ピロリ菌感染の実態について [薬学の時間]
2009/09/15(火) 00:00

薬学の時間
2009年9月15日放送分
「ピロリ菌感染の実態について」
大分大学消化器内科診療教授
村上 和成

はじめに
 2000年に日本ヘリコバクター学会より「H.pylori感染の診断と治療のガイドライン」が初めて報告され、今回2009年にはガイドラインの2回目の改訂版が作成されました。その間に、胃癌をはじめ様々な疾患とH.pyloriとの関連が明らかにされ、二次除菌治療法が保険適用となり、CAM(クラリスロマイシン)耐性菌の著明な増加が指摘されるなど、除菌にかかわる問題点が浮き彫りになってきています。除菌治療は一般臨床の場でも、比較的手軽に行われるようになっており、1年間の除菌治療数は50万人から60万人にのぼるとされています。本項では新しい日本ヘリコバクター学会ガイドラインの大きな改訂点と一般市民にとっての意義について述べてみます。


耐性菌を出さないための抗菌薬治療ストラテジー [薬学の時間]
2008/10/14(火) 00:00

印刷用PDF

薬学の時間
2008年10月14日放送分
「耐性菌を出さないための抗菌薬治療ストラテジー」
兵庫医科大学感染制御学教授
竹末 芳生

3~4カ月間隔の抗菌薬サイクリングでは効果は認められない
 耐性菌対策として、抗菌薬使い分け(antibiotic heterogeneity)の重要性が数多く報告されています。一般に緑膿菌に活性を有する第4世代セフェム、カルバペネム、ニューキノロン、ピペラシリン/タゾバクタムが使い分けられています。抗菌薬許可制/届出制を導入し、特定の抗菌薬使用を制限している施設も多いのですが、適切な代替薬を指定しなければ、single switchにとどまってしまいます。すなわちカルバペネムを制限するだけでは、その次に使い慣れた第4世代セフェム薬一辺倒となりantibiotic heterogeneityは実践されません。


耐性菌を出さないための抗菌薬使用ストラテジー [薬学の時間]
2006/12/07(木) 00:00

薬学の時間
2006年12月7日放送分
「耐性菌を出さないための抗菌薬使用ストラテジー」
帝京大学医学部附属病院外科教授
福島 亮治

抗菌薬のサイクリングとミキシング
 抗菌薬・抗生物質を多量に使用すると、各種耐性菌が増加することは、ペニシリンが開発されて程なく、これに耐性化した黄色ブドウ球菌が認められて以来、これまでの数々の歴史的事実が証明しています。特定の抗菌薬を使用することで、それに対する耐性菌が増えることは、ある意味では宿命的なことともいえますが、偏った抗菌薬の使用による、いわゆるantibiotic pressure(薬剤耐性菌の選択圧)は、特定の耐性菌による院内感染の原因となりやすいことが知られています。