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<スズケンDIアワー> 平成25年7月25日放送内容より スズケン

アルコール依存症治療薬 アカンプロサートカルシウム


国立病院機構久里浜医療センター院長
樋口 進

icon アカンプロサートの投与について

用法・用量

 アカンプロサートの使い方ですが、1錠、333mgを1回2錠、1日3回食後に服用します。アカンプロサートについては、国外ですでに多くの臨床治験が行われていますが、すべての研究で、本薬の効果が示された訳ではありません。有効性を示せた治験とそうでない治験デザインを比較すると、本薬の効果的な使い方に関するヒントが与えられます。まず、本薬は、離脱症状から回復した後に使った方がより有効であるようです。また、断酒に対するモチベーションのある患者さんの方がより効果の上乗せが高いようです。従って、本薬は、アルコール依存症の患者さんに、ただ使えば効果が見られるというものではないようです。添付文書にもあるとおり、断酒に対する動機づけを高めるための心理社会的治療に併用することが重要なのです。副作用ですが、最もよく見られるのは下痢です。約14パーセントの人で報告されていますが、ほとんどの症例で自然に回復、あるいは整腸剤を飲むことで改善しています。本薬は、代謝されないまま、腎臓から排出されます。従って、腎機能の悪い患者さんには慎重に投与する必要があります。しかし、肝機能障害がある場合でも、本薬服用後の血中濃度の推移には特に影響はなく、また、肝機能を悪化させることもないと報告されています。したがって、この薬を服用中にアルコールを飲んでしまった場合も、有害な症状が出ることはないようです。ただし再飲酒があったのに漫然と投与すべきではなく、断酒の意志や服薬のメリットについてきちんと確認する必要があります。

 欧米の今までのデータを総合すると、この薬を服用している者の自殺率が少し高くなることが示されています。わが国の治験では確認されませんでしたが、自殺のリスクのある者には慎重に投与することが求められます。

icon 抗酒薬との使い分け

 最後に抗酒薬との使い分けをどのようにしたらよいか考えてみましょう。すでにアカンプロサートが使われている諸外国で、抗酒薬の処方がなくなっている訳ではなく、むしろ、依然としてよく使われている、と言った方がよいでしょう。それは、作用が全く異なるからです。アカンプロサートは、アルコールへの渇望を小さくして断酒継続を楽にします。一方、抗酒薬は「飲むと悪酔いする体質」を一時的に作り出すことにより、「今日は飲まない」という気持ちを行動にする意味があるわけです。ですから、二つの薬物を併用することも可能です。今後、アカンプロサートと抗酒薬をどのように使い分けたり、あるいは併用したりすることが効果的か、また、アカンプロサートのより有効な使い方などについて、研究をもとにエビデンスが積み重ねられていくことが必要でしょう。

 

提供 : 株式会社スズケン



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