シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(9)急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群 [薬学の時間]
2009/10/15(木) 00:00

薬学の時間
2009年10月15日放送分
シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(9)
「急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群」
信州大学内科学第一講座教授
久保 惠嗣

 本日は、シリーズ、重篤副作用対応マニュアル(9)、急性肺損傷、acute lung injury、ALI、ならびに急性呼吸窮迫あるいは促迫症候群、acute respiratory distress syndrome、ARDS、について話したいと存じます。
 最初に肺水腫について簡単に触れます。肺水腫は、肺血管外での異常な液体貯留、と定義されます。その発生には、大きく2つの機序があります。肺の毛細血管内圧の上昇により、漏出液が貯留する場合と肺の炎症などで毛細血管壁の透過性が亢進し、滲出液や細胞成分が貯留する場合です。前者の代表的な病態が左心不全に伴う肺水腫で、後者が透過性亢進型肺水腫です。透過性亢進型肺水腫の代表的疾患が、今日、お話するALI/ARDSです。


薬剤性肺障害の発生機序 [薬学の時間]
2007/12/04(火) 00:00

薬学の時間
2007年12月4日放送
「薬剤性肺障害の発生機序」
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学分野教授
吉澤 靖之

薬剤性肺障害の分類
 薬剤性肺障害の発生機序について説明したいと思います。
 はじめに薬剤性肺炎の病理組織像の分類についてお話します。
 最近、特発性間質性肺炎群についてのアメリカとヨーロッパの呼吸器学会のコンセンサスレポートが報告され、その病理組織像についても一定の統一が図られました。原因の明らかな間質性肺炎もこの組織分類に準拠して記載するようになってきており、薬剤性肺炎にもこの組織分類が適用されるようになってきています。この分類によれば通常型間質性肺炎(UIP)非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia、NSIP、このなかでcellular NSIPとfibrotic NSIPに亜分類)、少し頻度が低いその他の間質性肺炎がみられます。また同時に組織像と対比して画像の特徴も記載されてきていることより、薬剤性肺炎の画像所見もこの分類に準拠して報告される傾向にあります。この分類に準拠すると薬剤性肺炎は、急性間質性肺炎パターン、急性好酸球性肺炎、慢性間質性肺炎パターン(主として非特異性間質性肺炎、nonspecific interstitial pneumonia、NSIPパターン)、器質化肺炎パターン、慢性好酸球性肺炎に分類されます。


めまい [薬学の時間]
2007/11/15(木) 00:00

薬学の時間
2007年11月15日放送
「めまい」
埼玉医科大学耳鼻咽喉科・神経耳科教授
伊藤 彰紀

めまい単独の疾患とその治療
 本日はめまいの診断と治療についてお話したいと思います。
 めまいは、頭痛と並んで日常診療上患者さんの訴えのなかで非常に多いものの一つです。ひとくちにめまいと言ってもその性状は様々で、ぐるぐる回るという回転性めまい、地震が来たときのように体がぐらぐらするという動揺性めまい、雲の上を歩いている感覚と表現される浮動性めまい、目の前が暗くなり気が遠くなりそうという眼前暗黒感などに大別されます。このようなめまいの性状のみでその原因疾患を診断することは困難ですが、一般的な目安として言えることは、回転性めまいは内耳疾患に多く、動揺性ならびに浮動性めまいは中枢疾患に多いとされています。一方、耳鳴り、難聴、耳のつまり感などが随伴する場合には、もちろん内耳性めまいを強く疑います。


最近増加している薬剤性腸炎とその対応 [薬学の時間]
2007/10/11(木) 00:00

薬学の時間
2007年10月11日放送
「最近増加している薬剤性腸炎とその対応」
福岡大学筑紫病院消化器科教授
松井 敏幸

薬剤性腸炎の病型
 治療を目的として投与された薬剤が、消化管に障害をもたらすことがあります。上部消化管と並んで、小腸や大腸にも投与薬剤に起因する病変が生じます。薬剤による腸管障害には、特異的な臨床所見や病理組織所見がないため診断に難渋しがちです。内視鏡検査が診断に有用なこともありますが、腸管障害の診断にあたっては薬剤による可能性を常に念頭に置いた問診が重要です。薬剤による腸管障害は、無駄な治療を行わず、薬剤をやめれば傷害は治癒します。薬剤による大腸障害は、①虚血型、②偽性腸閉塞型、③感染・壊死型、④腸管毒性型、⑤顕微鏡腸炎型、などの5型に分類されます。本日は、この分類に沿って、最新の動向をふまえて主要病型の特徴とその対応について述べます。


薬物性腎障害の発症機構 [薬学の時間]
2007/06/05(火) 00:00

薬学の時間
2007年6月5日放送
「薬物性腎障害の発症機構」
共立薬科大学薬物治療学教授
柴﨑 敏昭

薬物性腎障害とは
 本日は、疾病治療の目的で使用した各種薬物による腎障害について、主にその発症機序に注目してお話します。
 現在、わが国では医家向け医薬品が約3万種類、OTC薬の発売が約2万種類にものぼり、適正な判断のもとに処方ないし販売され、世界で類を見ない長寿国としての、寄与因子になっているといえます。個々の薬物においては、生体内での薬物動態が明確にされていても、薬物に対する個人差が存在するため、臓器障害が発症するのは否めません。薬物による四大臓器障害として、骨髄障害・肝障害・腎障害ならびに皮膚障害がよく知られ、しばしば致死的になるためテイラーメイド的な処方設計が将来の課題といえます。消費者ならびに製薬メーカーにとって薬物性臓器障害の発症は避けて通れない辛い側面であり、実際に薬物による副作用発現の判定方法が現状では皆無であり、取りあえず担当医の判断が最優先されてしまうのが現状です。


薬剤性浮腫の病態とマネージメント [薬学の時間]
2007/03/15(木) 00:00

薬学の時間
2007年3月15日放送
「薬剤性浮腫の病態とマネージメント」
神戸大学大学院医学系研究科老年内科学教授
横野 浩一

はじめに
 一般に、体液は細胞外液と細胞内液に分けられ、細胞外液はさらに組織間液と血漿に分けられます。浮腫とはこの組織間液が増加した状態のことです。組織間液が2~3ℓ以上増加すると、臨床的に浮腫として、皮下、特に組織間隙が粗で組織圧の低い部分、たとえば眼瞼、手指、外陰部などに認められます。また、重力の負荷がかかる部に強く認められ、通常は下腿に、長期臥床している場合は体の背面に認められます。浮腫が高度になってくると、胸水、腹水、心嚢液として臨床的に問題を生ずることになります。


副作用として「排尿障害」が報告されている薬剤 [薬学の時間]
2007/02/06(火) 00:00

薬学の時間
2007年2月6日放送分
副作用として「排尿障害」が報告されている薬剤
NTT東日本関東病院薬剤部長
折井 孝男

下部尿路とその機能
 従来、排尿障害として分類されていた疾患が、2002年の国際禁制学会の用語委員会報告において、下部尿路の異常を「下部尿路機能障害」と新たに定義がなされました。この下部尿路機能障害は、日常の行動に支障を来し患者のQOLを低下します。下部尿路機能障害は、現在の高齢化社会において、患者数の増加は明らかです。しかしながら、患者の疾患に対する理解度、治療の参画については、決して満足できるものではありません。