最近の副作用情報から「医薬品・医療機器安全性情報No.253、254」 [医薬品情報]
2009/02/26(木) 00:00

薬学の時間
2009年2月26日放送分
最近の副作用情報から「医薬品・医療機器安全性情報No.253、254」
厚生労働省医薬食品局安全対策課
野坂 佳伸

はじめに 
 みなさま、こんにちは。厚生労働省医薬食品局安全対策課でございます。
 本日は、昨年12月、本年1月に安全対策課から発行しました「医薬品・医療機器等安全性情報」のNo.253、254の主な内容について、御紹介させていただきます。
 まずは、253号から紹介します。253号では、
1.使用上の注意の改訂について(その202)
2.市販直後調査の対象品目一覧
について掲載されています。簡単に説明させていただきます。


使用上の注意の改訂について(その202)
 まず、「使用上の注意の改訂について(その202)」でございますが、
① 抗パーキンソン剤である塩酸アマンタジンの投与中止方法に関しての重要な基本的における注意喚起、
② 免疫抑制剤エベロリムスの重大な副作用としての心のう液貯留、
③ 免疫抑制剤シクロスポリンの中枢神経系障害、血圧上昇に係る重要な基本的における注意喚起、また、重大な副作用としての可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症、
④ インスリン関連製剤の適用上の注意におけるJIS規格に適合する注射針の使用、
に関して紹介しております。

市販直後調査の対象品目一覧
 次に「市販直後調査の対象品目一覧」でございますが、対象品目一覧には、平成20年12月1日現在の市販直後調査の対象となっている品目の一覧を掲載しています。


次に、254号を紹介します。254号では、
1.「医薬品医療機器情報配信サービス」について
2.重要な副作用等に関する情報
3.使用上の注意の改訂について(その203)
4.市販直後調査の対象品目一覧
について掲載されています。簡単に説明させていただきます。

「医薬品医療機器情報配信サービス」について
 まずは、「医薬品医療機器情報配信サービス」についてでございますが、本サービスは、緊急安全性情報,使用上の注意の改訂指示等,医薬品や医療機器の安全性に関する特に重要な情報が発出された際に、電子メールによりお知らせするものでございます。
1)はじめに
 医療法及び薬事法の規定により,医薬品安全管理責任者や医療機器安全管理責任者は、医薬品や医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医薬品等の安全使用を目的とした改善のための方策を実施する必要があります。
 「医薬品医療機器情報配信サービス」は、迅速な安全性情報の収集を可能にし、その業務を円滑に実施するためのものでございます。無料で登録できるので、積極的にご活用ください。
2)医薬品医療機器情報配信サービスの仕組み
 本サービスは、厚生労働省から出される「使用上の注意の改訂指示」,「医薬品・医療機器等安全性情報」のほか医薬品等の製造販売業者から出される「緊急安全性情報」や「回収情報(クラスⅠ)」など重要な情報が発せられた場合に,予め登録された電子メールアドレスに対して、これらの情報が発出されたこととその情報を閲覧するためのリンク先を電子メールでお知らせする無料の情報配信サービスです。
本サービスに登録することで医療現場で働く医療関係者は,医薬品等の重要な安全性情報をタイムリーに入手し、安全対策に役立てることができます。
3)医薬品医療機器情報配信サービスにより配信される情報
 配信情報(平成21年1月現在)は以下のとおりです。
① 医薬品等の製造販売業者が作成した情報であり、緊急に安全対策上の措置をとる必要がある場合に発出される緊急安全性情報
② 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに、医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供される医薬品・医療機器等安全性情報
③ 厚生労働省が医薬品等の製造販売業者に対して行った使用上の注意の改訂指示の情報である使用上の注意の改訂指示
④ 医薬品を使用する上での新たな注意事項について、製薬業界が取りまとめた情報である医薬品安全対策情報(DSU)
⑤ 厚生労働省が発出した医療機器の自主点検に関する通知である自主点検通知
⑥ 医薬品,医療機器の回収(リコール)情報のうち、クラスⅠ(その製品の使用等が,重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況をいう。)に関する情報である回収情報(クラスⅠ)
 これらの情報から自分に必要な情報だけを選択して電子メールで受け取ることができます。
4)医薬品医療機器情報配信サービスへの登録方法
本サービスを受けるには、登録が必要です。病院等の医療関係施設、薬局、医薬品等の製造販売業者、医療関係教育機関などに所属されている方なら登録可能です。http://www.info.pmda.go.jp/info/idxpush.html から必要項目(組織名称、氏名、メールアドレス等)を入力し登録を行ってください。

 現在、我が国の病院・診療所・調剤薬局数は約23万施設といわれています。しかしながら、平成20年12月末までの本サービスの登録数は17,924件にとどまっています。
 医薬品安全管理責任者及び医療機器安全管理責任者を中心に、より多くの医療関係者の方にご登録いただき、医薬品等の安全対策に積極的にご活用いただくよう、お願いいたします。

