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<スズケンDIアワー> 平成25年8月22日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(43)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 今回がシリーズの最終回ということですで、今日は、個別の品目の薬価算定ではなく、現在、中央社会保険医療協議会(以下中医協)で検討が進められている医療技術評価についてお話します。


icon 医療技術評価とは

 ここでいう医療技術評価とは、有効性や安全性の評価に加えて、経済性も評価をするというものです。中医協で医療技術評価が大きく取り上げられることになったのは、2011年4月に遠藤前中医協会長が退任のあいさつで、『抗がん剤を中心に高価な薬が出てきている。今後、費用対効果の問題を、特に薬の問題、医療材料の問題などでも議論していくのは、世界の流れから見てもおかしい話ではないだろう。』という内容の発言をされたことがきっかけでした。多くの中医協委員がそれに賛同し、2012年の6月には中医協に費用対効果評価専門部会が設置され、本格的な検討が始まりました。当初は、4回ほどの検討を経て、2014年度の改定から試行的に導入するという意気込みで開始されたのですが、その後、既に12回の会合が持たれたにもかかわらず専門家からのヒアリングが続くばかりで、一向に出口が見えません。


icon 医療技術評価検討の方向性

 医療技術評価は、医療保険の対象となるあらゆる技術を念頭に検討が始められたのですが、中医協委員の関心は、もっぱら医薬品の薬価への適用にあるようです。しかし、医薬品へのアクセスを制限することになることへの国民の反発を懸念してか、検討の開始にあたって、諸外国で行われているような新薬の保険収載の有無に利用するのは適当ではない、としてしまったために、収拾がつかなくなっているのかもしれません。 限られた医療保険財源の下で、有効性や安全性だけでなく、費用も勘案してどのような薬剤を医療保険の対象とするかを決めていくということは、間違いなく大切なことです。医療技術評価をすでに導入している欧米の場合は、通常薬価は製薬企業が決めます。したがって、その費用が期待される効果に比べて高すぎるのではないかという議論は成り立つのですが、わが国の場合、薬価算定ルールが明確に決められていて、それにしたがって算定した薬価が、費用対効果の面で問題があるとなると、算定ルールそのものの妥当性が問題となってしまいます。あるいは、その算定ルールに基づいて算定された既存薬の薬価も問題にせざるを得なくなるかもしれません。

 

提供 : 株式会社スズケン



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