睡眠時無呼吸症候群と高血圧 [薬学の時間]
2010/04/16(金) 18:57

薬学の時間
2010年3月2日放送分
睡眠時無呼吸症候群と高血圧
済生会二日市病院副院長
安藤 真一

 2003年2月に居眠りによる、新幹線の駅通過事故が発生して以来、睡眠時無呼吸症候群という病名は一躍有名になりました。眠っているときに大きないびきをかいたり、呼吸が止まったりして、昼間居眠りをする人。眠気がひどく、仕事にいろいろな差しさわりをきたす人。特に、ひどく太ったいかにもメタボリック症候群と考えられる体型のおじさん。睡眠時無呼吸症候群という言葉からは、こんな事が連想されるのではないでしょうか。


シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(9)急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群 [薬学の時間]
2009/10/15(木) 00:00

薬学の時間
2009年10月15日放送分
シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(9)
「急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群」
信州大学内科学第一講座教授
久保 惠嗣

 本日は、シリーズ、重篤副作用対応マニュアル(9)、急性肺損傷、acute lung injury、ALI、ならびに急性呼吸窮迫あるいは促迫症候群、acute respiratory distress syndrome、ARDS、について話したいと存じます。
 最初に肺水腫について簡単に触れます。肺水腫は、肺血管外での異常な液体貯留、と定義されます。その発生には、大きく2つの機序があります。肺の毛細血管内圧の上昇により、漏出液が貯留する場合と肺の炎症などで毛細血管壁の透過性が亢進し、滲出液や細胞成分が貯留する場合です。前者の代表的な病態が左心不全に伴う肺水腫で、後者が透過性亢進型肺水腫です。透過性亢進型肺水腫の代表的疾患が、今日、お話するALI/ARDSです。


シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(8)間質性肺炎 [薬学の時間]
2009/09/17(木) 00:00

薬学の時間
2009年9月17日放送分
シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(8)
「間質性肺炎」
信州大学内科学第一講座教授
久保 惠嗣

 本日は、シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(8)、間質性肺炎について話したいと存じます。
 薬剤の副作用に対し様々な安全対策が行われていますが、従来の対策は、個々の医薬品に着目し、発生した副作用を収集・評価し、臨床現場に添付文書の改訂などにより注意喚起する「警報発信型」、「事後対応型」が中心でした。
 今回の重篤副作用疾患別対応マニュアルは、重篤度などから判断して必要性の高いと考えられる副作用について、「予測型」、「予防型」の安全対策として、臨床現場の医師、薬剤師などの医療従事者のみならず、患者さんや一般市民の方も活用できる診断法、治療法などを包括的にまとめたものです。呼吸器疾患に関しては、間質性肺炎、気管支喘息、急性肺損傷(ALI)・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の3疾患について作成されました。


シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(5)非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作 [薬学の時間]
2009/06/16(火) 00:00

薬学の時間
2009年6月16日放送分
シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(5)
「非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作」
埼玉医科大学呼吸器内科講師
中込 一之

 埼玉医科大学呼吸器内科、中込と申します。本日は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による喘息発作の話をしたいと思います。
 アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)とは、NSAIDsの投与によって誘発される喘息のことです。重要なことは、すべての喘息患者でNSAIDsの投与によって喘息が誘発されるものではなく、喘息患者全員がNSAIDsはダメということではありません。NSAIDsで喘息が誘発される患者は、成人喘息患者の約10%と考えられています。もう一つ重要なことは、アスピリン喘息はNSAIDs全般の投与で起こるもので、単一NSAIDsに対するアレルギーではないということです。ある一つのNSAIDsで発作がでた場合、他のNSAIDsなら大丈夫ということはありません。


冬の熱と咳からみた診療のポイント [薬学の時間]
2009/01/13(火) 00:00

薬学の時間
2009年1月13日放送分
「冬の熱と咳からみた診療のポイント」
石心会狭山病院副院長
青島 正大

「冬の熱と咳=かぜ」という先入観を排除して診療に当たる
 冬に発熱と咳を訴えて外来を受診した患者では上気道感染すなわちかぜやインフルエンザ、あるいは市中肺炎などを第一に考えるのが普通ですが、同様の症状をきたす肺結核などの呼吸器感染症やびまん性肺疾患や肺癌などの非感染性呼吸器疾患も念頭に置いた診療が必要です。


COPDの疾患概念の歴史とガイドラインの現状 [薬学の時間]
2008/10/07(火) 00:00

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薬学の時間
2008年10月7日放送分
「COPDの疾患概念の歴史とガイドラインの現状」
東京女子医科大学病院長
永井 厚志