重要な副作用等に関する情報
 次に重要な副作用等に関する情報でございますが、今回は2剤の使用上の注意を改訂がございます。
① 一つ目として経腸栄養成分9剤(8剤+1剤)でございますが、重大な副作用として、「ショック、アナフィラキシー様症状」を、禁忌として、「これらの剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者」を追記しました。平成17年4月1日~平成20年10月2日のショック、アナフィラキシー様症状の副作用報告数は、8件で、企業推計による平成19年度の年間使用患者数は196万人でございます。また、主な副作用の症例を紹介します。10歳未満の男性の症例、50代の女性の症例、10歳未満の女性の症例の3例が紹介されてございます。いずれの症例においても、50代の女性の症例のみは、使用直後に、アナフィラキシー様反応が生じています。
② 二つ目として、ロルノキシカムでございますが、重大な副作用として、「劇症肝炎」を追記しました。平成17年4月1日~平成20年10月27日の劇症肝炎の副作用報告数は、1件で、企業推計による平成19年10月~平成20年9月の年間使用患者数は270万人でございます。
 また、主な副作用の症例として、50代の女性で、82日間の投与後に副作用を発症し、その後劇症肝炎と診断を受けた例が紹介されています。

使用上の注意の改訂について(その203)
 続いて、使用上の注意の改訂について(その203)を紹介します。
① 麦角系の解熱鎮痛消炎剤、血管収縮剤である酒石酸エルゴタミン・無水カフェイン、酒石酸エルゴタミン・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリンメシル酸ジヒドロエルゴタミンの心臓弁尖肥厚等を有する患者の禁忌、
② 利尿剤アセタゾラミド、アセタゾミラドナトリウムの重大な副作用としての肝機能障害、黄疸、
③ 血管拡張剤塩酸ジルチアゼムの重大な副作用としての急性汎発性発疹性膿庖症、
④ 抗結核剤塩酸エタンブトールの重大な副作用としての皮膚粘膜眼症候群等の皮膚炎、血小板減少
⑤⑥⑦ 血液製剤類オクトコグアルファ(遺伝子組換え)、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子、ルリオクトコグアルファ(遺伝子組換え)、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅸ因子、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子複合体のインヒビター発生に係る重要な基本的注意における注意喚起、血液製剤類オクトコグアルファ(遺伝子組換え)のみ重大な副作用としてのアナフィラキシー様症状
に関して紹介しております。

市販直後調査の対象品目一覧
 次に「市販後直後調査の対象品目一覧」でございますが、対象品目一覧には、平成21年1月1日現在の市販後直後調査の対象となっている品目の一覧を掲載しています。
 医療関係者の皆様には、製造販売業者が行う市販直後調査に御協力くださいますよう、よろしくお願いします。

最後に
 今回御紹介させていただきました「医薬品・医療機器等安全性情報」253号,254号に関しては、厚生労働省ホームページや医薬品医療機器総合機構の「医薬品医療機器情報提供ホームページ」でも御覧いただけます。
 医薬品や医療機器の安全性確保のため、医療関係者の皆様には、医薬品や医療機器の使用によって発生する健康被害などの情報を御報告下さいますよう改めてお願いします。
 報告に際しては、「医薬品・医療機器等安全性情報」の巻末、厚生労働省ホームページ及び医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載される「医薬品安全性情報報告書」及び「医療機器安全性情報報告書」をもちいていただければと存じます。


日薬アワー「平成21年度介護報酬等の改定について」 [日薬アワー]
2009/02/24(火) 00:00

薬学の時間
2009年2月24日放送分
日薬アワー「平成21年度介護報酬等の改定について」
日本薬剤師会常務理事
木村 隆次

他職種との連携と介護報酬改定
 日本薬剤師会の常務理事をしております木村です。本日は、平成21年度介護報酬改定に関する審議報告、また決まった報酬の単位を報告させていただきます。
 平成21年度介護報酬改定に関する審議報告書は、平成20年12月12日に社会保障審議会介護給付費分科会においてまとめられました。また、同じく12月26日に告示案の諮問答申がされ、給付費分科会から社会保障審議会に報告され答申という形になりました。


