本邦における無痛分娩の現状と課題 [薬学の時間]
2010/01/14(木) 00:00

薬学の時間
2010年1月14日放送分
「本邦における無痛分娩の現状と課題」
北里大学 麻酔科学 准教授
奥富 俊之

 近年の生活様式の変化に伴い、多くの生活習慣病が生まれていることは多くの皆様が知っている通りです。しかし、これら生活様式の変化は何も病気のみに影響を及ぼしているわけではありません。たとえば、活動的な洋装で社会進出し、不規則長時間の勤務を強いられ、欧米化された食生活を経るうちに女性の体型は変化しました。ほっそり形のいい骨盤を獲得した反面、女性の一大イベントである出産の条件は必ずしも進化していません。しかも、少子高齢化で女性の出産年齢は徐々に上昇傾向にあり、高血圧、糖尿病などの合併症のある妊婦の割合も上昇しています。


がん疼痛緩和における鎮痛補助薬の役割 [薬学の時間]
2009/08/04(火) 00:00

薬学の時間
2009年8月4日放送分
「がん疼痛緩和における鎮痛補助薬の役割」
順天堂大学麻酔科学・ペインクリニック講座先任准教授
井関 雅子

はじめに
 みなさんこんばんは。私は順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座の井関雅子でございます。本日は、がんの痛みに対する、鎮痛補助薬の役割について、お話をさせていただきます。
 一般的には鎮痛補助薬と申しますと、まず、抗うつ薬や抗てんかん薬、NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体拮抗薬、抗不整脈薬、などを挙げることができます。しかし残念ながら、どれもこれも本邦において、痛みに関する保険適応はございません。さらに、がんに対する鎮痛補助薬と言ったときには、さらに、ステロイド、ビスフォスフォネート製剤、漢方薬など幅広く取り扱ったものもあります。


地域緩和ケアチームにおける保険薬局の役割 [薬学の時間]
2009/03/10(火) 00:00

薬学の時間
2009年3月10日放送分
「地域緩和ケアチームにおける保険薬局の役割」
うえまつ調剤薬局
轡 基治

在宅へ移行している緩和ケア 
 日本における年間の総死亡者数は現在約115万人ほどですが、今後約30年の間増加していくと予測されていまして、2038年には約170万人に達するといわれています。がんによる死亡者数についても、同様に増加していくものと思われます。


在宅における死を見すえた時期の家族のケア [薬学の時間]
2009/03/05(木) 00:00

薬学の時間
2009年3月5日放送分
「在宅における死を見すえた時期の家族のケア」
名古屋大学医学部保健学科がんプロフェッショナル養成プラン特任講師
阿部 まゆみ

在宅医療における薬剤師の役割
 いま、医療現場ではがん医療に関しては変化をしております。これまでであれば施設で行われた医療が在宅へとシフトしております。それらを可能にするという意味では、がん医療に携わる医師・看護師だけでなく、薬剤師のみなさんの活動・協力が必要とされています。症状緩和によるQOL、それから患者さんご家族のケアが中心になってきます。その中心におきながら在宅でということになりますと、それを実際病院と同じような治療を地域でもやっていただくという意味では、そのあたりが重要なポイントになるかと思います。


オレンジバルーン・プロジェクトについて [薬学の時間]
2009/02/03(火) 00:00

薬学の時間
2009年2月3日放送分
「オレンジバルーン・プロジェクトについて」
日本医科大学付属病院薬剤部長
片山 志郎

プロジェクト立ち上げの経緯
 2007年4月に「がん対策基本法」が施行され、厚生労働省は一般市民に対しても「緩和ケアは死を待つだけのあきらめの医療」「麻薬は使いたくない」などといった誤った考え方を改めていただくため、「緩和ケア」の正しい知識を持つことを目的とした普及啓発事業の実施計画を立案しました。


がんの痛み治療の実践状況 [薬学の時間]
2008/03/13(木) 21:16

薬学の時間
2008年3月13日放送
「がんの痛み治療の実践状況」
埼玉医科大学客員教授
武田 文和

がんの痛みから解放されたいのに、日本のモルヒネ等の使用量は増えていない
 日本の、がんの痛み治療の実践状況と、改善の必要性についてお話します。
 いずれのがん患者さんも、長い療養期間を必要とします。この長い期間のいずれかのとき、患者さんは、痛みなどつらい症状に苦しみます。このつらい症状を取り除く医療、すなわち緩和ケアが行われないと、患者さんは悲惨な日々を過ごすことになります。
 死が避けられないほどがんが進んでしまった患者さんも、死の瞬間まで生きているのですから、その瞬間まで、つらい症状からの解放が必要です。また、がんが治った後の患者さんにも、痛みが起こることがあり、痛みへの対応が必要です。緩和ケアは、すべてのがん患者にとり、がん病変治療と同じウエイトで重要ですし、適切な痛み治療実践が緩和ケアのスタート・ラインです。


痛みが慢性化するメカニズム [薬学の時間]
2007/08/16(木) 15:42

薬学の時間
2007年8月16日放送
「痛みが慢性化するメカニズム」
和歌山県立医科大学解剖学第2講座教授
仙波 恵美子

多くの人が苦しんでいる慢性痛
 今日は、患者さんの最も多い訴えである、痛みについてお話します。痛みにもいろいろな種類がありますが、まず、生理的な痛みと病的な痛みに分けることができます。またその経過から急性痛・慢性痛という分け方もできます。
 生理的な痛みは、有害な刺激から私たちの体を守るために生体警告系としてなくてはならないもので、また内蔵の痛みなどの急性痛も病変の存在を知らせるために必要です。これらの役に立つ痛みに対し、慢性的に持続する有害無益な痛みがあります。そのために睡眠は障害され、仕事も手につかず、私たちのQOLは著しく低下します。このような痛みを「慢性痛」といい、通常の消炎鎮痛剤はもちろん、モルヒネなども効きにくく、臨床的に最も問題になる痛みです。


疼痛治療における抗うつ薬の役割 [薬学の時間]
2007/08/14(火) 00:00

薬学の時間
2007年8月14日放送
「疼痛治療における抗うつ薬の役割」
宮崎大学医学部臨床神経科学講座教授
石田 康

はじめに
 従来、痛み、とりわけ慢性疼痛の治療に抗うつ薬が使用され、患者さんに恩恵をもたらしてきたことは、多くの臨床医が認める事実であると思います。国際疼痛学会によると、痛みとは以下のように定義されています。「組織の実質的ないし潜在的な傷害と関連した、あるいは、このような傷害と関連して述べられる不快な感覚的、情動的体験」。以上の定義にもあるように、程度の差こそあれ、多くの場合、痛みには情動的要因が介在します。とりわけ、痛みが慢性化すると、2次的に抑うつ状態を呈することがみられ、結果的に抗うつ薬投与の必要性が生じることが少なくありません。しかし、抗うつ薬がどのような機序を介して鎮痛作用をもたらすかについては、明らかにされていないのが現状です。
 今日は、疼痛治療における抗うつ薬の一般的な適応をお話しするとともに、主に過去の基礎研究から得られた知見および、臨床経験に基づいて考えられた、疼痛治療における抗うつ薬の役割について、簡単に触れてみたいと思います。