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<スズケンDIアワー> 平成25年8月8日放送内容より スズケン

慢性リンパ性白血病治療薬 オファツムマブ(遺伝子組換え)


名古屋第二赤十字病院 血液・腫瘍内科部長
小椋 美知則

icon 慢性リンパ性白血病とは

慢性リンパ性白血病(CLL)とは

 慢性リンパ性白血病(以下、CLL)は成熟した小型のBリンパ球が単クローン性に末梢血、骨髄、リンパ節、脾臓などで増殖する血液疾患で、欧米では10万人あたり4.4人の罹患率ですが、本邦では10万人あたり約0.5人と欧米の約9分の1の罹患率の稀な造血器腫瘍です。発症年齢中央値は68歳で、50歳以上の発症が多く、30歳未満での発症は極めて稀な、高齢者に多い疾患です。また、男女比は2:1で男性に多く発症します。CLLは骨髄や末梢血中にCLLの腫瘍細胞が認められる疾患群ですが、骨髄や末梢血中ではなくリンパ節に腫瘍細胞が浸潤し、リンパ節腫大が病態の中心となる場合を小リンパ球性リンパ腫(SLL)と呼んでいますが、どちらも腫瘍細胞そのものは同じであり、発症形態が異なるだけですのでCLL/SLLと一括して治療のガイドラインにも記載されています。CLLの病態は様々で、無症状のため健康診断で偶然発見されるような早期症例から、貧血や感染症、血小板減少による易出血性、リンパ節の腫大に伴う圧迫症状や巨大な脾腫に伴う腹部の圧迫症状などを示すような進行期症例があります。また進行期では、正常な抗体産生能が低下し、低ガンマグロブリン血症やT細胞の機能低下を伴うこともあり肺炎などの感染症にかかりやすくなります。
 治療ガイドラインでもRai分類の0期もしくはBinet分類での病期Aで無症候性の症例は経過観察とされる一方、貧血や血小板減少の進行・増悪、脾腫・リンパ節腫張の進行、リンパ球数の急激な増加や全身症状を呈する場合は治療開始の適応とされています。
 欧米では発症頻度の高い疾患であるために、新薬の開発治験や新規治療法の臨床試験が可発に実施されてきていますが、本邦ではそうした研究の遅れもあって、欧米のガイドラインでCLLに推奨される薬剤の多くに保険適応がない状況です。

icon NCCNのCLL/SLL治療ガイドライン

Non-Hodgkin’s Lymphomas; CLL/SLLNCCN ガイドライン Version 1.2013

 米国National Comprehensive Cancer Network (NCCN)の2013年のCLL/SLLの治療ガイドラインでは、Rai分類の0期からII期で治療適応がない場合は経過観察、治療適応があっても虚弱か合併症を有する場合はクロラムブシル、リツキシマブもしくはその併用、ステロイドパルス療法が推奨されていますが、クロラムブシルもリツキシマブも日本では保険適応がなく、現在、治験中です。
 また、治療適応があって十分な臓器機能や体力がある場合のCLLでは国際的な標準療法はリツキシマブ、フルダラビン、シクロフォスファミドを併用するR-FC療法であることが大規模ランダム化比較試験で確立していますが、先程、お話ししましたように本邦ではリツキシマブはCLLに対して保険適応がなく、現在、承認獲得のための治験中ですのでFCしか使用できません。
 また、NCCNガイドラインでは、R-FCやクロラムブシル以外にも抗CD52抗体alemtuzumab,レナリドミド、ベンダムスチンなどの薬剤が初発、再発・難治CLLに推奨されていますが、いずれの薬剤も日本では未承認薬もしくは保険適応がありません。

 

提供 : 株式会社スズケン



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