 今回の報酬改定の大きな柱が3本ありまして、基本的考え方として、介護従事者の人材確保・処遇改善が一つ目であります。二つ目に、医療との連携や認知症ケアの充実、三つ目に効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証があります。一番国民的に大きな問題としては、介護従事者の人材確保と処遇改善ということで、介護事業所、施設からの人材離れ、というところが大きく論議されました。そのなかで処遇という言葉に対して、いろいろな議論がされました。給与だけ上げればいいのかという話も出て、これは労使関係での契約ということになりますので、給与だけ上がる、ではなく、休暇がどれだけとれるかとか、それから産休とか育児休暇がどれだけとれるか、勤務時間をその人その人にあわせた形での雇用形態という、そういうことを柔軟にするということの前提での処遇改善であるということがまとめられました。
 今日の本題に入りますが、薬剤師が大きくかかわるところは、二番目の医療との連携や認知症ケアの充実というところであります。一つ目に、医療と介護の機能分化・連携の推進というところがありまして、薬剤師にかかる居宅療養管理指導の審議が行われたのが、11月14日の介護給付費分科会でありました。そこに提示された資料をもとに少し解説させていただきます。
 要介護者・要支援者等の約2割において飲み忘れによる残薬が認められていること、特に本人による服薬管理が行われている可能性の高い軽度者にそれが多く認められたということであります。結果として、この飲み残し薬、残薬に関しての管理をきちんとしていこうということでの我々の仕事はさらに明確に決まったということになります。またもう一方、ケアマネージャーを対象とした関係職種との連携状況に関する調査データが出されました。医師とケアマネージャー、ケアマネージャー側に聞いた話として、関係職種との連携状況とれているのかということに対して、医師とは42~43%とれているということでありますが、薬剤師と連携がとれているというのは、10%を少し超えた程度でありました。「いいえ」が75~80%くらいあるという状況であります。これらのデータをふまえて、ほかの職種とどのように連携していかなければいけないかということが、その日の具体的な論点としてあげられました。結果として、これらのデータに基づいて、薬剤師による居宅療養管理指導については、他職種との連携をさらに進める観点および診療報酬との整合性を図る観点から見直しを検討してはどうかという提案があり、異議なしということでこのような形に決まりました。
 また、居住系施設に入所している要介護・要支援者に対する居宅療養管理指導について、移動等にかかる労力をふまえて、適切な評価を検討してはどうかということもありました。この移動等にかかる労力をふまえてということは、数人そこに住まわれているわけですので、その移動時間等が効率的になるということで当然ここの単価は下がるということであります。
 これらのことをまとめると、今回薬剤師による居宅療養管理指導の単位は、昨年の4月に改定されました在宅患者訪問薬剤管理指導料と並びになりまして、月の1回目から4回目まで、原則として月4回までの訪問の場合は、500単位ということになります。つまり5,000円ということになります。また、居住系施設入居者に対しては350単位、3,500円、これが原則月4回までということになります。さらに末期がん、中心静脈栄養患者に関しては月8回までの訪問ということになります。これは薬局の薬剤師の訪問ということになります。また、医療機関の薬剤師が訪問する場合の単位は550単位、5,500円という形になります。居住系施設入居者に関しては385単位、3,850円という形になります。ここは月2回であります。医療機関の薬剤師の訪問に関しては、月2回までの算定ということになります。
 こういうことで、これからしっかりやらなければならないのは、ほかの職種との連携ということが大事になります。具体的に申し上げますと、たとえば薬剤師が居宅療養管理指導をしたおり、薬がきちんと飲まれていないというときには、ケアマネージャー、介護支援専門員にその情報を提供し、また助言をする形でケアマネージャーがつくるケアプランにおいて訪問介護員などがお薬をきちんと飲むようにということを促すなどのケアプランをつくってもらって、薬剤師とケアマネージャーが連携を密にしながら訪問介護員、デイサービスの職員、訪問看護師などの訪問系・通所系のサービスをうまく組み合わせてきちんとした服薬管理をしていくということに具体的になっていきますので、そのことを十分理解していただきたいと思います。

薬剤管理を徹底し認知症の悪化を防ぐ
 また、今回の介護報酬改定として大きく取り上げられたのは、認知症の患者さんたちへの認知症ケアに関する推進ということであります。ここに対して少し我々と薬剤師との関係をふれてみたいと思います。
 もともと平成20年6月5日に行われました、第3回の認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトというものがあります。認知症の医療と質を高める緊急プロジェクト、これは厚生労働省の局長クラスの人たちが全員入って検討したものですが、そのなかで提示された認知症と間違えやすい状態ということで、薬剤性のせん妄とかうつ病ということが取り上げられました。特に認知症かもしれないという方々に対してきちんと診断をしてみると薬剤の影響で2割程度は認知症と間違われていたという結果もあったという報告があります。
 また、第3回の安心と希望の介護ビジョンのなかでこだまクリニックの木下医師から提示されたデータがあります。これは平成20年11月28日に行われた介護給付費分科会でもその資料が提示され、次のことが報告されています。認知症が悪化する原因は三つありまして、一番目に薬剤、それも薬剤に関しては37.7%、二番目に身体合併症、23.0%、三番目に家族・介護環境、10.7%。この認知症が悪化する原因の一番に薬剤ということが出されまして、この認知症が悪化する原因としての薬剤の管理ということがきちんとされれば、この37.7%の悪化率というものは改善できるのではないかということが当日の介護給付費分科会で医師の資格を持っている委員から多数発言があり、この薬剤管理のことをやっていこうということが決まりました。そのおり、もともと日本薬剤師会でまとめています体調チェックフローチャート、食事・睡眠・運動・排泄、これらに影響のある薬剤のデータベースはできております。今後、日本薬剤師会として、この認知症を悪化させる、またうつ等の症状が出る、それらの薬剤のデータベースを整理し、体調チェックフローチャートのなかにそれらのことをきちんと入れて日本薬剤師会から日本薬剤師会会員を通して、それらのデータベースを手に入れていただいて街角の薬局窓口での薬剤管理、日常生活に薬剤の影響がある、それらのことをきちんと薬局窓口で薬剤の影響を見ていくと、そういうことも今回をきっかけに進めたいと思いますので、よろしくお願いします。


