年頭所感 [薬学の時間]
2009/01/01(木) 00:00

薬学の時間
2009年1月1日放送分
「年頭所感」
日本薬剤師会会長
児玉 孝

 新年、明けましておめでとうございます。年頭所感を申し上げたいと思います。会員の皆様におかれましては、心新たに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、旧年中は日本薬剤師会の諸事業にご理解を賜りましたことを心より厚く御礼申し上げます。本年も宜しくお願いしたいと思います。
 平成21年、この新たな年に薬剤師にとって予想される主な課題、また新たな取り組みについて時系列に申し上げたいと思います。


公益法人制度改革
 まず一番目が公益法人制度改革であります。今、全国的に新たな制度改革の中で、各社団法人の見直しが始まりました。昨年の12月から平成25年の11月までのこの5年間に、社団法人をすべて新たに一般社団法人にするのか、あるいは公益社団法人にするのか、移行をしなければなりません。日本薬剤師会としては、医薬品を通じて社会に貢献する職能団体であるという位置づけから、公益社団法人を目指すべきであると思っております。これは先生方所属の各都道府県薬剤師会も全て同じではないかと思うわけであります。ただこの制度の改革につきましては、手続き上も大変でありますが、それ以上に明治以来、日本薬剤師会は薬舗主からスタートとしたという経緯があります。従いまして、これを機会に本来の薬剤師の集団、いわゆる人の集団に変える大きなチャンスであると考えております。例えば、現在のA会員、B会員という分け方も今回の制度改革で勤務者、開設者、あるいは職種関係なく、皆同じ正会員という一本にする、そして職域ごとの部会を現在以上に充実させる、そのために定款、組織、会費等、根本的に見直す、そして結果的に薬剤師会本来の姿であります、あらゆる職域の薬剤師が加入できる薬剤師会に変えようというものであります。これには相当の覚悟と努力が必要でありますが、3年後に出てくる6年制薬剤師、そして薬剤師の将来のためにも是非とも成し遂げねばならないと思っております。

レセプトのオンライン請求 
 二番目にレセプトのオンライン請求があります。これにつきましては会員の皆様にご負担をおかけしているわけでありますが、基本的に日本薬剤師会は医師会等、三師会と協調し、このオンライン請求の義務化には反対しております。しかしながら事務的には進行しておりますので、この件への対応はどうしても不可欠であります。いよいよこの4月からスタートすることになります。日本薬剤師会としましては、今でもその請求をペーパー等で行なわれている会員から、こうなるととてもついていけない、閉局せざるを得ないという声をお聞きしておりますが、それは是非とも避けたいという思いであります。従いまして、この1月中にはそのための手段、例えば薬剤師会が代わって請求をするというようなことにつきましてご案内をする予定でありますので、宜しくお願いしたいと思います。

薬学教育6年制
 三番目が薬学教育6年制に伴う件であります。ご承知の通り、来年の平成22年5月から、いよいよ長期実務実習が始まります。それに伴って、この1月から本格的に受け入れ施設である薬局、病院と薬学生との調整作業が始まります。そして、本年6月までには各大学が全学生の受け入れ施設のリストを文部科学省に提出しなければなりません。将来を担う薬剤師のために是非受け入れを宜しくお願いします。

改正薬事法施行
 四番目が改正薬事法であります。この6月からいよいよ全面施行されます。この機会に本来の薬局、いわば調剤そしてOTCを含む全ての医薬品の供給、地域への医療、保健、福祉への関わり、こういった役割を果たせる薬局に取り組んでいく大きなチャンスではないかと思います。特に平成18年度に医療提供施設となった薬局が、本当に国民のための薬局に脱皮できるか、社会的に大きく注目されています。またこの機会に、薬の専門家としての薬剤師が、生活者のためのセルフメディケーション推進に関わることが特に大切なことではないかと思います。

薬剤師の将来ビジョンの策定
 五番目に薬剤師の将来ビジョンの策定であります。これにつきましては昨年の会長就任時にマニフェストを申し上げ、その一番初めのお約束をしたものがこの薬剤師の将来ビジョンの策定であります。この将来ビジョンにつきましては現在、職域ごとに策定中です。今年の11月頃にはその職域ごとの将来ビジョンをある程度一本にまとめ、そして中間報告として会員の皆様方にご報告したいと思っております。こういった時代だからこそ、このような将来ビジョンを示すことが大変重要かと思います。

調剤報酬改定
 六番目が調剤報酬改定であります。平成22年の4月1日付けで2年ごとの調剤報酬改定が行なわれます。本格的な議論は、もう今年の夏過ぎ頃から始まります。近年は毎年、毎回実質マイナスという大変厳しい状況にあります。その大きな要因は5年間に渡る社会保障費の毎年2,200億円の削減にあります。これにつきましては、三師会、または日本薬剤師会連盟とともに、協同してこの削減措置に最大限の努力をして行きたいと考えております。ただ昨年の報酬改定の中身につきましては、将来の薬剤師職能が生かされる点数の考え方が導入されたことは間違いありません。従いまして、この要点を十分にお含みおき願い、今度の改正までにその実行をお願いできればと思うわけであります。あわせてジェネリックの推進という、私にとって大変大事な事業がありますが、これについても是非とも良い方向に行くように努力をお願いしたいと思います。

政治的課題
 七番目が政治的な課題であります。今年は衆議院選挙、そして来年にはいよいよ私ども薬剤師の代表であります、藤井基之氏の参議院選挙があります。いずれにしましても、薬剤師の職能拡充のためにも是非とも参加協力をお願いしたいと思います。

 終わりにあたりまして、以上主な課題の要点を申し上げたわけでありますが、いずれの課題の共通点は、いかに薬剤師自身が十分自覚したうえで実行し、そして患者さん、生活者に理解していただけるか、将来に向かっての大きなチャンスととらえ、是非とも「百の言葉より一の行動」という方向でお願いしたいと思います。
 今年は丑年であります。ご承知の通り「牛歩」という言葉がありますが、文字通り、牛はゆっくり歩きます。しかしながらその分、確実に一歩一歩しっかりと大地を踏みしめて進みます。現在のような混沌とした時代だからこそ、このような歩み方が大切と考えます。本年が会員皆様にとって、またすべての薬剤師にとって良い年でありますことをお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。