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<スズケンDIアワー> 平成25年8月15日放送内容より スズケン

急性リンパ性白血病治療薬 クロファラビン


埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科部長
康 勝好

icon クロファラビンの作用機序

 クロファラビンはヌクレオシドアナログ代謝拮抗剤に分類され、フルダラビンやクラドリビンなど既存薬剤の特性を併せ持つように合成された、第二世代のプリン拮抗剤と言われています。

クロファラビンの作用機序

 クロファラビンの作用機序についてご紹介します。
 白血病細胞内に取り込まれたクロファラビンは活性体であるクロファラビン三リン酸へと変換され効果を発揮します。
 クロファラビンは、DNAポリメラーゼαを阻害することにより、DNA鎖の伸長を抑制します。また、リボヌクレオチドレダクターゼを阻害することにより、細胞内のデオキシリボヌクレオチド三リン酸を枯渇させます。これらの作用によりDNAの合成及び修復を阻害します。
 また、ミトコンドリアの膜電位を低下させ、チトクロームC及び他のアポトーシス誘導因子を遊離させてアポトーシスを誘導します。
 クロファラビンは主にこれらの3つの作用により白血病細胞を死に至らしめる特徴があります。

icon 海外臨床試験成績から

 次にクロファラビンの有効性、安全性が確認された米国での第II相臨床試験、CLO-212試験をご紹介します。
 本試験の対象は複数レジメン、いわゆる2回以上の寛解導入療法の治療歴を有する、診断時年齢が21歳以下の再発又は難治性急性リンパ性白血病患者です。体表面積あたり52mgのクロファラビンを1日1回2時間以上かけて5日間連日点滴静注し、2-6週間ごとに投与して有効性、安全性を検討しています。主要評価項目はCR又はCRpの完全寛解率です。CRとは正常造血の回復を伴う寛解、CRpとは血小板数の回復のみ不十分な寛解です。なお、クール数は最大12クールまで投与可としています。
 この臨床試験には61例が登録されました。患者背景ですが、組み入れられた年齢は1-20歳で中央値が12歳、前治療歴は3回以上が38例で全体の62.3%、最大は6回で中央値は3回でした。また、約30%の18例が造血幹細胞移植歴を有していました。更に全体の57.4%にあたる35例が直前の治療に対して、抵抗性を示していました。

海外第II相臨床試験(CLO-212試験)の結果

 臨床試験の結果をご紹介します。
 CR又はCRpが得られたのは61例中12例で、主要評価項目である完全寛解率は19.7%、部分寛解を含めた奏功率は29.5%でした。また、直前の治療に対して抵抗性を示していた35例中9例25.7%に部分寛解以上の治療効果が認められました。なお、全症例61例中18%の11例はクロファラビンによる治療後に造血幹細胞移植を実施しています。 続いて、寛解の状態を維持している期間を示す寛解持続期間をご紹介します。
 完全寛解例の寛解持続期間は中央値で32週、部分寛解を含めた奏功例全体では21.5週でした。再発又は難治性の小児ALLに対する治療では、寛解を達成して造血幹細胞移植を可能にすることと、移植実施まで病勢を抑えて寛解の状態を維持することが重要です。クロファラビンは造血幹細胞移植を実施するまでの期間を上回る寛解持続期間が期待できる薬剤です。本試験で再発・難治性の小児ALL患者に対してクロファラビンの単独投与での効果が示されました。
 その後、CLO-212試験を含む海外の臨床成績をふまえて、日本でも第T相臨床試験を実施してクロファラビン単独投与の忍容性が確認され、製造販売が承認されました。
 なお今回は単独投与での効果をご紹介しましたが、海外では他の薬剤との併用も行われています。米国ではクロファラビンとシクロホスファミド、エトポシドとの3剤を併用する第I相、第II相臨床試験が実施されました。再発または難治例が対象であるにもかかわらず、完全寛解率(CR+CRp)44%、部分寛解も含めれば奏功率56%という極めて有望な結果が報告されています。一方、重度の肝障害が認められており、また、感染症にも注意が必要です。日本では併用に関するデータがなく、安全性も含めて今後、臨床試験で検討されていくと思われます。
 また、国内と海外の臨床試験で組み入れられた年齢は0-22歳で、これらの年齢以外の患者に対する有効性と安全性は確立されていないため、こちらも今後、検討が必要になります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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