学薬アワー「喫煙防止教育について」 [学薬アワー]
2009/02/19(木) 00:00

薬学の時間
2009年2月19日放送分
学薬アワー「喫煙防止教育について」
日本学校薬剤師会常務理事
篠原 幸雄

禁煙をめぐる世界の動き
 現在、タバコ及び喫煙は全世界が取り組むべき重要な健康問題となっています。日本薬剤師会では2003年『禁煙運動宣言』を出し、禁煙運動の推進と受動喫煙の防止に取り組んでいます。この宣言では国民の禁煙支援に積極的に取り組む、特に未成年者への禁煙啓発活動を行う事が謳われています。青少年の喫煙は、若者自身の健康を害すると共に、将来の生活習慣病の原因にもなります。タバコは麻薬・覚せい剤などへの入門薬・ゲートウエイドラッグとなるとも言われていますので、喫煙防止教育は薬物乱用防止活動にもつながるという点で非常に大切です。学校においては、学校薬剤師が薬物乱用防止教育と共に喫煙防止教育にも積極的に取り組んでいます。


 タバコが原因と思われる死亡者は国内で年間約20万人、世界では約400万人以上と言われています。タバコの煙の中には4,000種類以上の化学物質が含まれ、そのうち有害な成分が200種類、発ガン性のある成分が40種類ほど含まれています。その為、喫煙はガン、循環器疾患、呼吸器疾患など様々な病気の原因になることが科学的に証明されています。タバコを吸う人自身への直接的な害はもちろんですが、受動喫煙という形でタバコを吸わない人、特に子供たちに健康障害がおきている事は大きな社会問題となっています。国際的に禁煙推進運動が高まるなか、2003年5月世界保健機関(WHO)総会で『たばこ枠組み条約』が採択され、わが国では2005年2月よりこの条約が発効されました。その取り組みとして、職場や公共の場所では受動喫煙防止の為、分煙や禁煙が実施されています。例えば学校での敷地内禁煙は、現在ほとんどの学校で実施されています。また未成年者がタバコの自動販売機を勝手に利用できない様に『年齢認証カード』が昨年導入されました。タバコの広告については、未成年者が喫煙する一因になっているとの指摘がありますので、今後タバコの害についての警告表示の強化やタバコ広告の包括的禁止など様々な対策がとられるものと思われます。
 この様な対策によって、わが国の成人の喫煙率は年々減少していますが、諸外国と比べると、未だかなり高いレベルにあります。平成20年に行われた調査によりますと、成人男性の平均喫煙率は39.5%です。年代別にみると60歳以上は27.0%と減少傾向が見られますが、40歳代で47.8%と最も高くなっています。これに対し成人女性の平均喫煙率は12.9%で大きな変動はありません。しかし若い女性の喫煙がふえている事、さらに青少年の喫煙が減少していない事が問題となっています。毎年5月31日はWHOが定める世界禁煙デーです。昨年のスローガンは『たばこの害から若者を守ろう』でした。どの国においても未来を担う若者たちをタバコの害から守るために様々なイベントが実施されています。

