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<スズケンDIアワー> 平成25年8月15日放送内容より スズケン

急性リンパ性白血病治療薬 クロファラビン


埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科部長
康 勝好

icon はじめに

 白血病は遺伝子変異を来した白血病細胞が骨髄で増殖する疾患であり、「血液のがん」ともいわれます。
 白血病には幾つかの種類がありますが、急性リンパ性白血病(以下ALL)は幼若なリンパ球系の細胞が腫瘍化した疾患であり、6歳未満の乳幼児と高齢者に多くみられます。 小児では白血病の約70%がALLであり、国内では年間に500-600例の小児ALLが発症すると言われています。
 小児ALLの治療成績は過去40年間に飛躍的に向上し、現在では約80%の無イベント生存率、約90%の長期生存率が達成されています。

St. Jude小児病院におけるALLの治療成績の進歩

 米国のSt. Jude小児病院における治療成績を例にとりますと、1960年代前半の5年生存率は約20%でしたが、2000年代には90%台まで向上しています。このような治療成績の進歩は、無作為割り付け試験を含む多数の臨床試験の積み重ねと予後因子に基づく層別化、また感染症対策などの支持療法の改善によって達成されてきました。小児ALLに対して用いられる抗がん剤のほとんどは1970年代までに開発されており、本日ご紹介するクロファラビン(商品名:エボルトラ)は国内では約30年ぶりに治験によって承認された小児ALLに対する抗がん剤です。

icon 小児ALLの治療成績

再発小児ALLの治療成績

 小児ALLは高率に治癒する疾患になりましたが、それでも約20%の患者は寛解達成後に再発します。再発した場合には、初発の場合と比較して治療が困難であり、再発小児ALLの長期生存率は約30-40%にとどまっています。特に治療開始後早期の骨髄再発例やT細胞性ALLの再発例は難治性であり、再発ALLの中では高リスクに分類されます。高リスクの患者では治癒のためには再度寛解を得た上での同種造血幹細胞移植が必要です。しかしながら、高リスク再発ALLは寛解導入率が低く、またいったん寛解に入っても造血幹細胞移植までの間に再再発するリスクが高いことが問題になっています。
 このような再発・難治性ALLでは標準治療が確立しておらず、新しい治療法や新規薬剤が待ち望まれていました。今年6月にクロファラビンが発売になり、新たな治療選択肢として期待されています。クロファラビンは再発・難治性の小児ALLに対して効果を示し、造血幹細胞移植に繋げる役割を担うことが期待できる薬剤です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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