状があった時は、内視鏡検査や血液検査などを行って器質的疾患の除外をします。うつ病の可能性も否定できない時は、症状を注意して聴取することが必要になります。

icon 機能性胃腸症の病態と治療

 機能性胃腸症の病態として、消化管運動異常と内臓知覚過敏という二つの病態の関与が推測されています。運動機能障害としては、胃排出遅延と食後の受容性弛緩障害とが報告され、また、消化管粘膜に対する物理化学刺激に対する知覚閾値が低下する、いわゆる内臓知覚過敏の状態が報告されています。しかし、いずれも現象面として高頻度に確認されるものの、症状の原因機序としての確定的な所見は確認されていません。
 また、ピロリ菌除菌治療で症状改善に至る患者がいますが、ピロリ菌除菌の効果というよりは除菌治療、すなわち抗生物質による消化管内の微生物環境の変化の影響の方がより強く関与している可能性があります。
 一方で最近大きな関心を集めているものに、十二指腸粘膜での微細炎症の関与があります。食事成分、食事刺激による胆汁膵液、食後の酸分泌などが炎症粘膜を刺激することで知覚過敏状態の十二指腸粘膜を刺激して症状誘発に至って居るのではないかとする考え方が支持を集めるようになっています。
 機能性胃腸症の治療はどうしたらいいのでしょうか。

FDの診断と治療 Asian Consensus

 日本では従来「慢性胃炎」の治療薬には、抗不安薬や漢方製剤、酸分泌抑制薬や粘膜保護役、消化管運動賦活薬、など、多彩な薬剤が用いられてきました。

FDの診断と治療 Asian Consensus

 その中で、最も基本的なアプローチは、胃もたれを主体とするPDSの症状には消化管運動賦活薬 prokineticsが、そして胃の痛みを主体とするEPSの症状には酸分泌抑制薬が経験的に用いられています。海外から発信されるガイドラインでも、PDSには消化管運動賦活薬、EPSには酸分泌抑制薬を第一選択とすることが示されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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