タバコの害から子供たちを守る為に
 わが国における喫煙防止教育は、小学校では「体育」の保健領域で教える事となっています。病気の予防について理解することを目的として喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は健康を損なう原因となることを教えます。中学校では「保健体育」の保健分野で健康な生活と疾病の予防について理解を深め、喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は、心身に様々な影響を与え、健康を損なう原因となる事、又その様な行為は、個人の心理状態や人間関係、社会環境が影響する事などを理解させます。高等学校では「保健体育」の授業「現代社会と健康」というテーマーの中で、喫煙や飲酒、薬物乱用と健康の関係につき指導することとなっています。今後は、さらに小学校低学年から受動喫煙を含むタバコの健康障害と予防について教育する必要があると思われます。
 わが国には「未成年者喫煙禁止法」があり満20歳までの喫煙は法律で禁止されています。これは有害な喫煙から、子どもたちの身体を守る為に制定されたものであって、喫煙している子どもを処罰するための法律ではありません。その為、わが国の子どもたちの喫煙率は依然高く、喫煙の低年齢化が進んでいます。タバコを吸い始めるきっかけは好奇心からが多い様ですが、就学前の子供たちは、両親の喫煙をまねてタバコに手をだすケースもあるようです。学校においては、子どもたちだけでなく、先生方はじめPTAのお父さんお母さん方にも、タバコや喫煙について正しい知識を持って頂くことが必要です。
 タバコに含まれる有害物質のうちにニコチン、タール、一酸化炭素は『タバコの3大有害物質』と言われています。そのうち、ニコチンには強い依存性がある為、一度吸い始めるとやめられなくなってしまいます。さらに吸い始める年齢が低いほど短期間でニコチン依存症になることも分かっています。タバコが止められないのは、意志が弱いからではなくニコチン依存状態になっている為で、ニコチン依存症としての治療が必要です。タバコは嗜好品だという大人がいますが、タバコは嗜好品ではなく、依存性薬物であるという認識が必要ではないでしょうか。又ニコチンには強い血管収縮作用がある為、全身の血流が悪くなり、血圧が上昇し心臓にも負担がかかってきます。妊娠中の喫煙は子宮の収縮が起こりやすくなる為、流産、早産の危険性が高まります。また、血流の悪化は胎児の成長を妨げ、低体重児の出生や知能の発達が遅れる可能性も出てきます。ニコチンは母乳に移行しますので、授乳中の女性の喫煙は赤ちゃんに悪影響を与え大変危険です。
 次にタールですが、タールには多くの発ガン物質が含まれ、肺に沈着し蓄積されます。1日20本のタバコを吸う人は、1年でコップ一杯(約180ml)のタールを体に入れることになります。タールは長い年月にわたって発ガン物質として作用し続け、肺ガンやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺気腫の原因になります。大人に比べて子どもでは、それらの影響がより強く現れます。特に細胞が若いほど発ガン物質の影響を受けやすい為、喫煙の開始年齢が低いほど、将来ガンにかかる危険性が高くなると言われています。
 次に、一酸化炭素ですが、タバコを吸う人の血液中及び呼気中の一酸化炭素濃度は著しく高くなっています。一酸化炭素はヘモグロビンへの結合能力が酸素の約250倍強いため、タバコを吸うと、全身が軽い酸欠状態になってしまいます。その結果、持久力がなくなり運動能力も落ちてしまいます。タバコを吸っていたのでは、一流のスポーツ選手になれないと言われるのはこの為です。これらの事から、子供たちにはタバコに手を出させない教育と環境づくりが最も大切だと思われます。もう一点、子供たちがタバコから受ける健康被害として受動喫煙の問題があります。家庭の中にタバコを吸う人がいる場合、子供たちは、さまざまな場面でタバコの煙に暴露され、受動喫煙の危険にさらされています。タバコを吸っている本人が吸い込む煙(主流煙)よりタバコを吸わない人が吸い込む煙(副流煙)の方がより有害であり、健康障害として気管支アレルギーやぜんそくの悪化さらに肺がん、虚血性心疾患、乳幼児突然死症候群などの危険性が高まると報告されています。
 今後、受動喫煙をはじめ、タバコについての正しい知識の普及と喫煙防止への取り組みは、さらに重要性が高まるものと思われます。子どもたちにはタバコに手をださせない事が何より大切です。学校においては学校薬剤師が、薬局店頭においては開局薬剤師が、病院においては病院薬剤師がそれぞれの立場で禁煙及び喫煙防止活動を推進していく事が求められています。


厚生労働省アワー「日本薬局方について」 [厚生労働省アワー]
2009/02/17(火) 00:00

薬学の時間
2009年2月17日放送分
厚生労働省アワー「日本薬局方について」
厚生労働省医薬食品局審査管理課
村山 一茂

はじめに
 厚生労働省医薬食品局審査管理課の村山と申します。本日は、日本薬局方について、お話させていただきます。日本薬局方(以下、局方)とは、学問・技術の進歩と医療需要に応じて、我が国の医薬品の品質を適正に確保するために必要な規格・基準及び標準的試験法等を示す公的な規範書です。薬事行政、医療現場及び薬学研究等に携わる多くの方々の知識と経験を結集して作成されたものであり、広く活用されております。また、国民に医薬品の品質に関する情報を開示し、説明責任を果たす役割も担っております。