複雑に変化してきた閉塞性肺疾患の定義とそれに伴うCOPDの疾患概念の変化
 「COPDの疾患概念の歴史とガイドラインの現状」について解説いたします。
 まず、COPDの疾患概念を理解するためには、閉塞性肺疾患に関する定義の歴史的変遷を知る必要があります。呼吸器疾患として感染症や塵肺に関心が寄せられていた時代を経て、第二次世界大戦後の1950年代には呼吸生理学的検査法の発展に伴い、肺の病態生理に関心が持たれるようになりました。その時代背景のなかで1958年に開催されたCiba Guest Symposiumでは肺気腫ならびにその関連疾患として慢性気管支炎や喘息などの疾患概念が討議されました。


増加する成人の百日咳 [薬学の時間]
2007/12/13(木) 00:00

薬学の時間
2007年12月13日放送
「増加する成人の百日咳」
国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官
安井 良則

百日咳の症状と治療
 本日は百日咳のお話をします。百日咳とは、好気性のグラム陰性桿菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)の感染を原因とする急性の呼吸器感染症です。特有のけいれん性の咳発作である痙咳発作を特徴としており、母親からの移行抗体が有効に働かないために乳児期早期から罹患する可能性があり、ことに生後6カ月以下では死に至る危険性がある疾患です。


薬剤性肺障害の発生機序 [薬学の時間]
2007/12/04(火) 00:00

薬学の時間
2007年12月4日放送
「薬剤性肺障害の発生機序」
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学分野教授
吉澤 靖之

薬剤性肺障害の分類
 薬剤性肺障害の発生機序について説明したいと思います。
 はじめに薬剤性肺炎の病理組織像の分類についてお話します。
 最近、特発性間質性肺炎群についてのアメリカとヨーロッパの呼吸器学会のコンセンサスレポートが報告され、その病理組織像についても一定の統一が図られました。原因の明らかな間質性肺炎もこの組織分類に準拠して記載するようになってきており、薬剤性肺炎にもこの組織分類が適用されるようになってきています。この分類によれば通常型間質性肺炎(UIP)非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia、NSIP、このなかでcellular NSIPとfibrotic NSIPに亜分類)、少し頻度が低いその他の間質性肺炎がみられます。また同時に組織像と対比して画像の特徴も記載されてきていることより、薬剤性肺炎の画像所見もこの分類に準拠して報告される傾向にあります。この分類に準拠すると薬剤性肺炎は、急性間質性肺炎パターン、急性好酸球性肺炎、慢性間質性肺炎パターン(主として非特異性間質性肺炎、nonspecific interstitial pneumonia、NSIPパターン)、器質化肺炎パターン、慢性好酸球性肺炎に分類されます。


外来診療における感染症の治療と予防の問題と対応―呼吸器感染症を中心に― [薬学の時間]
2007/11/01(木) 17:05

薬学の時間
2007年11月1日放送
「外来診療における感染症の治療と予防の問題と対応―呼吸器感染症を中心に―」
桜みちクリニック院長
永武 毅

院外感染症における今日的問題
 今日、外来診療における感染症は深刻な耐性菌激増の前に、抗菌化学療法が難治化している。呼吸器感染症について言えば、呼吸器親和性病原細菌の耐性菌増加の背景に、最大のキャリアーである小児への抗菌薬投与があげられる。ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)が1990年代に右肩上がりに増加した裏には、抗菌薬を甘く服用しやすくした企業戦略の成功がある。現実に子供に使われていない抗菌薬の耐性化は、院外発症の呼吸器感染症の領域ではそれほど進んでいないのである。耐性菌蔓延の時代の抗菌化学療法は有用性の追求と同時に耐性菌を増加させない投与法の徹底が求められる。
 呼吸器感染症の予防戦略の再構築にもしっかりと取り組む必要がある。本日は今日、私どもが直面している耐性菌感染症の治療と予防の問題について、呼吸器感染症を中心に述べてみたいと思う。


テオフィリンとけいれん [薬学の時間]
2007/10/09(火) 00:00

薬学の時間
2007年10月9日放送
「テオフィリンとけいれん」
鳥取大学医学部脳神経小児科准教授
前垣 義弘

テオフィリンの適量投与でけいれんが起こるのか
 テオフィリン製剤は、気管支喘息治療薬として中心的な役割を果たしてきました。近年、吸入ステロイド薬やロイコトリエン拮抗薬などの有効な治療法の確立と、テオフィリンによるけいれん誘発の報告などから、喘息治療薬としてのテオフィリンの使用頻度は減少しています。テオフィリンのけいれん誘発の解釈は、小児科医によって大きく異なります。既往歴や年齢、投与量を守れば、テオフィリンのけいれん誘発はほとんどないとする意見と、通常の投与量でもけいれんを誘発することがあり、一部に脳障害を来すことがあるとする意見に大別されます。これらを結論付ける十分なエビデンスは得られておりません。日本人の熱性けいれん有病率は欧米の2~3倍であり、けいれんの問題は子供とその家族にとって大きな問題です。本日は、テオフィリンとけいれんの関連を、これまで報告された知見をもとに概説します。