日本薬局方とは
 局方は、薬事法の規定に基づき定められております。薬事法第41条に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて告示にて定めているものが局方です。薬事法第1条には、その目的として「医薬品等の品質・有効性・安全性の確保に必要な規制を行うことにより、保健衛生の向上を図ること」と規定されておりますが、この目的の中で、局方は医薬品の品質確保に係る部分を担っております。局方の改正については、少なくとも10年ごとに行うこととされておりますが、昨今の医学・薬学の急速な進歩に合わせて改正を行う必要があることから、現在では5年毎の全面的な改正と、その5年の間に2度の追補改正を行い、さらに必要があれば適宜部分改正を行っております。
なお、局方をご覧になりたい方は、厚生労働省のホームページにてご確認いただけます。

日本薬局方の構成について
 局方は、全般的事項と医薬品各条とに大きく分かれております。
 全般的事項の構成としては、通則・生薬総則・製剤総則・一般試験法・医薬品各条・参照スペクトル・参考情報・附録となっております。
 それぞれの役割・位置付けを説明いたします。通則は、医薬品全般に関わる共通のルールを規定しております。例えば、用語の定義、判定基準及び計量単位等が記載されております。生薬総則は、生薬に特有な事項を定めたもので、形状の定義や保存方法等が記載されております。製剤総則は、製剤に関する共通のルールを規定しており、製剤毎に定義や製法、保存方法等が記載されております。一般試験法は、医薬品品質試験用の試験方法、試薬・試液、標準品、温度計等を定め、収載している試験法としては無菌試験法や溶出試験法等、医薬品の品質を試験するために必要な試験法が収載されております。

 医薬品各条には、化学薬品、生物薬品、生薬等の様々な医薬品が収載されており、それぞれに名称、性状、確認試験、純度試験、特殊試験、定量法が記載されております。
 名称とは、その名のとおり医薬品の顔となります各医薬品の名称を定めております。医薬品の名称には、局方で定められている名称と、一般的名称とあります。局方に収載されている医薬品の名称は、局方で定められている名称を、局方に収載されていない医薬品の名称は、一般的名称を使用します。なお、一般的名称は、通称JANといい我が国における医薬品の一般的名称であり、専門家から構成される名称専門協議にてその名称が決定され、最終的に厚生労働省から通知として示されるものです。製造販売業者が独自に名称を付ける販売名と混同しないようにご注意ください。性状は、医薬品の物理化学的事項として溶解性や光安定性、pH等を記載しております。確認試験は、医薬品又は医薬品中の主成分等の特性に基づいた確認のための試験で、呈色反応や赤外吸収スペクトル測定法等が記載されております。以前は、呈色反応等が主に使用されていましたが、分析技術の向上に伴いまして近年では、赤外吸収スペクトルや紫外可視吸収スペクトルを主に確認試験として使用しております。純度試験は、医薬品の混在物である、不純物、中間体、異性体等を分析する限度試験であり、薄層クロマトグラフィー等各種試験法を用いて分析します。近年では、分析技術の向上に伴いまして、類縁物質の分析等には液体クロマトグラフィーを主に用いて分析する試験を使用しております。特殊試験は、医薬品の中でも原薬ではなく特に製剤においてその特質上必要な試験を規定しております。例えば、注射剤であれば無菌試験法やエンドトキシン試験法等を錠剤であれば溶出試験法等をそれぞれ規定しております。各医薬品各条にて、これら医薬品の品質確保に必要な様々な試験法を規定しており、それぞれ規定している試験法により試験を行い、基準を満たすことで、局方に適合しているということとなります。
 参考情報は、医薬品の品質確保に参考となる試験法や国際調和の反映状況等が記載されております。

日本薬局方収載医薬品の取扱い
 薬事法第56条の規定により、局方収載医薬品であって、その性状又は品質が局方で定める基準に適合しないものは、販売や授与等が禁止されております。つまり、医薬品各条に収載されている医薬品の市場流通品は、局方に定められた規格を最低限クリアしていることとなります。なお、企業によっては、局方より厳しい規格で品質を管理していることもあります。
 次は表示についてですが、薬事法第50条の規定により、「医薬品のその直接の容器又は直接の被包」に記載するべき事項がいくつかあります。たとえば、「日本薬局方」の表記及び日本薬局方において記載するよう定められている事項(含量、含有単位及び最終有効年月等)です。
 このように、局方に収載された医薬品には、これら特段の取扱いがなされており、局方が公的に定められた医薬品品質に関する基準であるということが分かります。

日本薬局方作成手順
 局方作成については、当課と独立行政法人医薬品医療機器総合機構が主体となって進めております。まず、要望があった医薬品について、総合機構に設置されている日本薬局方原案審議委員会での審議、意見募集等を経て、局方原案が作成されます。その後、総合機構から当課に報告された原案について、薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会での審議、意見募集等を経て最終確定後、告示として公布します。

日本薬局方作成基本方針
 局方の作成基本方針として、平成13年と平成14年に薬事・食品衛生審議会より答申をいただいており、以下の5本の柱を掲げております。
1.保健医療上重要な医薬品の全面的収載
2.最新の学問・技術の積極的導入による質的向上
3.国際化の推進
4.必要に応じた速やかな部分改正及び行政によるその円滑な運用
5.局方改正過程における透明性の確保及び局方の普及 です。

 これらに加え、以下の5つについては特に医療上重要な医薬品の要素と考え、局方への全面的な収載を目指しております。
1.優先審査がなされた画期的な医薬品
2.代替薬が無い医薬品。例えば希少疾病用医薬品等
3.米国薬局方や欧州薬局方に収載され、諸外国でも広く使用されている医薬品
4.医療上汎用性があると考えられる医薬品。例えば後発医薬品が承認されている医薬品等
5.再評価により有効性、安全性及び品質が確認された医薬品 です。

 これまで述べてきたように、局方は医学薬学領域において非常に重要な公的な規範書ですので、厚生労働省「日本薬局方ホームページ」での情報の公開など適宜実施しており、最新の学問の積極的導入による試験法などの改正、日米欧の三薬局方の調和の推進、アジアの諸外国で積極的に活用されるための基盤づくりにも努めております。

今後について
 局方は、初版が制定された明治19年当時は、収載品目数が468品目でしたが、平成19年9月に告示いたしました第15改正日本薬局方第一追補では収載品目数が1567品目となっております。局方が医薬品の品質確保を役割としており、その役割を果たすためにも今後さらなる収載品目の充実が必要であると考えております。

 以上、局方について説明させていただきましたが、医薬品において品質を確保することは非常に重要であることは言うまでもありません。医師が安心して処方でき、患者さんが安心して服用できる薬剤を提供できるよう、局方を通して今後とも全力で取り組んで参りたいと考えております。ありがとうございました。


シリーズ 重篤副作用疾患別対応マニュアル(1)薬剤性過敏症症候群
2009/02/12(木) 00:00

薬学の時間
2009年2月12日放送分
シリーズ 重篤副作用疾患別対応マニュアル(1)
「薬剤性過敏症症候群」
愛媛大学皮膚科学教室教授
橋本 公二

DIHSは原因薬剤投与中止後も進行・再発を繰り返す特異な薬疹
 本日は、薬剤性過敏症症候群(DIHS)についてお話ししたいと思います。
 DIHSはdrug-induced hypersensitivity syndromeの頭文字をとったもので、当初hypersensitivity syndromeという名称が使われていましたが、hypersensitivity syndromeの名称があいまいであること、薬剤性ということを明確にしようということ、またヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化を伴うという疾患概念を強調しようということ、などの理由により8年ほど前に、我々が提唱したものです。現在では本邦のみならず、海外でも使われるようになっています。


 DIHSはStevens-Johnson症候群、Toxic epidermal necrolysisと並ぶ重症型の薬疹ですが、私がDIHSの患者にはじめて出会ったのは13年ほど前のことで、スルファサラジン投与中の乾癬性関節症、これは尋常性乾癬という皮膚疾患にリュウマチ様の関節症状を伴うものですが、その患者で、全身症状を伴う薬疹と思われる症状が発現しました。
 この患者はhypersensitivity syndromeと診断されたのですが、症状が伝染性単核球症様であったため、EBウイルス、サイトメガロウイルスをはじめとして、ウイルスの検索を行ったところ、偶然にHHV-6の再活性化を見いだし、さらに、同様の症例がもう一例見つかったことから、この関連は偶然ではないであろうと考えるようになったわけです。
 このHHV-6とDIHSの関連が広く知られるようになったのは1998年に我々と塩原らのグループが、DIHSが薬剤アレルギーとウイルス感染症の複合した新しい疾患概念であることをArchives of Dermatologyに報告したのがきっかけとなりました。
 さて、DIHSは、50年以上前から、DDS症候群、anticonvulsant hypersensitivity syndromeなどの名称で報告されていましたが、この時には個々の原因薬剤に対応する名称で呼ばれていました。しかし1994年、Roujeauらはこれらに共通点があることに着目し、hypersensitivity syndromeと呼ぶことを提唱し、さらに後に、DRESS(drug rash with eosinophilia and systemic symptoms)の名称を提唱しております。
 DIHSは臨床的にいくつかの特徴があります。まず、①原因薬剤が、フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、ゾニサミド、DDS、サラゾスルファピリジン、メキシレチン、アロプリノール、ミノサイクリンにほぼ限定されていること、②原因薬剤の投与開始後2週から6週後に発症すること、③発熱、末梢血の白血球増多、異型リンパ球の出現、好酸球増多、肝機能障害、全身のリンパ節腫脹、などの全身症状を伴うこと、④これらの症状が原因薬剤の投与を中止したあとも進行したり、再発を繰り返したり、軽快するまで1カ月以上の経過を要することがしばしばあること、などがあげられます。通常の薬疹では、原因薬剤を投与すると速やかに発現し、中止すると症状が直ちに消退することが多いわけですが、DIHSでは全く逆になっています。この点からもDIHSが極めて特異な薬疹であることがおわかりいただけると思います。なお、皮疹は斑状丘疹型(時に多型紅斑)で始まって紅皮症となることが多く見られます。

DIHSは薬疹にHHV-6の再活性化が加わった疾患であることがわかった
 次に、DIHSとHHV-6の関連について説明いたします。HHV-6は、βヘルペスウイルス亜科に属し、突発性発疹、いわゆる知恵熱ですが、その原因ウイルスで、本邦ではほぼ全員が2歳までに感染し、感染したウイルスは、単球、マクロファージ、唾液腺などに潜伏感染するわけです。そこで、DIHSにみられたHHV-6の再活性化が単なる偶然か否か、ということを確認するために、3週間以上、症状が持続した重症型の症例60例について、抗HHV-6 IgG抗体価の変動を検討したところ、全例において、発症後2週間以内は抗HHV-6 IgG抗体価の上昇はみられないが、5週間目以降は抗HHV-6 IgG抗体価の著明な上昇(4段階以上)が認められ、さらに、約80%は4週間目以降には抗HHV-6 IgG抗体価が上昇していることが明らかになりました。これはDIHSにおいては、発症後2~3週間目という極めて限定された時期に、HHV-6の再活性化が起きることを示しております。さらに、DIHSの原因薬剤で発症し臨床的に軽症型の薬疹でDIHSとは明らかに異なる症例について抗HHV-6 IgG抗体価の変動を検討したところ、有意の変動は認められませんでした。また、このHHV-6の再活性化がStevens-Johnson症候群およびToxic epidermal necrolysisの重症薬疹でも見られるどうか検討したところ、抗HHV-6 IgG抗体価の特異な変動は見られませんでした。
 さらに、DIHSの臨床症状を詳細に検討してみますと、3週間以上症状が長く続く場合は2峰性、すなわち、二つのピークがあることわかりました。そこで、この二つ目のピークの出現がHHV-6の再活性化と関連するのではないかと考え、抗HHV-6 IgG抗体価の上昇した62例と上昇しなかった38例とを比較したところ、抗HHV-6 IgG抗体価の上昇したグループで、臨床症状の再燃、遷延化、重症化がみられました。つまり、DIHSは最初薬疹として症状が出現し、これにHHV-6の再活性化による症状が加わった疾患であったわけです。このことに気付かないと、原因薬剤を中止しても、再発を繰り返す、変わった薬疹と考えてしまうわけです。現在、考えられている発症メカニズムの仮説としては、原因薬剤の中間代謝産物が薬剤アレルギーを誘発し、特殊なT細胞が活性化され、これがHHV-6の再活性化を起こすのではないかと考えられています。では、二つ目のピークの臨床症状はHHV-6による直接的な影響なのでしょうか。これは、現時点では確定的なことは言えませんが、再活性化したHHV-6に対する免疫アレルギー反応ではないかと考えています。
 次に、活性化するのはHHV-6だけなのでしょうか。我々が45例のDIHSの症例を検討したところ、約30%の症例でサイトメガロウイルスの再活性化が認められました。サイトメガロウイルスの再活性化は、HHV-6の再活性化に先行して起きることはなく、HHV-6の再活性化とほぼ同時、あるいは遅れてみられるのが特徴的で、サイトメガロウイルスの再活性化に伴って、軽度の発熱から皮膚潰瘍、心筋炎などの重篤な症状まで色々な症状がみられ、DIHSの重症化にサイトメガロウイルスの再活性化が関与することが示唆されています。なお、HHV-7およびEBウイルスの再活性化も一部の症例で見られますが、臨床症状の発現に関与しないと考えられています。
 さらに、DIHSで注目すべきものとして、合併症があります。代表的なものは、脳炎で、DIHSに引き続いて、脳炎症状が出現し、髄液からHHV-6がPCRで同定されています。また、劇症1型糖尿病、あるいは心筋炎の合併も報告されており、これらの疾患を見た時には、薬剤の服用歴に十分注意する必要があります。
 また、最近、薬剤のみでなく、化学薬品であるトリクロロエチレンで、DIHSと同様の症状が出現し、HHV-6の再活性化を伴うことが報告され、DIHSの発症機序を明らかにする有力な手がかりになるのではないかと期待されています。
 以上のごとく、DIHS研究は薬剤アレルギーとウイルス感染症の複合した病態という新たな疾患概念を提唱するとともに、Stevens-Johnson症候群、toxic epidermal necrolysisでは埋めることのできなかった重症薬疹の領域を明らかにし、重症薬疹の概念の確立に貢献したと言えるでしょう。


全9件中 1件〜5件目を表示 [ 1 2 次の5件 ]